石動のブログ

アニメやら特撮やら映画やらの感想を書きます。

感想『とある暗部の少女共棲 7』 過去と未来が交差するとき、物語は始まる

 『少女共棲』7巻が面白すぎます!!!!!!

 

 

 どうも、石動です。

 今回語りたいのは、『とある暗部の少女共棲』。大人気ライトノベル『とある魔術の禁書目録』に始まるメディアミックス群、「とあるシリーズ」の最新作。

 現在アニメも放送中で盛り上がってるこの作品なんですが、先々週原作ライトノベルの最新刊も発売されたんですよね。で、それがそれが面白いったらなくて。ついに物語も佳境、核心の部分に歩き出したって感じなんですよ。

 というわけでここから、『とある暗部の少女共棲 7』と、『少女共棲』全体の魅力について、語っていきたいと思います。最新刊、及び『少女共棲』全体のネタバレがありますので、未見の方はご注意ください。

 

 

とある暗部の少女共棲 (電撃文庫)

 じゃあ早速、最新刊で描かれた衝撃の展開について……といきたいところなんですが、その衝撃と興奮を存分に語りつくすには、前提の説明が欠かせません。前提、つまり『少女共棲』がとあるシリーズにおけるどんな立ち位置の作品で、どんな面白さを読者に提供してくれていたのか。

 まずもって『少女共棲』は所謂「過去編」です。本編『とある魔術の禁書目録』において、15巻から登場した第三の主人公「浜面仕上」。彼がヒーローになるきっかけを作った、学園都市暗部に潜む組織の一つにして、彼の守りたい居場所、「アイテム」。の、本編開始約一年前、浜面が下っ端になる前、どころか四人目のメンバー「絹旗最愛」が加入したばかりの時点での活躍を描く話。

 なので必然、作品に求める主な期待は、「本編から逆算された過去描写の補完」になるわけです。一度チームの一人「フレンダ・セイヴェルン」の裏切りとリーダー「麦野沈利」の粛清によって内部崩壊を起こしたアイテム。が、いかなる過去を過ごしてきたのか。いかなる過程を経て、あの滅びへと向かっていったのか。まだフレンダが生きている時間の、アイテム視点での話ということで、やはりファンとしてはそこに期待をする。

 そして『少女共棲』は、その需要にしっかり応えてくれるんですよね。1巻冒頭から、アイテムが「暗闇の五月計画」の記録を抹消し絹旗最愛をメンバーに引き入れるシーンが描かれるのに始まり。

 2巻でとある理由で沈み込んだ麦野をフレンダが「結局、何があっても私は麦野を裏切らないから」と慰める場面で締めたり。同じく4巻のラストを、フレンダの「私は誰とでも仲良くなれるの」で締めたり。5巻でアイテムを始めた麦野と「滝壺理后」の出会いと共犯関係の再確認が描かれたり。6巻で、アイテム内で意見が対立した際のフレンダと滝壺の裏切りと、今回はなあなあになったけどいずれ表面化するかもしれないそれへの粛清の覚悟を麦野に決めさせたり。

 

とある暗部の少女共棲1 (電撃コミックスNEXT)

 特に、例示でも頻出しているように、フレンダの裏切りと麦野の粛清への布石が、一手一手打たれていくのがたまらないんですよね。一見、粗暴で野蛮なだけの暴君に見えるその裏、様々なバックボーンや思いやりを見せ、仲間思いなリーダーとして皆に一目置かれている麦野。人当たり良く、2巻のラストなどで麦野を支える言葉をすっと伝えることができるものの、それは個々の人間関係に対する軽いスタンスが故でもあるフレンダ。

 わかりにくいけど非常に「重い」リーダーと、心底で「軽い」メンバーが釣り合ってしまった、そのことを理解せずに危ういバランスを形成してしまっていたという事実を、過程を、まざまざと見せつけられるわけですね。そして、いずれ訪れるフレンダの(彼女なりの事情があり、もしかしたら「麦野ならこれくらい大丈夫」と思っていたかもしれない)軽い「裏切り」と、麦野による死という何よりも重い「粛清」への接続に納得し、頭を抱える。素晴らしい補完の描写。

 また、本題からは逸れてしまいますが、『少女共棲』、麦野のキャラクター描写が本当に素晴らしいんですね。基本的に浜面の視点でしか描かれてこなかった彼女の新たな一面をオールウェイズ見せてくれる。

 特に、「麦野本家という世界的犯罪組織にして世界最大の穀物生産企業」「のお嬢様」設定の開示が革命的で、その影響で高級志向なところがあるんだなと納得できたり、蹴落とし合いが日常な麦野本家の中で個人として尊重してくれた貉山に特別さの混じった信頼を向け、祖父を「じいじ」と呼ぶわかりやすい「萌え」に絶叫するしかなかったり。お前、そんな重くて可愛いキャラクターだったのか……いや、強くて怖いだけの人ではないとわかってはいたけど……。

 

 閑話休題。ここまで書いたように『少女共棲』は「アイテムの、破滅までの足取りを描くスピンオフ」としてかなり理想的な内容になっているんですね。この要素だけで十二分に飯を食えるくらいの強度と深度があった。

 あったんですが、それだけで終わらないのが『少女共棲』のすごいところで。この作品には、「アイテムの過去描写」以外に、もう一つ大きなストロングポイントがあるんです。

 それは、「過去であるはずの作中のエピソードに対する違和感」。時系列としては『禁書目録』や『超電磁砲』といった他のシリーズよりも前の話で、その「未来」に繋がっていく過程の話のはずなのに、本当にそこに向かっているのか?と感じざるをえない、少なくともストレートで単純な「過去」ではないのではないかと思ってしまう、自覚的な「ズレ」の描写。

 

とある暗部の少女共棲(3) (電撃文庫)

 『少女共棲』のその特徴は、「藍花悦」を中心に展開されていきます。学園都市第六位、七人しかいない超能力者(レベル5)の一人でありながら、能力はおろか、名前と在籍校といった情報が一切明らかになっていない正体不明の存在。これまでのとあるシリーズでもほとんど姿を見せていなかった彼が登場した3巻を境に、世界の法則が乱れていくように、意図のある違和感がばらまかれていくんですね。

 例えば、麦野の前に現れた彼が放った、『あなたは身内の裏切りで滅びる』という、未来を見てきたかのような確信めいた言葉。

 例えば、それに抗おうと世界に吠えた麦野に対する、意味深な「結末はとっくに確定している」「誰もがそれを知っている」語り。

 例えば、5巻で華野超美の前に現れた藍花悦が指摘した、作中で登場した学園都市最新鋭の無人攻撃ヘリ『六枚羽』『二枚羽』に関する矛盾。

 例えば、その際に藍花悦が用いた、「すでに過ぎた話」という言い回し。

 

 少なくとも藍花悦は、『少女共棲』の物語を一つ上のレイヤーで観察している。これを「すでに過ぎた話」と認識し、その結末を、アイテムが辿る破滅を認識している。

 そして、この作品は彼の一個外側の視点を明確に、ギミックとして取り入れている。『少女共棲』は『禁書目録』の過去編のはずなのに、その中に一人イレギュラーを、結末を知っている外側のキャラクターを混入させている。そんなイレギュラーが、少しずつ少しずつ、でも着実に、納得するために見ている「過去」を「未知」の何かに変えていく。

 つまり何が起こっているかというと、「過去編のはずなのに先が見えない」という、矛盾した面白さが発生しているんですよね。『少女共棲』はアイテムの過去を描くスピンオフで、言ってしまえば読者は彼女達の迎える結末を知ったうえで読むという一種の安心感があるはずなのに、実際には真逆。3巻以降、読者は本筋で見せられるアイテムの描写に未来への納得を感じながらも、同時に「このお話はどこへ向かうんだ……?」と手に汗をかくことになる。

 過去編なのに、向かう結末が読めないワクワク。そこから転じた、物語の鮮烈な"うねり"。これこそが、『少女共棲』の持つもう一つの大きな魅力なんです。

 

とある暗部の少女共棲(5) (電撃文庫)

 この読書体験が、本当に素晴らしい。一つの作品に複数のストロングポイントがあるのはそう珍しいことではない、というか物語である以上当然のことではあるんですけど、『少女共棲』の場合、それらが矛盾しながらも共存しているのがすごいんですよね。「知っている未来へと進んでいってしまう人間模様が描かれることへの興奮」と「知っている未来へたどり着くのか?という不安、ないしは期待」。普通なら食い合うしかない両者が一切バッティングせず、むしろ互いにひきたて合っている。

 だって5巻なんか、麦野と滝壺が二人の共犯関係を確認し決定的に定めている一方で、藍花悦が「ここにはいない誰か」に向けて、『六枚羽』『二枚羽』のことを指摘するんですよ。「アイテムの過去編」として100点の内容を出力しつつ、エピローグでは素知らぬ顔で「過去編」の前提をひっくり返してくるんですよ。アイテムサイドのお話が過去編として納得いくものであればあるほど、同時並行で展開される「未来」からの視点の違和感が増すんですよ。

 もう本当に、最高なんです、『少女共棲』。求められる期待に応えつつ、それだけに終わらずに先の見えない縦軸を、物語としての"うねり"を用意する。鎌池和馬先生の描く物語は、やはりこうでないと。安定だけでなく、止まることのない追求を伴った「面白さ」がないと……と、心底から実感してしまうわけです。

 

 と、いううえで、ですよ。やっっと本題の、先々週発売した7巻の話になるんですけど。

 ここまでの説明でも伝わったかもしれませんが、『少女共棲』は、「アイテムの過去編」要素をメインたる麦野達の活劇パートで、「過去編という前提への揺さぶり」要素をあとがき後の、麦野達よりも暗部の深いところにいる藍花悦や華野超美の暗躍・衝突を通して描いてきたんですね。明確に交わることはないまま、少しずつ両者が進行し、距離が縮まっていた。

 それがついに今巻で、再び交わったんですよ。1巻で死を偽装してアイテムから離れた華野超美が再び麦野の前に姿を現し、彼女の見ている先で麦野家当主たる「じいじ」を殺害する。思いっきり、麦野の地雷を踏み抜く。ことで、3巻のエピローグで「未来」の一端を仄めかされながらも、以降「過去編」に終始していたアイテムが、ついにもう一方に巻き込まれてしまうんです。こんなのもう興奮するしかなくて、だから冒頭でデカい声を出していたわけなんですけど。

 しかも、その合流の仕方が、衝突から繰り出された展開が、あまりにも鮮烈だったんですね。

 

とある暗部の少女共棲(7) (電撃文庫)

 先述の通り、麦野にわざわざ、彼女の祖父を殺害する(正確には、殺害するふりをする)映像を見せつけた華野超美。そんなことをして、わざわざ学園都市第四位に命を狙われて、一体彼女は何をしたいのか。

 前提としてまず、彼女は、藍花悦視点では今の世界が「過去」であることを知っており、彼のいる「未来」を認知しています。前者は他でもない藍花悦との衝突の中で彼本人から明かされ、後者は"『禁書目録』でインデックスによって破壊されたが、この時系列ではまだ健在な"、学園都市が世界に誇る超高度並列演算処理器『樹形図の設計者』で算出して。

 加えて華野超美は、「変装と潜入の達人」です。1巻で『電話の声』の指示でアイテムの四人目として参加する体で登場した彼女は、持ち前の変装・潜入スキルでアイテムに認められました。その後、「もう一つのアイテム」との戦いで命を落とすもその死は偽装であり、そもそも正体からして『電話の声』のうちの一人、暗部に現れた2つのアイテムが力を持ちすぎることや結託することを「仲間の死」をトリガーに潰し合わせることで防ぐ仕事でしかありませんでした。

 そして華野超美は、藍花悦と対立していました。組織ではなく個人として、自分を手玉にとった彼を潰したいと考えていました。

 これらの前提のうえで、華野超美は藍花悦のいる「未来」を揺さぶるために、『生存確定枠』同士の激突という不都合を発生させたんです。

 

 『生存確定枠』。恐らく、藍花悦の「未来」で生きている人間。つまり、『少女共棲』という「過去」では、生き残ることが確約されている人間。言い換えれば、神の視点で物語を読んでいる読者にとっての、ある意味で「安心できる」キャラクター。

 言うまでもなく、麦野はそれに該当します。一度アイテムは滅んでしまうものの、第三の主人公たる浜面の手で再興される。現在『禁書目録』本編では浜面は主人公の枠を外れて大きな渦となってしまっているけど、でも周りのキャラクターの死亡は描写されていません。確実に生きている、過去編では死なない枠。

 では華野超美は? 華野超美なんてキャラクター、『禁書目録』本編には登場していない。恐らく彼女であろう「こいつときたら」が口癖な『電話の声』は登場しているが、その生死は定かじゃない。むしろ、創約3巻で発動したオペレーションハンドカフスのことを考慮すると、死亡している可能性の方が高い。きっと、読者より学園都市暗部のことを深く知っている藍花悦の視点では、死の可能性はより高いでしょう。

 しかし、華野超美は、「変装と潜入の達人」です。確かに、華野超美の、「こいつときたら」が口癖な『電話の声』の生存が確定していなくても、死の可能性が濃厚であっても、彼女に関しては死を断言することはできない。だって、他の名前に、人物に、もしかしたら上条当麻に御坂美琴に、今変装しているかもしれないから。アイテムを最後まで騙し通した時のように、徹底的に、内面までも他の人間になって、「未来」でも生きているかもしれないから。その可能性を否定することは、決してできないから。

 ならば、華野超美も『生存確定枠』。そこまで言わなくたって、死んでしまったら「未来」の形が変わるパズルのピース……かもしれない。である以上、「未来」に視点を持つ藍花悦は動かざるを得ない。麦野沈利と華野超美が殺し合って、どちらかが死んで自分の「未来」が壊れる危険性を排除するために、表に出てこざるを得ない。

 

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 この、展開。この、ロジック。で、ぶんぶんとぶん回される感覚が、本当にたまらない。

