石動のブログ

アニメやら特撮やら映画やらの感想を書きます。

2018年 映画ランキング

 どうも、石動です。

 僕はランキングがとても好きで、人のを見るのも好きなんですが、自分の頭の中で色々こねくり回しながら考えるのもすごく好きなんです。なんというか、ランキングをつけながら自分がその作品のどういう点をどう評価しているのかが見えてきて、どんどんテンションが上がってきます。

 実はこのブログを始めてからも、いつか何かのランキングをつけてみたいなと常々思ってきていました。ついさっき、ちょうど去年はいつもより多く劇場で映画を観た(といっても、映画好きの方達には鼻で笑われるような数ですが)、という事実に気づいたのでありました。というわけで新年が明けてから早くも三賀日が終わり、新学期が始まろうとしているこのタイミングで、石動的2018年映画ランキングをやってみたいと思います。

 

 …前置きが長いですね。では、行きます。

 

 

 

 

第11位

映画ドラえもん のび太の宝島

映画ドラえもん のび太の宝島

 ここ数年のドラ映画は良作がずっと続いてて、大きな期待を胸に見に行ったのだが…うん、はっきり言って駄作だった。独特の作画や主題歌のクオリティの高さなど、光る部分もあったのだが、どうにもストーリーがダメダメ。細かいマイナスポイントが沢山あって、その中でも特にダメなのは、「このままでは地球がいつか滅ぶ」という根本的な問題が何一つとして解決していないこと。いや、シルバーが見た光景は、海賊団がシルバーの命令で地球の資源を全部吸ってから何かしらのアクシデントで墜落したことによって引き起こされた、と考えれば一応の理屈は通るが、作中人物が何も言及せず、対抗策も講じないというのは明らかに不自然。また、「SF要素」、と「テーマ性」を両立しようとした結果、タイトルの「宝島」がおざなりになってしまって(のび太ドラえもんが何の前フリもなく「でも本当の宝は友情なんだ!」とか言い出した時は頭を抱えた)、なんともなあ、という印象。

 

第10位

リメンバー・ミー

リメンバー・ミー (吹替版)

 全体的な印象としては、「よくできてたけど、合わなかった」という感じ。映像美は半端じゃなかったし、ママ・ココ関連のストーリーも画面に集中できていれば普通に感動したのだろう。…しかし、ある一点、たった一点で、僕の中でのこの作品の評価は地に落ちた。

 その一点とは、「夢(音楽)」と「家族」の対立構造がおざなりになってしまったことだ。前半、家族に音楽を禁じられ、それでも抗おうとするミゲルに、夢を追いかけた夫がいたママ・イメルダが、厳しい言葉を投げかける。「夢か、家族か」。

 …自分はこれ、真理だと思うんですよね。実際、家族がいる身で、成功するかどうか全くわからない音楽業界に飛び込むなんて、家族に心配かけるし、もしその人が働き手なら家族に厳しい生活を強いるのとほぼ同義だし。少なくとも今回の場合、夢を追いかけることは、家族を捨てるようなものなのだ。だから僕は、「ミゲルはどっちを選ぶんだろうなあ」とか考えながら見ていたんだが…。

 いや別に、「家族が大切なんだ!」と選択をするのはいい。それも立派な答えだ。しかし今作の場合、その選択をしっかり描けているかと言われると、閉口せざるをえない。なぜかというと、それを説く相手(エルネスト)が全く相応でないのだ。彼は、ミゲルの先祖であり、ママ・イメルダを捨てた張本人だと思われていた。また、立派なミュージシャンで、その音楽はメキシコ中の誇りだった。この前半での設定がまんま後半に受け継がれていたのなら、僕は普通に納得したであろう。エルネストと違った選択をしたミゲルと彼が対峙したりしたら、めちゃくちゃテンションが上がったかもしれない。だがしかし、彼は違った。「本物」ではなかった。ミゲルの本当の祖先はヘクターで、さらにエルネストの歌は全て彼から盗んだものだった。そしてミゲルは彼に裏切られたことから家族の大切さを知り、家族みんなでエルネストを「悪者」として、大勢の前で退治する。

 …いや、もうちょっと何とかならなかったのか。そんな偽物を倒しながら家族の大切さを説かれても、全然納得できない。前半で示された要素が、全く生きてない。何もかも台無しだ。はあ…と溜息をつきたくなる。最っ悪だ。

 や、わかるよ!すごくわかる!そもそもテーマは「家族」なんだからこんなこと言うのは筋違いだし、子供向けのピクサーの映画としては、分かりやすい悪役をつくって倒した方が「家族大切!」というのが伝わりやすいことくらいわかるよ!でも、それでも!僕はスッキリしなかったんだーーーー!!!

 

第9位

銀魂2 掟は破るためにこそある

銀魂 2 掟は破るためにこそある

 待望の銀魂実写化第2弾。福田監督と銀魂の持つ特殊な雰囲気がベストマッチし、ギャグシーンは本当にキレッキレだった。ずっと笑ってた。将軍のまげを結うところなんて涙出た。「これは傑作なのでは…」前半までは、そう思っていた。しかし後半のシリアス展開から、暗雲が立ち込め始める。まあ簡単に言うと、退屈だったのだ。

 構成に大失敗しており、後半は「かっこいいドラマシーン」→「スタイリッシュなアクションシーン」のループがずっと繰り返されるという中々の大惨事になっていた。全然すんなりと気持ちを上がらせてくれず、残尿感だけが残るような構成。単純にストーリー自体も、伊東鴨太郎の落とし所については文句ばかりだし、土方さんはかっこよかったけど覚醒まで引っ張りすぎだし、褒めるところが見つからない。

 …まあ、3作目がやったらホイホイ見に行くんですけどね。

 

第8位

未来のミライ

「未来のミライ」スタンダード・エディション [Blu-ray]

 細田守監督の最新作ということで、期待半分、不安半分で観に行った映画。というのも、個人的に、監督の作品はだんだんクオリティが下がってきているような気がして、新作が出る度に少しずつガッカリしてたんです(「バケモノの子」とかは良いところもあったけど色々酷かった…)。まあ、結果はどうだったのかというと…非常に、コメントし辛い。なんだろう、なんというか、全体的に意味がわからなかったというか。根本的な設定がずっとフワフワフワフワしてて、あまり画面に集中できなかったというか。ガチのSF設定なのか、それともくんちゃんの夢なのか。少なくとも、そのどちらかかをハッキリさせて欲しかったなあ、と。まあそれを抜きにしても、ストーリー全体の流れがとても曖昧で(少なくともわかりやすくはなかった)、ずっとモヤモヤとした気分で上映時間を過ごすことになってしまった。

 なんだかんだでラストのくんちゃんとミライちゃんが落ちていくシーンは「よくわかんないけど感動した!」ってなったし、福山雅治声のおじいちゃんはすごくかっこよかったし、観てよかった映画だなあとは思う。それだけに、意味もなく物語のベースラインがしっかりしなかったのが残念だった。

 

第7位

名探偵コナン ゼロの執行人

劇場版 名探偵コナン ゼロの執行人

 いやはや、すごい映画だった。ある意味、今年一の怪作だったかもしれない。何がすごいって、ここまで一つの要素に全振りした映画を僕は観たことがない。この映画の内容は一言で表される。「安室さんかっこいーーー!!」

 …はい、というわけで、そんな映画でした。これに関しては、もう語ることもないかな。真の意味で安室さんとコナンが対決しなかったところだけが少し気になったけど、後半の安室さんファンへのサービスシーンとアルティメットカーチェイス&アクションでそんなものは吹っ飛んだ。本当にすごい映画だった。

 

第6位

クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 〜拉麺大乱〜

映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ ~拉麺大乱~

 予告などの事前情報から勝手に「『サボテン大襲撃』みたいなアホなノリの映画なんだろうなあ」と思って構えずに観に行ったら、度肝を抜かれた。相変わらずギャグはキレッキレで、ちゃんと「クレしん」らしく、でも重い正義の物語が、そこにはあった。