 「過去編」という形式だからこそできる『生存確定枠』の概念を導入し、息つく間もなくそれを作中での争いの中核に据える。二つの魅力として共存しながらも、分量においてはあくまでメインだった「アイテムの過去編」要素を、合流したことでついに「過去編という前提への揺さぶり」が飲み込み、「過去編の形式を利用した一個上の次元での殺し合い」へと進化する。相反する、けど作者の中ではずっと繋がっていた二つが、各々積み重なったうえでぴったりとハマることで、ここに来て読者は作品の真骨頂を見せられたんですね。

 いやほんとに、7巻の後半部分を読んでいる間、ずっと気持ちよくて仕方がなかったです。後の巻と比較すると少し異質な1巻の内容が、「華野超美が変装と潜入の達人であり、『生存確定枠』になりうる」説得力の担保として機能し。読者とアイテムを手玉にとった彼女が、「過去」の時系列にしかない『樹形図の設計者』と自らのスキルを用いて、物語そのものを混乱の渦に巻き込んでいくのが、痛快で仕方がない。

 しかも、ただでさえ面白かった『少女共棲』の全てが、このクライマックスのためにあった。それを理解した時の興奮と衝撃だけでも何者にも代えがたいものだったのに、『少女共棲』にはまだまだ先がある。というか、7巻はクライマックスの入り口でしかない。華野超美がけしかけた未来と過去の殺し合いは、次の8巻でやっと始まる。

 先手を打たれた藍花悦は、いかにして遅れを取り戻すのか。「実は麦野家当主は生きている」隠し玉を持った華野超美は、彼を殺すことができるのか。何より、ある意味で華野超美にまた利用される形で混乱に身を投じることになったアイテムは、どのような道を辿るのか。本来の運命に戻るのか、利用されたままになってしまうのか。「結末はとっくに確定している」の地の文に、抗うことはできるのか。

 とにかく、『少女共棲』はここからさらに面白くなる。先が見えない展開がもっと盛り上がっていく。そのことを今巻で確信できたのが、何よりも嬉しかったんです。

 

 

 というわけで、『とある暗部の少女共棲 7』、及びシリーズ全体の感想でした。ひたすらに最高最高言い続けてただけですが……。

 先述したように、原作はここからが本番。しかもアニメも絶好調で、現在放送済みの第三話の時点で勝ちを確信するレベル。『少女共棲』は今が一番アツい!んですよね。

 来週金曜日の深夜を、そしていつか来る『とある暗部の少女共棲 8』を楽しみに、僕は日々を生きていこうと思います。ここまで読んでくださったあなたも、共感してくださったり、もしかしたらここから『少女共棲』への興味を深めてくださっていたら幸いです。

 とあるシリーズ、やっぱり最高です……。

 

 

 

 

 

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デュエル・マスターズ 25周年ツアー 神奈川会場 Day1 レポート

 どうも、石動です。

 

 本日は、デュエマ25周年ツアーのブログです。僕が普段の趣味費の大半を注ぎ込んでいるくらい熱中している、ハゲしくアツかりしカードゲーム、デュエル・マスターズについて。今年25周年を迎えた記念に開催されている全国ツアーに、仕事の関係で一日限りではありますが参加してきました。

 以下、各エリアを体験した感想を書いていこうと思います。

 総評としては……

 

 最高のイベントでした!!! ありがとうデュエル・マスターズ!!!!

 

 

スぺシャルステージ

 最初に、ステージの話からしようと思います。なるべくこれを見るために、自分は今回のイベントを立ち回っていました。恐らく一番ステージ観覧に時間を割いてたんじゃないかな。見ていないドラゴン娘とLOST以外のステージは全部観ましたし。あと後述しますが競歩にも同じくらいの時間は割いてたかも。

 

ジョー編(キング)

 まず、11時から開催していたジョー編のステージその1。

 出演者のアポがとれた人数の関係なのか、ジョー編だけステージがシリーズの前後期でそれぞれ用意されていて、ジョー編が一番好きな自分としてはそれだけで嬉しかったですね。後期の『キング』にあたる初回のステージでは、ジョー役の小林由美子さん、デッキー役の佐藤せつじさん、キャップ役の市川太一さん、ジェンドル役の興津和幸さん、ハイド役の土岐隼一さん、ヒミコ役の諏訪彩花さんに、ボルツ役の白石稔さんが司会として登壇されていました。

 で、肝心のステージ内容は、「興津和幸さん無双」といった印象でした。ステージを実際に見た方なら皆同意してくれると思いますが、とにかく終始興津さんの様子が(良い意味で)おかしくて、ずっと客席を爆笑の渦に巻き込んでくれていました。

 前半の『印象に残っているシーン』のコーナーでは自分が選んだモモキングダム覚醒のシーンの再現コールアンドレスポンスをアドリブ?で開催したり、演じている土岐隼一さんと諏訪彩花さんの前で「ハイドくんは使えませんからね!」「ヒミコさんも使えませんからね!」と言い放ったり。後半のシチュエーションクイズ(「はあ?と言う」ゲームの台詞版)ではずっと「未来が見えますよ」とジェンドル様の設定を悪用して、選択肢の中から「4番です」と未来予知ごっこをし続けたり。

 でも単にふざけているんじゃなくて、しっかり観客を楽しませてくれるボケだったのがすごく良かったです。シチュエーションクイズで自分の番が回ってきたときは、お題の「聖魔連結王 ドルファディロム召喚!」をめっちゃかっこよく読んでくれたのにも鳥肌が立ちました。本当に4番が答えの選択肢の問題に当たっていたのもミラクルでしたねえ。

 勿論他の出演者の方々も素晴らしいトークで、コロナ禍でのアフレコの様子や当時の思い出話を沢山聴かせていただけてずっと楽しかったです。佐藤せつじさんの素晴らしい発案で、「俺達勝ったぜ!」「ジョー・デッキー!」のコールアンドレスポンスで締められたのも感無量でした。

 

WIN編

 お次はWIN編。と言っても、直前に会場の展示を見て回ったりしていたので、全体の3分の2くらいしか観覧できてないです。ので、印象深かったところを簡潔に。

 登壇はウィン役の鵜澤正太郎さん、パパリン役の菅原雅芳さん、ファルゴ役の田中進太郎さん、イッサ役の上西哲平さん、に司会のチアリさんだったのですが、各々のコンビの仲の良さがすごいなあ、と深く感じました。作中の関係性としてはパパリンとウィンが親子、ファルゴとイッサが同じD4の仲間なのですが、それに準じた絡みが各々見られたというか。

 鵜澤正太郎さんが語られていた内容では、菅原雅芳さんがデュエマを知らない声優さん達に色々教えていたとのことでした。役に深く入りたいと思っての声優さん達のデュエマデビュー、それをサポートするデュエマガチ勢でありデュエマアニメベテランでもある菅原雅芳さんという構図だったそうなんですが、役のための新しくカードゲームを始める声優さん達も、影の功労者だった菅原雅芳さんもすごいなあ……と。

 またこちらに関しては、過去のエピソードではなくステージ上の絡みについてなんですけど。もう、終始田中進太郎さんと上西哲平さんがイチャイチャしていましたね。本当に、「イチャイチャ」としか形容できない絡み。印象に残ったエピソードで同じ回の互いの登場シーンを挙げたり、その後のクイズでもファルゴの動きについてなんやかんや言い合ったり。

 別に出演者の平均年齢が特別若いというわけではないと思うんですが、でも終始若さと勢いを感じる、(漫画は)現行のシリーズらしい騒がしく楽しいステージでした。

 

勝太編

 続いては、お昼休憩を挟んだ後の勝太編のスペシャルステージ。出演されたのは、勝太役の小林由美子さん、ルシファー役の水沢史絵さん、ギョウ役の速水奨さん、熱血ナレ太郎役の佐藤せつじさんに、ホカベン役の菅原雅芳さんが司会をされていました。とんでもない人数がステージに集まっていて、勝太編の人気の高さを改めて実感しましたね。

 で、最初に前置きしていますと、スペシャルステージで唯一大きな不満があったのが勝太編だったんです。なので、ここからはシンプルな文句を言います。100%楽しめた方は飛ばすかブラウザバックをおすすめします。

 

 何が気に入らなかったんだよって話なんですけど、ずばり速水奨さんがふざけすぎていたことですね。しかもそのふざけ方が、ステージの進行を無視したふざけ方になってしまっている場面があったこと。

 印象に残っているシーンをあげるところまでは別に何とも思ってなかったんですけど、シチュエーションクイズの初手で選択肢にないボケをするふざけ方をした辺りが個人的に無理でした。

 シチュエーションクイズのコーナーって、みんなで楽しくクイズをする目的に加えて、疑似的な生アフレコの側面もあったと思うんですよね。特に、速水奨さんのようなラスボスポジのキャラクターは、印象的な台詞を本編に近いシチュエーションで読む、というところに進行側のファンサービスがあったはずで。それを無視したボケっていうのは、こう、素直には楽しめないよねっていう話です。はい。

 勿論総合的には良かったんですよ。熱血ナレ太郎チャレンジとか。佐藤せつじさんが自前?のナレ太郎再現筋肉ムキムキコスチュームを着ていたのもほっこりと面白さが同時に来ましたし。

 それはそれとして、でしたね。

 

ジョー編(!)

 気を取り直して、最後のジョー編2回目のスペシャルステージ。出演者は勝太役の小林由美子さん、でんでん役の近藤浩徳さん、カブト鬼役の武虎さん、ももちゃん役の豊崎愛生さん、ミノマル役の内田彩さん、ゼーロ役の森田成一さんに、司会でありラビット大佐役の菅原雅芳さん。ジョー+自然文明チーム。

 生アテレコありとの事前情報があったので、個人的に一番楽しみにしていたステージでした。期待値が上がりに上がっていたところだったんですが、見事ハードルを越えていってくれました。

 まずもって、生アフレコの前の恒例「印象に残っているシーン」トークから最高で。キングや勝太編のステージで言及されていた「アテレコ中に台本が弾け飛んだ」の詳細な経緯が、でんでんさんの演技集中のあまりの汗と動きによるものだということが判明しまして。続いて、豊崎愛生さんによって当時本人がフェアリー・ライフのイラストを描かれるまでの経緯が語られ。当時の思い出やファンの気になるところを聞かせてくださり、ずっと幸せでした。

 そして、待望の生アフレコ。選出されたシーンがゼーロによってミノマルが燃やされる(「あ、熱いまる!」)シーンだったのは、個人的にはネット受けを狙いすぎだろ素直にクライマックスの再現とかが見たかったよと思ってしまったんですけども。でも実際聞いてみると、ジョー編の一部を目の前で再現される事象に感動してしまいました。

 特に良かったのが、ゼーロを演じる森田成一さんの凄まじい迫力。アテレコ後にご本人も語られていましたが、彼の持つ狂気と、それに等しい純粋さを完璧に声に乗せる演技がほんっとうに素晴らしかったです。ゼーロを演じるのは何年振りってレベルだろうに、このクオリティを出せるって、声優さんって流石だなあ……。

 

デュエガチャチャレンジ

 パチンコ。

 1回1000円で、運が良ければ絶版公式サプライや過去のパック、デッキが当たります。外れでも高レアが軒並み強い壊れ弾である『燃えろ禁断!逆転のドギラゴン革命!!』5パック+プロモパック、の最低保証があるので、これが今回のメインコンテンツだった、という方も多かったのではないでしょうか。自分も、会場に並ぶ段階では沢山周回する気でした。

 が、実際に会場に入場してみて方針を変更。開始時点で、とんでもない人数が並んでたんですよね。冗談抜きで、1000人とかそういうレベルで並んでたんじゃないかな? 待機のためのすごく広いわけではないスペースにぎっしり人が詰まってサービス開始を待ってる光景はド迫力というか壮観というか、でした。最初の1回は確か40分くらい遊ぶためにかかっていたと思います。

 そんな初動からさらに、時間が経つにつれ当然人は増えて、デュエガチャに並ぶ列も膨れ上がっていって。想定外の人数だったのか結構早期から余剰のスペースに待機列を大きく伸ばしていました。結果、デュエガチャを遊ぶ経路としては、超長い待機列を速足でぐるぐる回る、という形に。

 歩くので待機中何かができるわけでもない、そして何より足に限界が来そうと思ってしまい、自分はデュエガチャは2回だけ遊んで諦めてしまいました。進む速度が競歩なので待機時間自体は平均30分くらいぽかったのですが、1回並んで1回しか回せないのもあって虚無感が強かったので……(ちなみに、Day2からは1回並べば2回遊べるようになったそうです。最初からそうしてくれ!!!!)。

 個人的に、というか多くの人にとっては期待値の高い目玉コンテンツだっただけに、運営の想定が実態とかけ離れていたことで満足できる状態になっていなかったのは素直に残念でした。後ほど似た旨のことを何度も書きますが、Day1は1万人もの参加者を運営が全く捌き切れていないためにイベントとして機能不全に陥っている箇所が多かったですね……。

 

各種展示

 素晴らしかった。

 前の2つは少し不満があったりしたんですが、これに関しては本当に文句なかったです。原作イラストの展示から、絶版ボックス・パック・デッキの展示、果てはアニメのクリーチャーCG資料やクリーチャーカードイラストの設定画に至るまで。様々な視点・角度から、デュエマファンの心を刺激してくれました。全部語ってるとキリがないので、3点だけ写真と共に語らせてください……。

 

 原作イラスト展示コーナーから1枚。『デュエル・マスターズSX』の最終盤、地球を破壊せんとするサザンスピアを勝舞とアダムが止める場面。

 自分、デュエマ原作漫画だとMtg編・SX・V3年目・VS1年目・ジョー編前半・WINが特に好きで。その中でも、『SX』クライマックスの盛り上がりは唯一無二だと思ってるんですよね。かつてない絶望的状況の中で、証なしでデュエル・マスターに覚醒した勝舞。彼と、原初の決闘者アダムの、地球の運命をかけた決戦。

 一息もつかせないまま二転三転させ、最後にボルシャック・ドラゴンを無理なく絡めて決着させるデュエル内容も。勝舞の言葉を受けたアダムさえも協力して、地球のみんなでサザンスピアを止める展開も。そして、英雄と成ってしまった果てに勝舞が迎えたデュエマ大好き少年に戻るための結末も。何もかもがじんとするほどドラマティックで、激しい熱を持ってるんです。

 そんな『SX』クライマックスの一場面。をあの大きさで展示してくれて、見た瞬間に改めてその迫力をサイズのおかげでより強く感じられて。あの見開きを初めて見た時の感動を思い出させてくれて、本当にありがとう……となりました。ちょっと泣いた。

 

 絶版商品のコーナーから1枚。『スーパーデッキサーガ ザ・ゴッド・キングダム』です。

 円盤デッキって良いよね……としみじみ思います。これほどワクワクするTCGの販売形態があるのかと。しかもスーパーデッキ、特にこの時期のものは、全てのカードが描きおろし新規イラストになっていて、今振り返っても、そして幼い頃の自分にとっても、夢のような商品だったんですね。パッケージを眺めるだけで興奮します。

 そんなスーパーデッキの中でも、自分の大好きなゴッドをテーマにした『ザ・ゴッド・キングダム』が一番グッときましたね。初期版とは雰囲気が違う、けどめっちゃくちゃかっこいいゼンアク。その間に割り込む第三の偽神、サガ。最高のトリオを、魂と盾の記憶、剛撃戦攻ドルゲーザ、口寄の化身、大地と永遠の神門という歴戦のカードプラスアルファが取り囲む。

 神化編のゴッドをフィーチャーしている時期にゼンアクテーマのデッキを出すというコンセプトの強さも含めて、本当に最高傑作デッキだと思います。生で見られて良かった……。

 

 展示とはちょっと違うけど、関係者のコメントが掲示されていた場所の一角。デュエマ漫画の原作者の方々が名を連ねています。

 ここに限らず、どのコメントも25年の歳月を感じていちいちグッときていましたが、やはり原作者の方々の記されている言葉は印象に残りましたね……。恐らく松本大先生の次くらいに長く、まだデュエマが一桁台の年齢の時からつい最近至るまで様々なデュエマ漫画を描いてくださっている伊原しげかつ先生のコメントが、 長い年月とそこで積み重なった色々を感じて特に心に残りました。

 ここのコメントを読んでいた時は、まさかこの中の一人がステージで話しているところを見られるとは露ほど思っていなかったのであった……。

 

対戦エリア

 不満足!!!!