 この作品で本当に感心したことは、テーマそのものだ。「武術」をモチーフにした作品に「正義」って、本当に最高すぎる。「武術とは相手を倒すためのものではなく、自分自身を鍛え、磨くためにある」というようなセリフをキャラクターが発することは創作作品において多々あったが、これをここまでわかりやすく、「子供向けとして」正しく描いたものはなかったのではなかろうか。正義が暴走する、本来なら恐ろしいシーンをちょっとゆるく描いたこと、「みんなで踊れば楽しいよ」という甘々な(しかし間違ってはない)着地点も含めて、いい映画だったなあ、と思う。

 唯一不満だったのは、マサオくんの扱いかな。彼にちゃんと焦点を当てられていないし、変に浮いてしまっているような気がした。

 

第5位

空飛ぶタイヤ

空飛ぶタイヤ

 正直に言うと、見る前はかなり侮っていた。家族が観たいと言ったから仕方なく映画館に足を運んだが、「どうせ『池井戸潤作品っぽい』、どこかで見たような映画なんだろうなあ」とまで思っていた。楽しめないことはないだろうけど…という思いであった。いや別に、その予想が間違っていたわけではない。映画の内容は、まさに池井戸潤原作の映画、といった感じで、既視感に溢れていた。しかし、想像よりも遥かに楽しんでみることができたのだ。

 その要因は、自分の考える限りでは2つある。ひとつは、「自分が池井戸作品を見るのが久しぶりだった」ということだ。僕がこの前に見た池井戸作品は「民王」辺りまで遡ることになり、池井戸作品のフォーマットに既視感を感じることがかなり少なくなったのだと思われる。

 もうひとつは、「普通に池井戸作品は面白い」ということだ。たとえ作品のカラーが似通っていても、真摯に作られた作品はやはり刺さるのだ。当たり前の話なんだけど、しみじみとそれを実感した。

 なんか作品そのものの評価を全く書いていないが、主要キャラ2人がイケメンだったなあ、くらいしか特筆することがないような気もするので、こんなところで次の作品に行きましょう。

 

 

第4位

ペンギン・ハイウェイ

ペンギン・ハイウェイ

 あの森見登美彦さんの名作がアニメ化ということで、森見ファンの僕としてはもうそれだけで傑作認定なんだけど、一つのアニメ映画としても、とてもよくできていた。まず、映像がいい。すごくいい。ペンギン・ハイウェイのもつ、森見作品の中でも独特な雰囲気を上手く映像に落とし込めていたと思う。また、単純にアニメーションとしての動きが気持ちよく描かれていて、終盤のペンギン突撃シーンやお姉さんが空き缶をペンギンに変える瞬間は、思わず画面に見入ってしまった。少し原作の展開やセリフの取捨選択がしっくりこなかったり、やはり原作が割と長い小説なので全体的に長く感じてしまったりするところはあったが、原作が神なのでストーリー面でもめちゃくちゃ切ない気持ちにさせてくれるし、本当に映画館で観れてよかったなあと思う。

 

第3位

ボス・ベイビー

ボス・ベイビー (吹替版)

 自分はそんな興味はなかったのだけど、友達に誘われて観に行ったら、これがまた大当たりだった。「それまで溺愛されていた男の子が、小さな弟ができてから構われなくなる」という序盤の展開自体はありがちだが、それを「赤ちゃんはボスだ」だと表現するのは新鮮だし、単純に映像のクオリティも相まって、既視感は全く感じなかった。また、主人公二人のバディものとしても手堅くまとまっており、見てて非常に気持ちがいい。ギャグもハイセンスかつキレキレなものが大量に飛び出し、上映中ずっと楽しい気分でいられた(宮野真守を酷使してきたときは限界だと思った)。本当に全方面からの完成度が高く、万人にオススメできるエンタメ作品だった。

 