 デュエガチャチャレンジの次くらいに、なんならそれ以上に参加人数に対してキャパや運営の想定が追いついていないことの煽りを受けた場所。それがこの対戦エリアでした。

 具体的な不満はデュエガチャチャレンジと全く一緒です。最初の方は比較的すぐ対戦できたのですが、11時頃から待機列が肥大化・複雑化していき、最終的には15分ほど競歩した後に15分くらいデュエマをして退場するやばいエリアになっていました。プロモパック交換券があるとはいえ、そんな時間かけてやっと1デュエマなのは割に合わないよ!!

 ただそれでも、ひたすらパチンコを周回するよりはやりがいを見いだせたのでなんだかんだ3回遊びました。素直にデュエマは楽しいなあとなりました。ただ、対戦エリアとデュエガチャチャレンジの列が肥大化した結果、一時退出口の行き方がわからなくなっていたのはイベントとして本当にダメだろと思いました。

 

物販

 Day1最大の闇。だったらしいエリア。噂によると、メールで事前に案内されていた事前物販の受け取りに最大2時間並んでいたらしい。

 「らしい」尽くめなのは、自分は別に1時間も並んでいないからですね。あくまで伝聞。より詳しく言うと、最後の音楽祭から閉場までスケジュールで30分の空きがあるし、普通に荷物になるから最後に受け取ろうと気楽に考えて他を回る→Twitter上で事前物販のやばさが拡散され始めるのを目撃して焦る→でも気づいた頃には残りのステージがジョー編(!)と音楽祭のみだったので受け取れなくてもいいからとステージを優先、という経緯で。

 結局、音楽祭終了後にスッカスカになった事前物販のレジで受け取りはできました。ので自分としては全く不便をしておらず、何も文句を言うつもりも権利もないのですが。

 まあそれはそれとして、「混雑を避けるために事前物販に協力お願いします」みたいなことを言っておきながら、実際には当日物販の方が数倍早く購入できた、というのが事実であれば狂っているなとは思いますね。というか、そもそも既に決済されているものを受け取るのに1時間とかかかるのがおかしいんですけども。

 Day2で改善されたのかどうかはわからないですが、なんにせよ今後はもう少しまともになってほしくはありますね。今後もいければ25周年ツアーには参加したいので、その時も狂ったままなのは困る……。

 商品は最高でした。次行く会場ではアクリルカードスタンド全種買います。

 

その他のエリア

 フリーエリア、アトラクションエリア、デュエルマスターズ・プレイスエリア、カードショップエリア、フードエリアなど。

 フリーエリアは座れるところはほぼありませんでした。デュエマしている人なんかもいて占有時間も長く、休憩するには一時退場しかなかったかなあと。そして一時退場するためにはデュエガチャと対戦の長蛇の列の隙間をかいくぐらなくちゃいけなかったなあと。

 アトラクションエリアも、ほぼ遊んでいません。というか、遊べませんでした。空いている午前中にかろうじて玉入れだけやれましたが、昼以降はどこも並びすぎて「現在お並びいただけません」の状態。うーん。

 デュエプレとカドショとフードのエリアは興味なくて一切触れていないのでノーコメントで。デュエプレコーナーがすぐに整理券対応の整理券配布終了になっていたのはウケました。

 

音楽祭

 というわけで、最後のステージにして最大の注目ポイントである音楽祭です。

 ここまでの文章を読んでいただければわかっていただけるかもしれませんが、Day1、率直に言うとイベントとして終わっていたんですね。開催地が東京に比較的近い、それ故に大量に集まったであろう1万人近くの参加者に対して、会場のキャパも運営の管理も全く釣り合っていなかった。結果、不便かつ疲れる要素が多すぎる、失敗イベントになりかけていた。

 いや正確には、そこで用意されている商品や展示、サービスの内容自体は素晴らしいんですよ。でもだからこそ、実際にそれを提供する体制が全く整っていないのが残念で仕方がなかった。

 楽しいは楽しいけど、こう、疲れたな……という感情が思い出よりも先に来てしまう。そんな予感と諦めに支配されかけていました。少なくとも僕は、結構な金額をかけて神奈川まで来たこと、ほんの少しだけ後悔していました。

 そんなところに颯爽と現れ、全てを力技で覆していったのが、最後の音楽祭だったんです。

 

松本大先生登場

 まず、ですよ。時系列的にもインパクトの強さとしても、最初に語っておかねばいけないこと。

 異変があったのは、音楽祭開催時刻、17時の10分ほど前。自分は、音楽祭の最速待機列に乗り遅れ(ジョー編ステージの観客が観覧エリアに入る前から並んでいました)観覧エリアの上限に間に合わず。しかしなんとなく事前にそれがわかっていたので「もう観覧エリア待機列にはお並びいただけません」と言われた瞬間に、観覧エリア外だけどステージが比較的見られる場所に移動して待機できていました。そこから30分ほど待って、あと少しで開演だと期待が高まる中で、ほんの少し早くチアリさんが登壇され、衝撃の事実を告げました。

 「ある方から、皆さんにご挨拶したいという提案がありました」「それではどうぞ、松本しげのぶ先生です!!」。ざわめく観客の前に、松本大先生が現れました。僕はというと、一目見た瞬間に驚きのあまり、感極まるあまり泣きそうになっていました。あの、漫画『デュエル・マスターズ』の原作者にして、クリーチャーデザインや背景ストーリーの原案などにも深く関わっている、デュエマにおける神様。が、同じ会場の、ステージの上にいる。

 松本大先生を生で見たのは初めてだったので、本当に感激してしまったんですね。そして語られる、松本大先生直々の感謝の言葉。頑張るというお言葉。ついさっきまで漫画のネームを切っていたという、噂にたがわぬ仕事への情熱を感じる事実も踏まえて、より一層深く重く、マイク越しの言葉は胸にしみわたりました。大先生のおかげで、自分は日々デュエマを楽しめている。25周年になるまでに。

 大先生がお話を終えてステージから降りられる際、自然と出たのは感謝の言葉でした。当然、そんな気持ちになったのは僕だけじゃなく、他の観客も口々に「ありがとう!」と感謝を伝えていました。

 最高のサプライズにして、最高のスタートダッシュ。デュエマへの愛や思い出を否応なく掻き立てられた状態で、音楽祭は始まったんですね。

(以下、アーティストの方々への敬称略です)

 

ユウ&アツト

 前述の出来事で最高潮に高まったところに先陣を切ったのは、ユウ&アツト。

 いやもうこれが、いや皆さんそうなんですけど、最高だった……。

 まずド初っ端は、今回の会場で一応メインを張っている勝太編最初のOP、『My ビクトリー!』。「ブイ! ブイ! ブイ! ビクトリー!」で始まる最初からクライマックスな楽曲で、イントロで観客の心を一気に掴んでいました。MCを何度か挟みつつ、『召喚最強ブイ』『鬼最強ビクトリー』『ミラクル☆ビクトリー』『ハチャメチャ・オレ!キング』『全然 大丈夫だぜ OK!』まで。こんなにも!?と思う数の楽曲を、当時のままの熱量で歌い上げてくださっていましたね。

 

全然 大丈夫だぜ OK!(新バージョンTVサイズ)

全然 大丈夫だぜ OK!(新バージョンTVサイズ)

  • デュエル・ヒーローユウ&アツト
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 以降のデュエマ主題歌にも当てはまるものが多いのですが、ユウ&アツトの楽曲は合いの手を入れる箇所が非常に多くて、1万人近い観客全員で一緒に声を出すのがすっごく楽しかったです。みんな「ブイ!」と叫ぶタイミングが正確でデュエマ大好きオタクが集まってるんだと感動したし、クリーチャー召喚パートの読み上げもできたのが盛り上がったな~。

 あと、合間のMCがめっちゃ面白かったですね。自分ははちゃめちゃに勝太世代なのですが、当時ワールドホビーフェアには行っていなかったので、ユウ&アツトを見たことなかったんです。だから、2人は紙面の、特に漫画『デュエルヒーローDASH』の中のイメージが強くて。作中の、普通なら色合い的にクールキャラのツッコミ役っぽく見えるアツトの方が破天荒なボケ、というギャップを実際に目の当たりにして、謎の納得感というか、数年越しの実感を得ていました。

 

上月せれな

 続いては、デュエマアニメのEDを多数担当されている上月せれなさん。歌われたのは、『WINING ROAD』『BRAND NEW MOMENT』の2曲。

 実は、上月せれなさんがEDを歌っていた時期はジョー編後半~WIN編で、勝太編で一度デュエマをやめてアニメも見なくなってしまった自分からすると微妙に世代ではなかったんですよね。漫画は読むのにそんなに時間がかからないから復帰後に一気読みしてジョー編の虜にはなったけれど、アニメは見る時間がとれておらず、ジョー編以降のほとんどが未見。

 ですが、出演者の欄にお名前が記載されていたことを事前に確認できたので、楽曲を履修していました。その甲斐あってちゃんとライブにノれたのが嬉しかったですねえ。

 で、自分の話は置いといてライブの内容としては、”アイドル”だった、に尽きます。かわいい衣装で激しくかっこよくキレキレのダンスを踊りながら、歌う。素人目にもわかる凄さがありました。

BRAND NEW MOMENT

BRAND NEW MOMENT

  • 上月せれな
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 また楽曲も、履修した時に特に耳に残った『BRAND NEW MOMENT』を歌ってくださって良かったです。コールの特訓を合間の時間でしてくれて、そのおかげで周りのあまり楽曲を知らない、恐らく同じく勝太世代であろうオタクもライブに参加できるようにしてたのも流石だなあ、と。

 

ニイカ(CV. 菱川花菜)

 個人的にニイカの登場するLOSTは全く刺さらなかったので一切見ておらず、そのため楽曲の履修もしていなかったのですが、会場内のモニターでひっきりなしに流れていたのでライブも楽しむことができました。菱川花菜さんが装いから雰囲気に至るまですげえニイカで、「本物だなあ」というよくわからない感想を持ちました。

 

はやぶさ

 ありがとう……。

 まず、セトリというか登場のタイミングが完璧でした。最初のユウ&アツトで最高潮までぶち上がりつつも、その後のお二方はそれぞれEDなどの担当で、勿論楽しいけどアップテンポかつより作品の「顔」なOPがそろそろ聴きたいな……となってきたところに、『未来はジョー! ジョー!』のイントロと登場した時の安心感ったらなくて。

 そして、一曲終えてからのMC部分で明かされる、衝撃の「全曲歌います」宣言。聞いた時、口から自然と歓声が溢れていました。本当に。

 というのも、はやぶさは今年の11月末に活動休止することを発表されていて。日程的に、今回の神奈川会場が25周年ツアーに出演してくださる最後の機会だったんですよね。なので、どの曲を歌うのかなーなるべく沢山聴きたいなーと、どうしても思ってしまう。特にDay1しか参加できない自分は、1日でどの曲を歌ってくださるかという点に意識が向いていたところに、これ。

 そして、最初から最後まで文句なしの素晴らしい歌声・パフォーマンスで、『未来はジョー! ジョー!』『超天フィーバー!』『キンキラKING』『ジョー☆デッキー!!!』『エボレボ!』を歌い上げてくださいました。先ほども言ったように自分はジョー編のアニメはほとんど未見なのですが、勝太編の時もOPを歌っていたこと、その時にデュエマアニメとしては他にない雰囲気に魅了されたのもあって全曲チェックしていたので、終始ずっと半泣きで歓声を上げていました。

 だって、あの、勝太編のマイペースな熱さや、ジョー編という自由の物語を体現したような楽曲の数々が、音源で聞いたのと寸分違わない、むしろそれ以上の歌声で耳に入ってくるんですよ。楽曲によっては、当時よりもメンバーがお1方減っている状態にも関わらず、それを感じさせないプロのパフォーマンス。これで泣かない方が無理という話です。本当に、当たり前のことなんだけど、お二方とも歌が上手すぎるし。音源越しではない生のこぶしや低温に痺れましたし。

 

エボレボ!(ボーカル新録音)

エボレボ!(ボーカル新録音)

  • はやぶさ
  • 演歌
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 ユウ&アツトの時と同じく、合いの手を入れる箇所が多く、かつ観客のそれがほぼ完璧だったのもじんと来てしまいました。最後の『エボレボ!』に至っては皆で「エボリューション! レボリューション! いつか伝説に届け!」と合唱していて、それもまた一体となっている感覚があってこみあげてくるものがありましたね。

 とにかく、本当に大満足なライブ内容でした。少なくとも11月末以降、しばらくはライブを拝見できないことが確定しているのは本当に残念ですが、でもデュエマファンとしては一切悔いのない、来てよかったと思わせてくれた。残りの3か月頑張って走り抜けて欲しいと、心の底からそう思いました。改めて、ありがとうございました。

 

Jack-Pot

 デュエマのメディアミックスの1つにして、今やDM公式よりもYouTubeチャンネル登録者数が多い大人気コンテンツ、『ドラゴン娘になりたくないっ!』。から生まれ、前回の兵庫会場で初のリアルイベント参加を果たしたバンド、Jack-Pot。

 先述した通り自分はドラゴン娘には1ミリも興味がなく(最初の時に少し見てみたけどびっくりするほど刺さらなかった)、必然Jack-Potのことは、実際に楽曲を音楽系サブスクやYouTubeにアップしていることすら今回のツアーまで知らなかったのですが。音楽祭の出演者一覧に名前が連なっていたのでこれを機に曲だけは履修しようと決意、Apple Musicで聴いてみたところ、見事にどハマりしてしまいました。

 真っすぐで、でも高レベルなガールズバンドという趣で。特に、メインボーカルである庵野水晶の独特な歌声(ハスキー? っていうんですかあれは? わからない……)が楽曲によって変幻自在に声色を変えるのがすごく聴きごたえがあるんですよね。それに合わせるように、楽曲も穏やかなものから激しいものまで千変万化、神奈川に行くまでの車内でまとめて聴くのが楽しくて楽しくて仕方がなかったです。

 元から、TCGにおけるJack-Pot、初登場のデッキのジャックポットエントリーをライブに見立てて発射するコンセプト自体は気に入っていたのも大きかったですね。それなりに遊んでカードに対する思い入れはあったので、あと一押しだった。その一押しが、楽曲によって思いっきりの力でされました。

 

ブルースドライバー

ブルースドライバー

  • Jack-Pot(from ドラゴン娘になりたくないっ!)
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 で、そんなハマりたての熱が冷めやらぬ状態でのライブだったので、当然めちゃくちゃ楽しいに決まってますよね。『アヴァランチ』『ファインダ』『ハーモナイズ』『ブルースドライバー』の4曲全て、魂を揺さぶられながら聴いていました。

 特に『ブルースドライバー』は事前に履修した中でトップクラスに好きな楽曲だったので、ラストに持ってきてくれてテンション上がりましたねえ。激しい曲調と叫ぶような歌詞が最高なんだ……それらが一体となったサビの「きっとまた さんざんまちがって キュっとしちゃって 叫びたくて」の盛り上がりが凄まじいんだ……。

 MC内容が朝のスペシャルステージに来ていたことを前提とした内容になっていた(なんかコールの練習をしたっぽいです)のだけほんの少し残念でしたが、総合的には200点の、最高のライブでした。他の観客も当然楽しんでいて、ルード・ザーナ役の夏目ここなさんと星増樹役の日向もかさんがライブ中にハグをしたところでデカい声で湧いてたりしてました。あと春咲栄久役の橘 美來さんがキャラ設定を守った黒マスクのまま歌ってるのすごすぎだろとなりました。

 これからも、Jack-Potの楽曲は追っていこうと思います。

 

原田謙太(ex.Ray)

 狂気の宴。

 いよいよ最後のアーティスト。しかし、司会のチアリさんの「ここからが大変だぞ~!?」の煽り通り、一番長くて大変で、でも一番ドーパミンが出た時間でした。

 初っ端から、まさかの『俺のデッキは52枚』で登場。予想できないことはありませんでしたが、でも主題歌ではなく1CMソングが初っ端で、しかもこんな盛り上がるなんてそんなんあり!?と思っていたら、まさかの原田さん本人が「なんでこれがカラオケで歌えるんだよ」とツッコミ。

 続いて『今!始まる勇気』『魂召喚!』とまとも(?)な楽曲が来て真っ当に(?)盛り上がったと思ったら、最後はこれまたまさか(でも期待通り)の『俺のデッキはデュエキング』(2019年 Ver)で締め……ることなく、8連アンコール、果ては今年のデュエキングソングの会場生収録まで入ってきて、止まることのない狂乱の渦に飲み込まれていきました。

 


www.youtube.com

 何言ってんだと思われるかもしれませんが、本当なんです。会場で本当に、デュエキングソングを8回歌ったんです。合いの手は観客が全部やったんです。1万人全員でクソデカい声で「開けてみたい!!!」「始めてみたい!!!」「ブンブンブブブン!!!」「メンタルお化け!!!」「わかりみエモい!!!」「デュエ!!」「デュエ!!」「デュエキング!!!」と拳を振り上げたんです。

 目標として、兵庫会場の7~9回の記録には達しようみたいな雰囲気はあったと思います。なんで前例があるんだよ。と考える暇もなく、叫んでいくほどに脳内麻薬がドパドパ出て、観客全員トリップしていきました。スタッフも熱に浮かされたのか「みんなの声がでなくなったら終了です」という指示まで出る始末。

 しかもその果てに、今年のデュエキングCMソングの会場生収録ですからね。そらおかしくなりますよ。楽しかったです。虚弱オタクすぎて7回目くらいで気絶しかけて焦りましたが耐えて事なきを得ました。

 

 終始良い意味で狂っていたステージでしたが、原田さんのMCの上手さも同じくらい光っていました。というか、原田さんのMCがあったからこそ、狂気の宴が最低限コントロールされ楽しく終われた。

 とにかく、原田さんのいじりが良いんですよね。デュエキングをアンコールする観客に対する「お前ら馬鹿なんじゃねえの!?」に始まり、後半は「殺すぞ」「シャカパチ野郎が」まで飛び出す。でも決して不快ではない、愛を感じるトーク。呆れつつも、次のデュエキングに突入するときは「お前らいくぞ!」「兵庫会場に負けたままなんて嫌だよなあ!?」とアツく盛り上げてくれました。

 最後も、閉場時間が来てしまってぶーたれる観客に「今日フォローしてくれたら絶対フォロバするからそれで我慢してくれ」と場を収めてくれていましたね。閉場時間が来て尚デュエキングソングを歌おうとする観客は何なんだ。

 また、狂っているパートばかりどうしても取沙汰されてしまいますが、まともな(?)『今!始まる勇気』『魂召喚!』も勿論めっちゃ良かったです。同じくぶっきらぼうながらも愛のある口調でコールアンドレスポンスのレクチャーと練習をしてくれたり。

 また、原田さんの「お前らこの曲知ってるか?」「兵庫の時は曲始まってから『ああこれかあ!』みたいな顔しやがって」に対して、自分の近くにいた、あらゆる楽曲のコールや手拍子を完璧にこなす只者ではないオタクが「マジで嬉しい!!!」と叫んでいたのも印象的でした。よかったね。

 ともかく、まともなところから狂ったところまで、余さず最高に楽しかったステージでした。デュエキングソングの歌詞がしばらく頭から離れません……。

 

まとめ

 というわけで、デュエル・マスターズ25周年ツアー神奈川会場、Day1のレポートでした。

 総評としてはやはり、「音楽祭最高!!!」につきますね。それ以外の面に関して、特にアトラクションや対戦といった体験型のコンテンツに関しては最悪に近く。1万人近い大量の参加者を全く捌き切れておらず、真っ当に楽しむことはほとんど不可能でした。

 ですが、そうやって積み重なった不満を、最後の音楽祭が丸ごと消し飛ばしてくれたんです。音楽祭だけで、「来てよかった」と思えた。チケット代も、交通費も、前泊の宿泊費も、全てペイできたと確信しました。

 ただそれはそれとして、イベント運営上の課題や山積みだったと思うので、改善されていくことを期待します。噂によるとDay2は同じイベントとは思えないくらい快適だったそうなので、今度はDay1からちゃんとした運営になってると嬉しいですね。

 

 書き切ったところで、今回は筆を置こうと思います。長文お付き合いいただきありがとうございました。読んだあなたに、25周年ツアーへの興味や、同じ会場にいた者としての共感を届けられたら幸いです。

 

 デュエマ、最高~~!!!!!

感想『アギトー超能力戦争ー』 ドラマティックで平凡な「生活」と「進化」

 どうも、石動です。

 ついに公開されましたね、『アギトー超能力戦争ー』。『仮面ライダーアギト』25周年作品にして、仮面ライダー55周年で立ち上げられた新たなブランド、『THE KAMENRIDER CHRONICLE』の1作目。

 

仮面ライダーアギト Blu-ray BOX 1

 自分としては、『アギト』を見た多くの視聴者がそうであったのと同様に、この作品は特別で。一年間を大きな謎で引っ張り続けるフックの持続。三人の仮面ライダーの物語が同じ世界の中で進み、時に交わっていく群像劇。それらの謎と複数の視点が収束した果てに示された、人間の可能性と未来を信じた賛歌。平成ライダーの特徴となりうる要素を確立し、でありながら後年から見ても一線を画すエンタメ性と独自のテーマ性も描いた『アギト』に、ずっと心を奪われてきました。

 『クウガ』と同様に放映時はまだ生まれていなかったので、最初の視聴は東映特撮Youtube Officialでの無料配信。放映時の2倍のペースではあるものの、毎週2話でそれなりの長さがある配信期間の間、ただの一度も見逃すことはありませんでした。それどころか、毎週毎週、更新が早く来ないかと待っていた思い出があります。それほどまでに、一週たりとも飽きさせてくれないくらいに、『アギト』は自分にとって「面白い」作品でした。いまだに、単純なエンタメ性・完成度の高さで言えば、平成ライダーでも『W』と不動のツートップだと思ってます。

 

 そしてその感想は、何度見ても変わらなくて。二度目は、急に「平成ライダー全部見る!」と言い出した、初見の妹と一緒に。三度目は、『超能力戦争』の公開と『超アギト展』の開催が決定したときに。仮面ライダーなどを普段からあまり見ない他者の反応を横に見ながらの視聴と、年月が経って創作作品を見た本数も増え見方も少し変化したうえでの視聴。しかしそのどちらでも、『アギト』は面白く感じられました。

 自分が少しばかり変わった程度では変わらない、普遍的な面白さと人間賛歌が『アギト』にはあるんですね。余談ですが、妹も終始「面白い」と楽しんで見てくれました。だからこの普遍性は、仮面ライダーオタクの感性の中のみのものではないようです。

 

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引用:https://twitter.com/agito_movie/status/2045081860683055215

 そんな『アギト』の、25年ぶりの新作。続編。公開が発表された瞬間は楽しみで楽しみで仕方なかったはずなのに、公開日が近づくにつれ不安が芽生えてきて。

 『アギト』三周目を進めていくうちに、その面白さと完成度の高さを再実感すると共に、「この完璧な結末に何を付け足すんだ……!?」「ここまでの面白さに、鮮烈さに届くほどのものを果たして再び作れるのか……?」と思ってしまったんですね。『アギト』関係で言うと、7年前に『ジオウ』で(『ジオウ』が7年前!?)アギト回がありましたが、そちらがレジェンドの客演としての面白さに全振りした、ファンサービスの方向性では頂点と言ってもいいものだったからこそ、今回の正式な「続編」という立場に身が強張る。

 そして、昨日。見る側なのに何故かいっちょ前に緊張までして、映画館に行ってきました。準備は万端。SNSも断ち、極限まで情報を遮断して、自分の中の感性にだけ問いかけた『超能力戦争』との勝負。

 

 結論から言うと、自分は圧倒的に「賛」でした。

 

 

(以下、本編のネタバレを含みます)

 

 

 

 

 

全体の構成について:アギトの構成要素を外さない王道さ

 まずもって、話の大筋について。突如として現れテロまがいの大量殺人を開始した超能力者、「ギルアギト」に変身する者達との戦いの中で、彼らはアギト因子によって人工的に覚醒させられた存在なのだと判明する。大量殺人の目的も、アギト因子によって人類の覚醒を早めることが目的なのだと。それを語る黒幕、木野薫の言葉に対して、今作の主人公たる氷川誠が反論する。

「進化とは誰かによって為されるものではない。何度も困難を乗り越え、自分を乗り越え、達成されるものだ!」

 「超能力者達の目的と正体」「氷川誠が服役するきっかけとなった村野かすみ殺人事件の真相」という謎で引っ張り、本編とは対照的に「人類の進化を促す存在」を黒幕に据え、その強引な進化への欲望を、"人間"氷川誠によって否定する。『超能力戦争』は、謎と人間の"進化"をメインに据えた、『アギト』らしいお話でした。

 賛否が分かれている今作ですが、恐らくこの大筋に対しては、少なくとも謎で引っ張り人間の進化をテーマとする骨格に対して、皆「らしい」という感想の人が多いと思います。それくらいの王道。『アギト』の続編をやるならこうなるだろうなという域を良くも悪くもはみ出していないので、極端な加点も減点もない。

 なので今作の賛否の分かれ目は実際にお出しされた描写なわけですが、その前提のうえで、僕はこのあらすじの段階でかなり刺さったところがあって。それが、村野かすみ殺人事件。この事件の存在と内容が、とても巧みだと感じたんですね。

 

仮面ライダージオウ スピンオフ RIDER TIME 仮面ライダー龍騎 [Blu-ray]

 何が巧みかって、この事件があることで、「北條さんの婚約者が不可能殺人のような手法で殺され、氷川さんが犯人として逮捕された」ことで、物語を一気に圧縮できてるんですね。氷川さんが逮捕されることで序盤は戦えない状況を作り、婚約者が殺されることで北條さんが物語に強く関わる動機付けを行い、また事件そのものが先述のように作品のフックになる。テレビ本編にはいなかった北條さんの婚約者が生み出され殺されたことで、物語開始時の構図をスムーズに整えられている。