第2位

平成ジェネレーションズFOREVER

平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER

 まあ、うん、あれだ。もう感動しかない。完全に打ちのめされた。それくらいの傑作だった。平成ライダーの終わりを飾るのに相応しい作品だ。

 いや、別に気になるところがないわけではなかった。寧ろめっちゃあった。同じ所に来るシーンが何回も続いたり、無駄に展開は複雑だし。でも、それ以上のものが、魅力があったよなあ、と。特にビルドファンの人は絶対に観に行くべきだ。あまりのかっこよさに、帰りにビルドのフィギュア買ってしまうくらいには戦兎がよかった。マジで。以前から10割増でビルドがかっこよく見えるようになる。そんな作品でした(強引なまとめ)。

 

個別感想記事はこちら

sasa3655.hatenablog.com

 

 

そして…

 

第1位

劇場版ポケットモンスター みんなの物語

劇場版ポケットモンスター みんなの物語

 過去20作品全ての監督を務めた湯山邦彦監督から矢嶋哲生監督に監督が変更された今作品。見る前は不安や期待が腹の底で渦巻き、上映開始直前まで落ち着かないでいたのだが、開始数分で、そんな些細な前事情やそれに対する思いなどは吹っ飛び、物語に引き込まれていた。なんてことはない。ただ、「めっちゃ面白い!」という感情を、頭の中で叫んでいた。

 今作の自分の中の印象として、「超王道」という感じがある。ポケモン映画として、エンタメ作品としての王道のど真ん中を、清々しいまでに真っ直ぐ駆け抜けていく。

 実は宣伝でウリにされていた複数の主人公達の存在も、ポケモン映画だと似たようなやり口が非常に多い。というのも、基本的にポケモン映画の物語において成長や進歩を遂げるのは、レギュラーキャラではなく、幻のポケモンやそれに関わるオリジナルキャラクター達なのである。映画で重要な話をやるわけにもいかないし、そもそもサトシに至っては長い旅の中で精神レベルがマックスになってる節もあるので、活躍はしても映画の前後で心境に大きな変化はない。今作はそれの発展系というべき内容で、普通の女子高生のリサ、引っ込み思案な研究者であるトリト、日常的に嘘をついてしまうダメおじさんことカガチ、ポケモン嫌いの偏屈ばあさんのヒスイ、何か秘密を握っている少女のラルゴと、個性豊かな5人の主人公の物語を、上手く1本の映画にまとめられていた。どの物語もベタながら実に魅力的で、本当に誰もが主人公達、どの物語もメインストーリーといった塩梅だ。

 さらに僕が良かったと思うのは、アニポケ本編主人公、サトシの扱い。今作において、サトシは主人公というよりはみんなを導く先導者、『平ジェネFOREVER』での桐生戦兎のような、物凄い貫禄を持つ「先輩」として描写されている。これはサトシという、長く、果てのない旅の中でたくさんの人と出会って、成長して、時には大人の事情でリセットされるキャラクターの描き方の、ある種の到達点のように感じた。

 テレビシリーズのように仲間がいないこと、ピカチュウしか仲間にしていないことなど、このサトシは本編との繋がりを感じさせる描写が非常に少ないだが、逆にこれが上手く作用していた。(映画の中では)バックボーンや彼自身のキャラクターに対する「手がかり」がほとんどない状態で、ただひたすらにサトシの「先輩としてのかっこよさ」のみが描かれる。最早彼はそういう、ある意味特異点のような存在であるということを、きっちりと描いて見せたのだ。たとえどんな設定であれ、どんな世界であれ、彼の後ろにはアニポケのテレビシリーズで積み上げられた旅の記録が煌々と光り輝いている。

 …なんか変な理屈を長々と書いてしまったが、要するにド王道、ド直球のエンタメとして本当に面白かったということだ。ポケモン映画の新たなステージへの第一歩がこんな傑作だったというのは、とても喜ばしい。

 

 

 というわけで、2018年映画ランキングでした。映画たくさん観たとか言う割には11本しか観てないとか、ほとんどアニメじゃねえかとか言われそうですが(自分でも思う)、やっててとても楽しかったのでよしとします。

 今年も、たくさん映画を観れるといいなあ。