 これ! この大胆な計算高さに井上敏樹脚本らしさを感じて、グッときたんですよね。近年だと『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』の手塚と芝浦が恋愛関係にあった展開、遡ると龍騎のテレビスペシャルの手塚が小川恵里と過去に関係があったことになっていた件なんかと同様の、既存の登場人物の関係性を変えることへの躊躇いのなさ。それによって衝撃の展開や物語のフックを低コストで演出できて、かつ無理のない変化であるなら、迷いなくやってしまう大先生の大胆な十八番。

 今回の場合は、25年ぶりの続編ということで、長い年月が経っていたこともプラスにはたらきますね。25年も経てば、そりゃ北條さんにも婚約者できるよなあ……と。「無理のない」度が先ほど挙げた他の例よりも低く、すぐ素直に飲み込めました。

 と同時に、事前の情報はかなり制限して映画に挑んだ自分は、まず最初にここで魂をがつんと殴られました。「この作品は正真正銘、間違いなく井上敏樹が書いているんだ」と、思わず居住まいを正してしまいました。映画館で。

 閑話休題。ここからは、そんな王道な大筋を彩っていた個々の要素について、語っていこうと思います。

 

キャラクターについて:「当時の延長線上」を見せてくれたことへの感謝

 何よりも、ここが良かった……。

 周年作品で最初に気にしてしまう、楽しみでもあり不安でもある最も大きな要素、キャラクター。観客としては、久しぶりに会う登場人物達が、ちゃんとかつて見た彼らなのかどうかというところに、まず焦点が来る。特に今作のような実写の作品は、年月の変化がアニメなんかよりも如実に感じられるからこそ、彼らに会えるのかという思いが強くなる。

 その点『超能力戦争』は、間違いなく100点でした。『アギト』の面々が25年の中で変わりつつも、ちゃんとらしさを見失っていない姿を、一部の例外を除いて見せてくれた。

 例えば、小沢澄子。Gユニットがメインになるということで実質的な主人公クラスの登場時間の長さだったわけですが、どの瞬間においても明確に、僕らの知っているかっこいい小沢さんでした。と同時に、パンフレットで演じた藤田瞳子さんも言及されていた通り、年月を経て少し丸くなったような部分もあって、だからこそ変わらない氷川さんへの信頼に熱くなれた。

 例えば、美杉太一。ほんの一瞬の出番しかなかったんですが、その2・3回程度の台詞で「太一だなあ~!」「大きくなったな~!」と、25年前との連続性を感じさせてくれました。台詞も演技も、どちらも素晴らしいからこその感動がありました。

 

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引用:https://twitter.com/agito_movie/status/2043645372720123935

 そして何より、キャラクターと言えば今作の主人公、氷川誠。『アギト』でデビューし今や超有名俳優な要潤さんが、25年ぶりに『アギト』に帰ってきてくれました。しかも、当時の雰囲気そのままに。

 本当に、誇張抜きで、当時と同じ「氷川誠」なんですよね。『アギト』の頃の要潤さんの演技はまだ拙いところもあり、しかしその拙さが不器用で真っすぐな氷川誠というキャラクターを作り上げていた側面もありました。しかし『超能力戦争』の要潤さんは、当然演技に拙い部分などないうえで、ちゃんと「氷川誠」になっている。不器用で誠実な一人の"人間"が、スクリーンの中に確かにいました。

 また、テレビ本編にはいなかった新キャラ達も、決して元の雰囲気に飲まれてしまわない素晴らしい存在感でしたね。

 特に仮面ライダーG6の葵るり子、「口が悪くても印象が悪くならない高身長の女の人」というアクロバティックな条件からゆうちゃみさんにオファーがいったとパンフレットで語られていましたが、キャスティングの狙いが120%発揮されたと感じました。井上敏樹脚本のかっこよくさっぱりした陽性の女性キャラクターと、所謂「ギャル」の属性は相性がいいんだという発見もありました。

 とにかく、キャラクターの雰囲気、キャストさんの演技と井上敏樹脚本の台詞は終始良かったです。ただ一人を除いて、新旧全て、メインのキャラクターをもっと好きになれる、嬉しい再会と出会いだったなと。

 

脚本面の細かい点について:井上敏樹脚本らしい「外さなさ」

 続いて、脚本面での細かい点について。『超能力戦争』、井上敏樹脚本らしい、「大胆に割り切るところは割り切る(主にロジック面)けど、キャラクターの心情面などの絶対に外しちゃいけない点に対するフォローはする」誠実さが随所に見られました。

 以下、特に印象的だった点を列挙すると……、

・ギルアギトの正体が人間だとわかった氷川さんが攻撃を躊躇い、北條さんが叱咤して迷いを捨てる描写をコンパクトながらしっかり挟んだこと

・役者さんの関係や物語の都合で犠牲になり計画に利用されるだけにとどまってしまった葦原さんが、最後の最後に氷川さんを助ける手伝いをしてくれた?と思えるような描写

・こちらもまた物語のヒキや関係性の構築のために婚約者を殺害されてしまった北條さんに、しっかり仇討ちの機会を与えるバランス感覚

 

 本編で主人公の一人だった葦原さんが死んでしまっていたり、北條さんに婚約者が生えて殺害されたことになっていたり、井上敏樹脚本ってやはり大胆で。25年ぶりの続編ということで本編の余韻やハッピーエンドを壊さないようにしようという意識よりも、物語としての推進力を優先している。

 けどその一方で、絶対に越えちゃいけないライン際々の舗装もまた、井上敏樹脚本の特徴だと思っていて。上に挙げたように、葦原さんには最低限の救いを、北條さんにはしっかりとした見せ場が与えられている。ダイナミックさだけが井上敏樹脚本の魅力ではないと、そう見せつけてくれたのが『超能力戦争』でした。

 

 特に北條さん、他の方の感想を読んでいると、分身能力に目覚めたことを利用したギャグなんかをライン越えだと感じて不快に思う方もいたようなのですが、個人的には真逆で、この映画でトップクラスに良い出番をもらえていたと思います。

 しっかりと婚約者の仇を撃ち、テレビ本編から引き続きの警察官の矜持で氷川さんの迷いを振り払い、25年前と同じように、氷川さん個人への信頼を最後に示す。分身能力も、初出と絵面自体はギャグですが、作中で戦闘・諜報面でしっかり使いこなされ、また目覚めるロジックも示され黒幕の目的の伏線となっている。

 北條さん、テレビ版でも一番好きなキャラクターだったので、彼が決して雑な扱いにはならず、きっちり北條透としての矜持と意地を見せつけてくれたことが、とても嬉しかったです。嫌味さも純粋さも変わらない、山崎潤さんの演技も素晴らしかった。

 

映像面について:G7、かっこよすぎる……!

 続いて映像面について。こちらはかなり賛否両論、というかほぼ「否」に近い方が多い印象です。

 で、まあ実際に、「思っていたよりは……」というのは自分も感じなくもありませんでした。仮面ライダーがレジェンドタイトルと要潤という超有名俳優を引っ提げ、一般向けに繰り出した『THE KAMENRIDER CHRONICLE』の1作目。その宣伝・公開規模に対して期待するほどは、お金も製作期間もかかっていなかったなあ……の想いは、拭えない。

 ただ自分の場合は、「思っていたよりは……」とは思いつつも、見ている最中は明確な不満にはならなかったんですね。まずもって、思ったよりはお金はかかっていないものの、「いつものVシネ」とは一線を画す画面ではあった。全てが限界まで絞られたあれに慣れてしまった身としては、それとは明確に違う過去の仮面ライダーの映画ということで、それだけでテンションが上がってしまいました。

 また、自分が一番「外さないでくれ」と思っていた部分が素晴らしかったというのも大きかったです。井上敏樹脚本と同様に、映像でも最低限のラインは守ってくれた。

 

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引用:https://twitter.com/agito_movie/status/2029315958805090364

 それが、新仮面ライダー、G7のアクションシーン。本当に、凄まじく、かっこよかった。

 こういう周年映画の場合、どうしても新形態というのは冷遇されがちで。最後に基本形態に戻ってその懐かしさとカタルシスに印象を全て持ってかれることが発生しがちなのですが、今作では最後までG7で戦い抜いてくれた。Gシステムの本質は進化し続けるシステムと、それを使う"人間"氷川誠なので、アップデートされた最新版が最強なのは理屈でも感情面でも納得できました。

 そのうえで、実際の活躍も本当に良くって。腰に付けたGZ-10オロチ(刀)と全身に取り付けられたドローンを活用したギミックを、お腹いっぱいになるまで見せてくれたのが良かったですね。特に両方を活かした刃を研ぐギミックが個人的に大好きで、刃こぼれしたオロチの刀身を、ドローンによって再生成する挙動が「日本刀を研ぐ」ように見えるのに痺れました。

 『THE KAMENRIDER CHRONICLE』という、一般受けを狙いに行くブランドの初っ端で映像面で一番良かったのが新仮面ライダーのアクションってそれはいいのか、とは思いましたが。ただ、狙いに行っている層が実際どんな映像美を求めているかは僕にはわからないし、少なくとも自分にとって一番大事な部分ではあったので、そこに力が入っていて、かつちゃんと成功していたのは喜んでいいと思います。CSM欲しくなりました。

 

ギルアギト陣営、ひいては木野薫について:今作最大の不満点

 はい。今作最大の問題点。今作の賛否が分かれている最大の要因にして、「賛」の皆も手放しには褒めていない、ギルアギトの面々と、黒幕たる木野薫の描写についてです。

 まず、最初に結論を述べると、自分は不満を感じつつも、大きなマイナスに至ることはありませんでした。両者とも問題点を孕みつつも、可能な限りのフォローがあり、自分はそのフォローと、作品のやりたいことに納得できた。

 ギルアギトの面々と木野さんの扱いで少し問題点の細部が違うので、別々に語っていこうと思います。

 

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引用:https://twitter.com/agito_movie/status/2036397615668142178

 まず、ギルアギトの面々。木野さんにアギト因子を注入されることで末期の病状から回復すると同時に、アギトの力に目覚めた者達。今作の「敵」、言ってしまえば「怪人」にあたるキャラクターです。

 そう、「怪人」。今作では、『アギト』本編で「人間の無限の可能性」として肯定され、翔一くん達によって守られた、アギトの力が怪人として立ちはだかるんですよね。最終的に残らず仮面ライダーに撃破されること含めて、本当に「怪人」。だから当然、アギトが「怪人」に堕ちてしまったことに、そうでなくとも氷川さん達が元人間を救出ではなく殺害してしまう展開に、『アギト』ファンとしてはどうしようもない拒絶を覚えてしまうんです。そして、その悪印象が引っ張って、今作を好印象を持てなかった人は沢山いる。

 ただ、先ほども言ったように、自分はギルアギトが怪人として立ちはだかる展開に、そこまで大きな不満は覚えなかったです。全く引っかからないとは言わないけど、他の魅力で押し切って、総合的に「好き」だと言える程度の引っかかり。何故そういう感想になったのかというと、作中でしっかりフォローが入っているから。

 言うまでもなく、先述した、氷川さんがギルアギトが人間だと知って撃破を躊躇った後、北條さんの叱咤で迷いを振り切る展開ですね。氷川さんという人間、それもG4の一件で人間を相手にすることにトラウマがある彼の迷いを通して、「人間」を、「アギト」を倒してもよいのかという迷いと、「人間」も「アギト」も関係なく、市民を裁くのが警察官の仕事だという倫理が描かれている。

 考えてみれば、アギトという存在がどうであるか、その力をどう使うかは人間の手に委ねられていたのは、テレビ本編からそうでした。木野さんは過去に囚われて自己中心的な目的のために力を振るい、翔一くんは他者の居場所をアンノウンから守るために変身した。テレビ本編第38話でわざわざ対比して、アギトの力は個人次第で正義にも悪にも転ぶという危うさが描かれた。

 だから、アギトの力に対する認識も法整備も追いついていない段階で、大量殺人を犯すギルアギトを前にしたとき、実力行使による殺害という方法に至ること自体は、本編と明確に矛盾しているわけではないんですよね。そこに、先述の氷川さんと北條さんのやり取りを経ることで、ちゃんと本編を蔑ろにしない形に落ち着いている。そもそも、現行法でも人の往来する場所で殺傷能力の高い武器を振り回し実際に数十人を殺害した人物を前にしたら、警察だって拳銃を持ち出すことにはなるでしょうし。

 

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引用:https://twitter.com/agito_movie/status/2036022465026253193

 また同時に、大山や黒谷といった、元は悪人・一般人でありながらギルアギトの力を人々を守るために行使した市民が出てきたことも大きかったです。

 テレビ本編ラスト5話では、アギトをめぐる対立、アギトを脅威と捉えアンノウンを保護しようとする者と、アギトを人間の無限の可能性として受け入れる者の主張が描かれ、最終的に沢木哲也(津上翔一)がアギトの受容による人間の進化を信じた清々しい結末を迎えることで、後者が肯定され番組は幕を閉じました。「きっと、俺が、勝つさ!」という彼の最期の言葉には、揺るぎない自信がありました。

 そして、今作を見終えたときに、僕は「あいつは賭けに勝ったな」と、悩むことなく迷うことなく、納得しようと言い聞かせることもなく、素直にそう思えた。完全勝利とは言わないけど、彼もそこまで人間を妄信しているわけではなかったと思うけど、でも確かに、アギトの力を人間の可能性として示してくれる者がいた。そんな"人間"が、最後に氷川さんを救ってくれた。それこそが、単にアギトの力が「怪人」に堕ちたわけではない、ということを示している。

 「テレビ本編から、アギトの力は人間次第で正義にも悪にも転ずるものだった」「その中で、個人の善性に従って人々を守ってくれた者がいた」。この2点と、あと後述するプラスアルファで、しっかり「人間の可能性」を見せてくれた。だから、僕は不満よりも満足が先に来ました。

 

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引用:https://twitter.com/agito_movie/status/2037484787511009678

 続いて、木野さんについて。誰もが驚いたであろう、今作での木野薫の復活。しかし作品の蓋を開けるとさらに衝撃的な、「彼が今回の黒幕、ギルアギトを目覚めさせ人々を襲わせた黒幕」だという真実が明らかになりました。

 まず最初に断っておくと、先ほどのギルアギト関係とは違い、木野さんの扱いは明確に「問題点」と言い切ってしまっていいものだと僕は思ってます。だって、テレビ本編でアギトの力を個人のエゴで使い、その手で人を殺そうとし、しかし葦原さんと翔一くん達と過ごす内に自らを反省しアギトの力に飲まれた、過去に囚われた状態から脱却できた木野さん。翔一くんを救い、過去の弟も救うことができた夢の中で雪山に消えていった彼が何の理屈もなしに舞い戻り、敵になってしまってるなんて、到底受け入れられることではない。

 ただ同時に、このショッキングな展開に至るまでに、可能な限りのフォローとバランスをとる描写があったとも、思ってるんですよね。これが与えるダメージを考慮したうえで、最大限の配慮はされている。列挙すると、

・助けを求めに来た葦原さんが目の前で死んでギルスの死体を手に入れたことが、今回の事件を起こしたきっかけである
→また目の前で大切な人を守らずに過去に囚われてしまい、患者を助けたい一心や進化を促して失うことをなくしたい一心が芽生えてしまったのか…?

・死んだはずなのに何の理屈も説明されず生き返っており、また死に際には「また地獄の底から、何度でも蘇る」という言葉を残している
→そもそもこいつは本当に純度100%の木野薫なのか? 何か大きな人類全体の意思や超常的な力が現出したもの、もしくは木野さんのアギトの力と過去への妄執だけが残ってしまった、『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』の神崎士郎のような存在なんじゃないか?

 これだけ、納得できる材料は揃っている。

 

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 また、これは木野さんが黒幕だったことに拒否反応を示す方の中の一部が言われている感想に対する反論なのですが、「木野さんが今作においてこのポジションになる意味がない」とは、僕は全く思いません。木野さんがそうなってしまうことへの不満と、その展開に旨みが一切ないという主張は、別の話です。

 テレビ本編から、木野薫は人間に救いを与えたいというエゴを持っている人間でした。アンノウンからの守護に限らず、病からすらも人間を守りたいと思っていた。守らなければと駆られていた。そんな木野さんが、25年の月日か、葦原さんの死がきっかけか、今作で境界を越えてしまう。

 パンフレットで樋口隆則さんが語っている通り、木野さんの心に起きた変化の種は、作中のアギトの力と同様に、誰もが持ちうる種かもしれないんです。その事実は、木野さんというテレビ本編のキャラクターが突き付けることで、強い意味を持つ。今作オリジナルの黒幕ではきっと出せなかったであろう重みが、彼の言葉には宿っている。

 

 と、長々と語りましたが、要するに天秤がどちらに傾くかという話でしかないんですね。これらの展開がもたらす不満や反発が、どの程度大きいか。為されたフォローやこの展開をする意味が、どれだけ心に刺さったか。確実にバランスはとろうとしているうえで、それが「許せる」に傾くか「許せない」に傾くかは、当然ながら個人によるとしか言えない。

 すごく乱暴な言い方をすると、展開のもたらす感情へのダメージと、物語進行上のスムーズさのどちらを重要視するか、という話でもあると思います。そして僕は、後者の方に比重が傾いた。1時間半ずっとギルアギトを殺さずに捕獲することに苦心し気持ちいい戦闘が観られないことへのフラストレーションを廃し、コンパクトな葛藤でその問題をクリアしたことにする判断に頷けた。

 何より、次語るラストシーンの内容が、ここで覚えた不満を解決してくれました。だからこそ、僕は『超能力戦争』を迷いなく好きだと言えるんです。

 

ラストシーンについて:素晴らしいエピローグに、感謝と拍手を

 今作のラストシーン。ギルアギトと木野薫が変身したアギトを撃破した後に、登場人物の皆で、作中で犯した脱獄などの犯罪を償いに自首をしに行く結末。そう書くとバッドエンド!?となってしまうんですが、まったくもってそんなことなくて。むしろ、同じ井上敏樹脚本の『キバ』最終回と同様の完全無欠のハッピーエンドで、かつ、この結末だからこそ、『アギト』は再び上げた幕を下ろすことができるのです。

 

 『アギト』は、地に足ついた「人間」の物語でした。最終盤、全ての真実が明らかになった後は、神々との戦いを通して、アギトの力を、人間の可能性の是非を問う壮大なサーガがクライマックスを彩るのですが、それと同じくらい、作品内には人間の地に足ついた「生活」の描写が溢れている。

 主人公たる翔一くんは、家庭菜園で野菜を育て、それらを収穫して料理をして、掃除をして、日々を生きることを、「生活」を楽しんでいた。そしてそのメンタリティこそが、自分の中のもう一つの自分、自分を飲み込み押しつぶそうとする巨大な力であるアギトを制御することに繋がっていた。

 第3話では、彼はアギトの力の暴走への恐怖を、家事をこなして「生活」することで乗り越えて。第34話では、水のエルへの恐怖を真魚ちゃんの弁当から勇気をもらうことで克服し。テレビスペシャルでは、かつて記憶喪失から生きる気力を取り戻した時と同じように、澄み渡る空の青さを見てシャイニングフォームに覚醒しました。

 翔一くんほど明確にアギトの制御と進化に関わっていなくとも、『アギト』内には「生活」の描写が本当に多いです。葦原さんは自らを襲う運命を理解したうえで「普通に生きることが、俺の夢だ」と語り、G3ユニットはことあるごとに焼肉に足を運び、第22話では小沢さんと翔一くんが各々の悲しみを焼肉とビールで流し込むことで立ち直りました。

 井上敏樹脚本の、生活や日常を大切にする描写が、『アギト』では特に強く表れているんですよね。そして、そういった地に足ついた「生活」、人々が日々生きて悩んで過ごしていく描写が親和することで、神話をモチーフにした終盤の壮大な「人間の可能性・進化」のテーマもまた足場を確保できる。例えば、劇場版では「生と死」という大きなテーマに対して翔一くんが「生きるって、美味しいってことじゃないですか」とあっさり答えを出した。

 それと同じように、生命の息吹を感じさせる「生活」の描写を登場人物が積み重ねたからこそ、壮大なテーマも人間のこととして、自分のこととして強く受け止められるんです。

 「生活」が描かれていること。それは、壮大な「人間の可能性・進化」のテーマと同じくらいに、もしかしたらそれ以上に、『アギト』らしさを担保していたんです。

 


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 では、そんな『アギト』において、「人々を守る過程で犯した軽犯罪を償いに自首する」ラストは一体、どんな意味を持つのか。言うまでもなく、人間の倫理が作り上げたシステムの中で、法の中で「生活」していくことの肯定、そして日々進化していく人間の可能性への信頼です。

 『アギト』本編で描かれた生活は、当然ながら人間の社会の中でなされたものです。洗濯も掃除も料理も、人間が行う、人間の行為。大前提としてその背景には、巨大な人間の社会があります。

 『アギト』本編や今作で翔一くん達が人々を守ったのは、その善性から、「誰かが理不尽に殺されるのを、居場所や未来や可能性を奪われるのを黙って見ていられない」という倫理から。人間の中で培われている倫理があるからこそ、たとえ関係ない他者であっても、無慈悲に命を奪われるのを黙って見ているなんてできないと、そこに正義が芽生える。

 そんな、『アギト』という番組の大前提にあった人間の社会と倫理の象徴こそ、法なんですね。人間が長い年月を経て作り上げていた、互いを害せずに各々の「生活」を楽しむために必要なシステム。なくてはならない、守ることで互いに支え合う社会の成員となるルール。

 それを、たとえ人間を守るためであっても、軽犯罪であっても、順守する。明るく、前向きに、日々の「生活」の一環として、自首する。たとえ今はアギトに関する項目が盛り込まれていない、不完全なものであっても。今回の件を受けて、そうでなくともいつかの未来で、これまで人間がしてきたように、現在の社会に合わせたアップデートがされると。また、共に「生活」していくために「進化」できるという信頼を、『超能力戦争』は見せてくれているんです。

 

 と同時に、この結末は、ここまでに述べた大小様々な不満へのアンサーにもなっている。

 ギルアギト陣営については、事情があれど法を無視し他者を害した彼らとは違うと、一線を。話の大筋の王道ではあるがインパクトが不足している欠点に対しては、鮮烈なラストシーンでもって代替を。

 彼らが償いに行く犯罪に「殺人」が含まれていればより良かったかもとも思いますが、ただそれだと明るい雰囲気にはなれないんですよね。あくまで明るく、朗らかに自首することが肝要だから、その罪状を含めないことには全然頷ける。

 

 また、今作の主人公である氷川さんらしい結末だという点も、素晴らしいですね。作中で「たとえ自分は無罪だと認識していても、反証がない以上は法の裁きに従う」旨の発言をしていた彼。その生真面目さが、警察官としての誇りが、キャラクターの魅力が、他の登場人物達にも伝播し、かつて翔一くんが「生活」を愛したことと同様に、テーマと密接に結びつく。ただの"人間"の生真面目さこそが人間の進化に繋がるのだと、そう思ってしまうくらいには鮮烈に。

 そしてエンドロールと同時に、主題歌が流れ出す。曲名は、『ドラマティック平凡』。「変わりつづけていく。変わらないものを抱いて」……。

ドラマティック平凡

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  • provided courtesy of iTunes

 

 

 以上、『アギトー超能力戦争ー』の感想でした。

 色々細々とした不満はあれど、期待以上に『アギト』でした。見る前の不安を全くの杞憂にしてくれて、2026年に『アギト』らしく面白い作品を見せてくれて、本当にありがとう……。

 というわけで、今回はここで筆を置こうと思います。長文お付き合いいただきありがとうございました

ドキドキつよいデッキ 25の王道 地上戦は最強!水自然ジャイアントデッキ 感想と一応の改造案

 どうも、石動です。

 

sasa3655.hatenablog.com

 先週、当てて初めて遊んだ7デッキの所感と改造案を書き終えた『ドキドキつよいデッキ 25の王道』。だがしかし、まだまだ擦ります。

 今回は、以前の7デッキとは違い、僕はドギつよかからは当てなかったデッキタイプです。その代わりずっと、もう本当にずっっと、このデッキの顔であるゴルファンタジスタが初めて世に出てアーキタイプが誕生した時からずっと遊んでる、大好きで思い入れがあって、人並みには理解してる自信のあるデッキ。

 地上戦は最強!水自然ジャイアントデッキ編です。よろしくお願いします。既に持ってるデッキなので、今回はいつもと違って感想よりも解説の方も多めのスタイルでいきたいと思います。

 

(改造案に「一応」と設けているのは、どのリストもすごい完成度で、そのままで十二分に楽しいから……ってのと、今の段階で改造するのは勿体ないかなと思うからです。

 初心者の方はご存知でない方もいらっしゃると思うんですが、5月にドキドキつよいデッキのコンセプトを強化するカードを収録した『25の援軍』というパックが出ます。  改造するのはそれまで待ったほうがいいという前提のうえで、今すぐもっと強いリストを使いたい!という方は改造してもいいんじゃないかなあと。

 あと、この記事で使う画像は、デュエル・マスターズサポートアプリ(https://dm.takaratomy.co.jp/event/supportapp/)のものと、公式カード検索(https://dm.takaratomy.co.jp/card/)のものから引用しています)

 

 

水自然ジャイアントの動きと強み

水自然ジャイアントって、どんなデッキ?

 まず、2ターン目に相手の動きを妨害するメタクリーチャーを出します。

 メタクリーチャー、というのはキャディ・ビートルや同期の妖精のことですね。前者は相手にマナより大きいクリーチャーを出せなくさせ、後者は相手が選ぶ際にその対象を吸い、場から離れると下面のド浮きの動悸を撃って相手の盤面を荒らします。両者とも、出すといい妨害になりそれなりの時間がもらえるカードです。

 

 次に3ターン目、3通りのやり方でこのデッキの中核たる5コストのジャイアンに繋ぎます。

 やり方の1つ革命チェンジで、2ターン目に出したメタクリが攻撃する時に、チアスペース・アカネが手札にあればその効果でメタクリと入れ替わって場に出すことができます。

 

 2つ目のやり方は、ハイパーエナジー。爆翠月アカネは、場のクリーチャーをタップした数×2コストを軽減できるので、先ほどのメタクリーチャーをタップさせることで5−2=3コストで召喚可能です。

 

 3つ目のやり方は、アシステスト・シネラリアを召喚すること。このクリーチャーはジャイアントが他にいると、つまり2ターン目のメタクリが場に残ってると登場時1ドローができ、加えてジャイアントと種族にあるカードを使うコストを1下げます。手札を減らすことなく、次のターンの5コストジャイアント召喚への導線を作れるんですね。

 

 そして次に、それらの方法で出した5コストのジャイアントから、超重竜・銀河竜の2種類のゴルファンタジスタ、特に枚数が多くこのデッキの顔でもある超重竜に革命チェンジします。

 ゴルファンタジスタは両者とも7コストのジャイアントですが、チアスペースと同じ革命チェンジを持っています。入れ替わる先の条件は、「コスト5以上のジャイアント」。

 このデッキに入っているコスト5のジャイアントは、マッハファイター(出たターンにクリーチャーに攻撃できる)かジャストダイバー(次の自分のターンの初めまで選ばれず、攻撃されない)を持っています。その能力で出たターンに、もしくは1ターン確実に生き残った返しのターンに攻撃し、革命チェンジの条件を満たしてゴルファンタジスタを踏み倒し、その強力な効果で相手の妨害と自分の盤面の形成を同時に行えるんですね。

 

 そして、そのように一度盤面でマウントをとる動きを基本に据えて、その繰り返しや場面ごとの使い分け、終着点であるゴルファンタジスタの強力な効果の連続使用で盤面での勝利を狙っていくのが、水自然ジャイアントというデッキです。

 デッキ名にもある通り、地上戦で相手を制していくデッキなので、相手とのやりとりを何度も繰り返します。やってるとすごく「デュエマしている」と感じられるし、またジャイアントという種族のシナジーがデッキの核になっているので、入っているカードに統一感があったり、カード世界でのストーリーでも関係性を感じられたりします。デュエマの色んな楽しさを知れる良いデッキ、是非多くの人に触ってほしい……。

 ので、次は、そんな水自然ジャイアントの基本の動きのどこが強いのか、3つのポイントで説明したいと思います。

 

強み① 初動の安定性の高さ

 まずもって、これです。初動とは自分の動きのきっかけになるカードのことを指します。このデッキで言うと、上で説明した基本の動きの最初に出てきた、軽量のメタクリーチャー達のことです。

 で、メタクリーチャーが初動ということは、当たり前なんだけどこのデッキはクリーチャー初動のデッキということになります。メタクリーチャーを召還することが最初の一歩になり、そいつが次のターンまで生き残ることで次の動きに繋がる。

 ということは当然、初動のクリーチャーが、召喚した次の相手ターンに、呪文だったりマッハファイターで除去されてしまうと、次の動きに普通は繋がらないということになってしまいます。デュエマには軽量の除去呪文もマッハファイターも沢山あるから、十二分にありえる可能性です。

 そして、普通のクリーチャー初動のデッキであれば、そうやって除去をされると次の動きにつながらずスピードで相手に遅れをとってしまい、加えてクリーチャーを一体召喚した分リソースも失ってしまうことになる。ターンが返ってさえくればクリーチャーを一体場に出したうえで次の動きに繋がるから大きなアドバンテージを得られるけど、代わりに除去をされるとテンポとアドバンテージの面でロスをしてしまう。そういう長所と欠点があるのが、クリーチャー初動のデッキなんです。

 ただ、わざわざ「普通の」とつけたことからもわかっていただけるように、水自然ジャイアントはクリーチャー初動の中でも例外に位置するデッキで。クリーチャー初動の長所を持ちつつ、欠点はちゃんと克服できてるんですね。

 

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何故か下面はS・トリガーも持っている。

 その理由が、初動となるクリーチャーの能力。このデッキの初動はキャディ・ビートルと同期の妖精。前者は破壊された時、墓地に行く代わりにマナに行く。後者は先ほども少し説明した通り、破壊に限らず場を離れると下面の呪文を詠唱でき、相手の盤面を一面除去しながら1ドローができる。

 キャディ・ビートルは破壊による除去であればマナ加速を打ったのと変わらないことになるから4ターン目に5コストのジャイアントを召喚できるマナ域に到達できるし、同期の妖精は1ドローで召喚した分の手札消費を回復しつつ、除去を飛ばすことで相手も自分同様に遅延させることができる。両者とも除去された際に失うものが少ないようになってるんです。

 なので、比較的どんな相手でも、強気に初動のクリーチャーを召喚していけるんですね。デュエマには、相手の場にクリーチャーがいることで真価を発揮するカードなんかもあるのでそういうのが入ってるデッキなら無警戒で出すのは避けるべきですが、逆にそれ以外の場合は躊躇いも少なく済む。だってもし除去されても、テンポでもアドバンテージでも大きなロスは発生しないから。特に、自分の動きを進めるスピードたるテンポで相手に置いてかれにくいのが大きいですねー。

 加えて、初動の枚数も安定してますね。キャディと同期以外でも、爆翠月アカネを引けている時ならハイパーエナジーで寝せることさえできればいいので1コストのとこしえの超人も初動になります。なんなら、相手が除去を引けてなかったり、先行であれば、最悪アシステスト・シネラリアを3ターン目に召喚して、生きて返ってこれば4ターン目には動けます。

 初動の性質と枚数による安定性。まず、ジャイアントはここが強いです。

 

強み② 超重竜から繰り出されるジャイアントの多彩さと対応力

 次に、切り札となる超重竜ゴルファンタジスタの強みについてです。このクリーチャーは、何と言っても出た時能力が強力。

 

本当に強い効果で、約2年半前Twitterで情報が公開された時はデカい声が出ました。ジャイアントというデッキを一段階上に押し上げてくれるカードで、こんなのが出てくれることがすごく嬉しかった……。

 「このクリーチャーが出た時、コスト6以下のジャイアント・クリーチャーを1体、自分のマナゾーンから出してもよい」。自分自身も革命チェンジで無料で出てくるのに、そこからさらに踏み倒しを行う無法。しかも範囲も非常に広く、このデッキであれば二種のゴルファンタジスタ以外はほぼ全員直接出すことができます。そこにジャイアントという種族のカードの多彩さも加えると、本当になんでもできます。

 一番派手な動きは、5コストのジャイアント達を踏み倒すこと。名前に「アカネ」を持つ3種のクリーチャーと完璧妖精マリニャンXは、みなマッハファイターを持っています。なので、2枚目の超重竜、もしくはもう1種類のゴルファンタジスタである銀河竜を持っていて、相手の盤面にクリーチャーが残っていれば、すぐさま攻撃して追加の革命チェンジができちゃいます。ゴルファンタジスタ以外は直接出せると言いましたが、直接じゃなければゴルファンタジスタ本人も分身できます。

 またマッハファイターではない唯一の5コストである五番龍 レイクポーチャー ParZeroは、それ単体でビッグアクションに近いパワーを発揮できます。レイクポーチャーは、出た時に山札の上6枚を見て好きな2枚を加え、その後自分の手札を1枚公開して同じコストの相手クリーチャーを手札に戻せます。欲しいカード(2枚目の超重竜など)の確保と、相手の盤面の除去を同時にこなせるんですね。しかもジャストダイバー持ちなので、次のターンまで確実に生き残れる。

 5コストのビッグアクションをとらずとも、序盤で使ったメタクリーチャー達を横に並べるだけでも強いです。先ほど説明した通り、キャディ・ビートルは相手がマナより大きいクリーチャーを場に出せなくし(革命チェンジのようなコストスキップができなくなる)、同期の妖精は相手がこちらのカードを選ぶ時強制的に選ばなければならず、除去されると下面の呪文を撃つ。他にも、初動で一瞬出てきたとこしえの超人の、相手の手札以外からのカードのプレイをできなくする能力も、墓地を使うデッキなどには強烈に刺さります。

 超重竜というパワー12000のT・ブレイカーを出しながら、横にこのように豊富な妨害能力のあるクリーチャーを添える。それだけで、十分相手への圧になる。

 

同じ能力「アシステスト」サイクルは同年のテーマだった他の種族にもいるのですが、水自然ジャイアントではデッキとのかみ合いがすごく一番強く使えます。

 また、超重竜本人を守るクリーチャーを出して次のターンに備える、というのも強い選択肢です。なんと超重竜、出た時能力とスタッツだけでも十分に強いのに、さらに2つも能力を持っていて。

 1つは、「自分のジャイアントはブロックされない」常在能力。これにより、ジャイアントだけで固めているこのデッキにおいては、相手のブロッカー(タップすることで相手クリーチャーの攻撃先を自分自身に変更させる=ブロックする防御能力)を無視できます。ブロッカーはデュエマにおいて最もメジャーな防御能力なので、それを無視して盤面除去や盾への攻撃ができるというのは、本当に強いんです。

 2つ目が、終極宣言。自分のターン開始時にこのクリーチャーが場にいれば発動できる能力で、なんと手札とマナを2倍にします。発動したら即勝つ、という内容ではないものの、シンプルに相手とのリソース差がものすごいことになります。加えて後でも触れますが、このデッキでは超重竜を中心にマナゾーンからの踏み倒しや召喚も得意としてるので、普通のデッキよりもマナが2倍になることの意義は大きいです。

 で、これだけ強力な能力を持っているので、超重竜を生き残らせることはかなり強い行動なんですね。そこで、こいつから踏み倒すカードで超重竜自身を相手の除去から守るという選択肢に戻ってくるのですが、その候補がなんと2種類もいます。1つは、ついさっき出てきた同期の妖精。もう1つは、動きの解説のときに出てきたアシステスト・シネラリア。

 初動の時は1ドローとジャイアント1軽減が強かったシネラリアですが、この娘にも別の能力があります。ウルトラセイバー : ジャイアントという能力で、他のジャイアントが場を離れるときに身代わりになれます。同期と違って複数選ぶ除去のときや攻撃による除去のときも身代わりになれるので、超重竜を守る役割もピカイチです。

 

 と以上のように、超重竜から本当に色んな選択肢をとることができます。しかも超重竜の革命チェンジがマッハファイター始動だった場合、相手の盤面をバトルで除去して盤面の優位をとりながら、追加の選択肢を選んで動いているわけですからね。

 初動が安定して足回りが強いうえに、終着点である切り札も凄まじく強く、対応力がある。これが、ジャイアントの2つ目の強みです。

 

チアスカーレット アカネ

可愛いうえに効果盛りすぎとされている。今回ドキつよで初めて再録して水自然ジャイアントを組むハードルが一気に低くなりました。

 また、これは少し別の話なのですが、上で色々紹介したジャイアント達、当然なんですが超重竜が絡まなくても出すこと自体はできるんですね。あくまで超重竜が出て相手の盤面をとりながら追加でそれをやってくるから強さがバグってるだけで、超重竜がいなくとも普通に手札から召喚できるし、紹介した各々の能力は当然使える。そして、各々の能力は、単体で出しても及第点は出るくらいの力はある。

 それってつまり、最速で超重竜を引けなくとも妨害能力のあるクリーチャーで超重竜を引くまでの時間を稼いだり、先ほど出たレイクポーチャーや、出た時に山上2枚を手札とマナにそれぞれ振り分けれるマッハファイターであるチアスペース アカネを出して、除去で相手のテンポを遅らせながら超重竜を引き込みにいったり、超重竜を1枚使ったあとに2枚目を引き込めなくとも引いたカードで詰めの盤面に持っていけたりする、ってことなんです。

 要するに、超重竜を引けなくともある程度はなんとかなる、ってことなんですね。でその「なんとかなる」を支えているのが、先ほど超重竜の能力の説明でも出た、このデッキのマナからの召喚や踏み倒しに長けている特徴。

 その象徴がチアスカーレット アカネで、各ターンに一度、マナからジャイアントをコストを支払って召喚できます。加えて、攻撃時に他のジャイアントをマナに送れば、ジャイアント・メクレイド8(山上3枚を見て、8コスト以下のジャイアントを使える)ができる。マナからの出力と、山札を掘って超重竜にアクセスする能力を併せ持ってるんですね。

 このように、超重竜がなくとも、それ単体でそれなりに強い妨害能力やリソースの確保能力を持ったクリーチャーで構成されているおかげで、超重竜を引くまでの時間も稼げぎやすいというのもまたこのデッキの長所です。勿論運が悪すぎて1枚もゲームに絡まないとかはきついし、序盤から引けてる方が圧倒的に強いですが、下振れの下限がそこまで酷いものじゃないという安心感がある。

 あと、超重竜が引けていない場合の話をするなら、もう1種のゴルファンタジスタたる銀河竜も非常に強力です。13000という巨大なパワーでジャイアントのバトルを肩代わりできます。もう1つの能力は、次の強みで紹介します、

 

強み③ 「詰め」の精度の高さ

 3つ目の強みが、攻撃して相手にとどめを刺しにいく「詰め」の時の精度の高さ。何度か上述の基本の動きをした先の、最後の場面における強みです。

 このデッキ、基本の動きを思い出してもらえるとわかると思うのですが、相手を直接倒しに行くキルターン自体は早くないです。3・4ターン目に超重竜を出してターンを返すのが基本だから、平均5ターンとかそのくらいでしょうか。相手やこちらの手札の状況によっては、6ターン以上になることも全然あります。

 で、3・4ターン目に相手を倒しに行く早いデッキじゃないからこそ、「詰め」の精度はなるべく高くしたいんですね。遅いターンに倒しに行くということは、相手のマナもそれなりに溜まってるということで、倒すのに失敗して相手の手札を増やしてターンを返した時のリスクが大きいということ。なので、S・トリガーなどの防御札を封殺する手段が求められる。

 そして当然、求められるものが水自然ジャイアントには揃ってるんですね。しかも複数種類。

 

完璧妖精マリニャンX

自身の効果でマナから召喚できてマッハファイターを持っているので、気軽にマナにおける超重竜の革命チェンジ元としても強いです。

 一番わかりやすい封殺が、完璧妖精マリニャンX。スノーフェアリーが自分の盤面に5つ以上あれば、相手のクリーチャーの出た時能力を無効にできる、つまりクリーチャートリガーを無効化できるんですね。このデッキはジャイアントの種族デッキですが、近年のジャイアントは「ジャイアント・スノーフェアリー」とスノーフェアリーを複合で持っているものが多いので(このデッキに入っている女の子は皆スノーフェアリー複合です)、それらを横に並べる基本の動きの終着点の詰めとして使えます。

 他にも、超重竜を守るために出していた同期とシネラリアを活用する、という気軽な手段もあります。その2体は他のクリーチャーを除去から守ることができるので、単純な除去トリガーであれば、その2体を横に添えながら、相手を倒しきれるくらいの打点で殴ればケアできます。

 また、トリガーを踏んで止まってしまった場合に負けない状況でターンを返す、という形での詰めもできます。

 

銀河竜 ゴルファンタジスタ

「次の自分のターンのはじめ」の「自分」は、自分自身(銀河竜を使ってる方のプレイヤー)のことです。だからこそ強い。

 その代表が、銀河竜ゴルファンタジスタ。こいつ、先ほど説明したバトル肩代わりの他に、「相手のクリーチャーが出た時、次の自分のターンのはじめまで、そのクリーチャーは攻撃もブロックもできない」という能力まで持っていて。

 これ、テキストの書き方がかなり重要で、「相手のクリーチャーが出た時」に「攻撃もブロックもできない」状態を付与するので、例えば相手のクリーチャーの出た時能力でこいつが除去されても、相手のクリーチャーが「出た時」に銀河竜が場にいたので、その相手クリーチャーは攻撃できないままなんですね。

 また、「次の自分のターンのはじめまで」、そのクリーチャーは攻撃もブロックもできないので、自分のターン中、攻撃している時に相手の盾からトリガークリーチャーが出ても、そいつは次の相手のターン攻撃できないんですね。こういう攻撃を止める系の能力は基本「次の相手ターンのはじめまで」で自分のターンに出たクリーチャーは素通りしてしまうのですが、銀河竜は違う。

 何が言いたいかというと、「相手の攻撃を止める」という点において、非常に強いテキストをしているんですね、銀河竜。だから、こいつがいる状態で殴って、トリガーを踏んで打点が足りない、もしくはギリギリになってしまった(添えた同期やシネラリアが除去されてしまった等)時に、そこで止まってターンを返し、でも銀河竜がいるor銀河竜の効果でトリガークリーチャーは止まってるから相手は勝てない、というルートが生まれるんです。

 同じことはメタクリーチャーでもできて、とこしえやキャディが刺さる相手なら、それらが残っている状態でターンを返し、相手は除去までで勝つところまでは行けず、返ってきたターンでとどめを刺す、という芸当もできるわけです。

 

 つまり、詰めも様々な形でできるのもこのデッキの強みなんですね。相手のデッキの勝ちの動きやトリガーの多さ・性質を見極め、できうる限りのケアをして殴りかかることで、かなり理想の速度・精度での「詰め」ができる。

 

 ということで、以上が水自然ジャイアントの3点の強みでした。初動が安定していて、基本の動きの到達点が強力かつ対応力があって、ゲームの終着点である「詰め」も高い精度で行える。

 こう書くと、完全無欠の最強デッキに見えますよね。そうです、水自然ジャイアントこそが最強なんです(信者)。

 

ドキドキつよいデッキのリストの感想

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 以上の強みを踏まえたうえで、『地上戦は最強!水自然ジャイアントデッキ』のリストを見てみましょう。見てみましょうというか、感想を勝手に述べると……「完璧」って感じですね。なんとなく他のデッキのリストからも伺える再録の縛りの中で、恐らく理想に最も近い水自然ジャイアントになってます。

 とこしえ・キャディ・同期・シネラリアの初動兼妨害札は、当然の4投。5コストのマッハファイターで一番安定して強いチアスペースも4投。最強の終着点である超重竜も4投、銀河竜はそこまで多くは必要ないもののゲームになるべく絡めたいカードではあるので2投。この辺の基本の動きに関わるカードの基盤がとにかく妥協ないのが素晴らしいですね。

 そのうえで、少し特徴的な点で「素晴らしい!」「わかってるな~」と後方理解者面したくなる部分もあります。まず1つが、爆翠月アカネが4枚惜しみなく投入されているところ。普通の水自然ジャイアントだと2~3枚が多いところを、4投。

 これの意図としてはやはり、なるべく速度を持たせたいということなのだと思います。基本の動きのところや爆翠月の能力を見てもらえればわかるのですが、数ある5コストジャイアントの中で、この娘だけ3ターン目に、アンタップした(攻撃できる)状態で場に出せます。そして、相手の場にクリーチャーがいれば、そのままマッハファイターで攻撃してゴルファンタジスタに革命チェンジできる。

 ジャイアントは決して早いデッキではなく、いくら初動でメタクリーチャーを出したり除去されてもテンポで遅れをとりにくいと言えど、相手に2・3ターン目からガンガン動かれると困ってしまいます。そこを、ジャイアント最速と言える爆翠月の枚数を多くすることでカバーしてるんですね。

 枚数が多いことでデッキの弱点を補っているという点では、マリニャンXの2投もいいですね。先ほどジャイアントには他のトリガーケアの方法もあると紹介はしたものの、やはり一番わかりやすいのはマリニャンXなんですね。そんなわかりやすいトリガーケアが2投されていることで、初心者の方にも少しだけ回しやすい、終着点がわかりやすいデッキになってるかなと思います。

 

ナイター・ファイアフライ

 あと、一番このデッキの味が出てるのは、ナイター・ファイアフライの投入ですね。あまりジャイアントの中ではメジャーなカードではないのですが、だからこそ、ちゃんと入ってることに「わかるなあ~!」となるんです。

 このカード、水自然ジャイアントというデッキにかみ合っていて、かつかゆいところに手が届くんですね。まずもって、2面を止められるS・トリガーであることが強い。水自然ジャイアント、G・ストライク(盾から手札に加える時に見せれば、相手のクリーチャーを1体選びこのターン攻撃できなくする)とか同期の下面があるので受け札の枚数自体はそれなりにあるのですが、一般的なリストだと質が高くないんです。だって、G・ストライクも同期の下面も、止められるのは1体だけだから。そこにファイアフライを入れることで、受けの質が高くなってます。

 かつ、ファイアフライは普通に使っても強い。6コストのジャイアントということで超重竜から出力できるのですが、「相手のクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻」し、「相手のクリーチャーを1体選」び、「次の自分のターンのはじめまで、そのクリーチャーは攻撃もブロックもできな」くするのが、とにかくジャイアントにかみ合っている。

 特に重要なのが後者の攻撃できなくなる能力で、水自然ジャイアントはマッハファイターによる攻撃からの革命チェンジで展開していくデッキです。なので、相手のクリーチャーを止めつつも場に残し、当たり先を確保する攻撃不可付与が良いんです。かといってそれだけだとどうしてもどかせない大きなクリーチャーが出てきたりすると困るので、しっかり手札に戻す能力も持っている。

 とにかく、水自然ジャイアントをわかってる人達が初心者向けに組んでくれた、素晴らしいリストだと思います。使いこなせれば、そのままでも十二分に最強です。

 

改造候補カード

 次は、そんな水自然ジャイアントに入れることで、より楽しくなるカード達を紹介したいと思います。ジャイアント、実は去年の王道Wというシリーズでかなり強化が入ってできることの幅が増えました。

 

フェアリー・ギフト(7/27追記:プレミアム殿堂入りが発表されました)

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 「王道Wで強くなった」話をしたのに、最初に全然関係ないカードです。ただ、それでも最初に出したくなるくらいにはマストな追加カードなんです。

 効果はシンプルで、これを使えばどんなクリーチャーも2コスト軽く召喚できてしまいます。シンプル故の強力さで、強力すぎてデッキに1枚しか入れられない殿堂カードに指定されています。

 このデッキでも、無限に使い道があります。3コスト以下のジャイアントが一切引けなかったり全てが除去されてしまった場合に軽減して3ターン目に5コストのジャイアントを召喚したり。相手の場にクリーチャーがいなくてマッハファイター経由で超重竜を出せない時に2軽減して超重竜を召喚したり。マリニャンXの封殺能力の盤面を作る際に軽減を使ってスノーフェアリーを5体並べることを可能にしたり。本当に無限。

 このカードの、「初動でありながらデッキパワーを下げない」性質が存分に発揮できます。それについては、同じシリーズの闇自然アビス編で書いてるので、読んでくださると僕が喜びます(ダイレクトマーケティング)。

sasa3655.hatenablog.com

 

一音の妖精

一音の妖精

 1年前ほどに登場し、今や手軽なロック兼メタクリーチャーとして活躍している強力なカードです。なんてったって、光・水・自然のどれかの文明を持つクリーチャーの上に出す(NEOクリーチャーといって、クリーチャーの上に重ねるか単体で出すかを選べるクリーチャーです)だけで、相手に各ターン1回しかクリーチャーを出せない縛りを課し、ビッグアクションどころかまともな展開すらできなくすることができてしまいます。

 ただ、このカードの文明は見ての通り光。水自然のデッキでどう出すのかと思ってしまいそうですが、一音の妖精はジャイアントでもあります。なので、水自然ジャイアントであれば様々な効果でひっぱり出せるんですね。超重竜の踏み倒し能力でも出せるし、チアスカーレットのジャイアントをマナから召喚できる能力でも、自分自身で光マナを支払って召喚できます。

 そしてそうやっていざ出てくると、先述のロック能力を活用し、強力な詰め札として活躍してくれます。呪文も出すのも各ターン1回になってしまえば、トリガーは全然使えないし、攻撃を止めたところで返ってきたターンにまともに動けないですからね。

 ジャストダイバーのレイクポーチャーの上に進化させることで選ばれない一音という最強生物を作れたり、一音の既に展開されている盤面には干渉できない欠点を、ジャイアントお得意のマッハファイターによる除去で補えたり、色以外はデッキの性質とかなり相性もいいです。おすすめ。

 

六番龍 シックスフォール Par滝

六番龍 シックスフォール Par滝

 こちらも王道Wで登場したクリーチャー。4コストのジャイアントで、出た時に各プレイヤーのクリーチャーを2体選ぶことができ、選んだ場合は、自分が選択して、選んだクリーチャーの片方をもう片方の下に置きます。

 「下に置く」とは何ぞ、ということなのですが、シックスフォールの場合は2つの意味を持ちます。1つは、最高級の除去としての側面。「クリーチャーの下に置く」という事象、実はデュエマの除去耐性の多くを無効化できるんです。デュエマにおける除去耐性は、基本的に場から離れる代わりに○○する、場から離れない、といった形になっている。

 一方で、「下に置く」事象は場から離れる=他のゾーンに移動する、わけではないんですね。あくまで場から場に移動しているだけなので、離れてない。だから、場から離れることを妨げるテキストでは防げない。そして当然、クリーチャーAの下にクリーチャーBを入れた場合、クリーチャーBは能力を使うことも攻撃することもできない(進化クリーチャーの下にいるクリーチャーが盤面に存在しない扱いになるのと同じです)。相手の場にクリーチャーが2体いる必要はありますが、「選ばれない」以外では避けられない確定除去として使えます。

 2つ目の意味は、味方に耐性を付与する側面。シックスフォールには別の能力があり、「これよりコストが小さいカードの効果によって、相手に選ばれない」「このクリーチャーは、これよりコストが小さいクリーチャーに攻撃されない」。そしてその能力は、超魂Xという特殊な効果があり、シックスフォールがクリーチャーの下にあるとき、「選ばれない」「攻撃されない」テキストが上に重なっているクリーチャーに追加される。

 つまり、自分の他のクリーチャーの下にシックスフォールを入れることで、そいつに選ばれない能力を付与することができるんですね。一番やるのだと、超重竜の出た時能力でシックスフォールを踏み倒し、シックスフォールを超重竜の下に入れると、7コストより小さいカードに選ばれず攻撃されなくなります。当然そんな状態になった超重竜はほぼ確実に返ってくるので、終極宣言を発動できます。加えて「選ばれない」能力は続くので、その超重竜はとどめを刺すときに強く使えます。

 また、銀河竜の下に入れるのも非常に強力です。先述の通り、銀河竜は強力な攻撃ロックを持ってるので、選ばれず攻撃されないとなるといよいよ手が付けられなくなります。

 見た目以上に色んなことができるカードです。「強い」以上に「楽しい」。

 

轟腕のR ダグラジャパニカン

 最新弾で登場した、これまで類を見ないほど強い3コストの新たな選択肢。

 出た時に自分の盾をマナに置き、それにより盾が離れることで追加の能力を得られるZラッシュが解放されます。解放された後は、パワー6000のマッハファイターで相手クリーチャーに殴りかかり、攻撃後に自分のマナゾーンにあるカードの枚数よりコストが小さいクリーチャーを1体踏み倒すことができます。

 シンプルに、書いてあることがありえないほど強いです。ジャイアントにおいては、3ターン目にマナ加速をして5コストジャイアントに繋げる初動になりながら、マッハファイターで相手の盤面をとるだけでも十分強い。2ターン目に出した初動が除去られても、相手の妨害とマナ加速が同時にできるわけですからね。

 水自然ジャイアントの強みの一つに初動を除去されてもテンポのロスが少ないことを挙げましたが、あくまで"少ない"だけで"ない"わけではない。そこに、3コストジャイアントのマナ加速はすーっと沁みてきます。

 だというのに、そこからさらにマナからの踏み倒しすらやってのける。しかも、3ターン目にこいつを出して生き残ってターンが返ってきたら、次のターンにも同じ踏み倒しを、今度はさらにマナを増やした状態でやってくる。

 加えて、異様に圧が強く除去を強要する初動であると同時に、後半に引いても強いマナからの出力札でもあるんです。マナが溜まった後半に引いても、たった3コストで、マナより小さいクリーチャーを無料で出せる生き物なわけですから。

 そんなカードがジャイアントを持ってるんだから、入れない理由がほぼないというレベルのカードです。ただ、あまりに強すぎて水自然ジャイアント以外をメインにめちゃくちゃ使われたせいで、値段は普通に3500円とかするし、何より相手のジャパニカンにこのデッキが弱すぎて間接的に水自然ジャイアントの立ち位置を弱くしてるという、複雑な思いになるカードです。奇跡的にパック開けて入手できたら入れてみましょう。

 

学識妖精サイクリル

 去年のにじさんじパックで登場した、Vtuberの社築さんとのコラボカード。

 発表された時は水自然ジャイアント使いは大騒ぎで、先ほどジャパニカンで言った、3ターン目に盤面0でもマナ加速と相手の盤面を取る行動(手札にチアスペースがあれば革命チェンジまで)が同時にできる初のカードでした。多色なのがネックだけど、それを差し引いても強いと言い切れる革命的カードだった。

 ただ、ジャパニカンのテキストと見比べてもらえれば分かる通り、2人の枠争いだと流石にジャパニカンに軍配が上がっちゃうんですよね。「3ターン目に相手の盤面を取りながらマナ加速をできるジャイアント」という強みは全く同じ。そのうえで、ジャパニカンにはZラッシュ解放後の踏み倒しがある。

 そのうえで改造候補に上げてる理由は、ジャパニカンの完全下位互換というわけではないから。登場時のマナ加速が盾からじゃないおかげで、盾の枚数を減らさないし相手クリーチャーのZラッシュも解放しない。盾が減らないことは速攻デッキ相手には重要だし、また今のカードプールにはボルメテウス・ハックというZラッシュが開放するとジャパニカンを完封できるメタクリーチャーがいるので、それを採用してるデッキ相手ならサイクリルの方が強い。

 また、攻撃時の呪文回収も悪くないです。このデッキだと、除去されてしまった同期を回収できるんですよね。同期、とにかく様々な場面で活躍する器用なカードなので、それを使い回せるというのは見た目以上に強い。

 そして何より、ジャパニカンと違って高くないです。むしろ安い。ドキつよは初心者向けのデッキなので、それを改造するパーツとしてはやはり、安いことは明確に強みになりうるとおもいます。試しに数枚買って遊んでみましょう。

 

巨魔天 アオフェシー

 銀河竜の小型版のようなクリーチャー。

 身も蓋もない表現ですが、使用感としては本当にそんな感じなんですね。銀河竜と違ってコスト3のジャイアントからも革命チェンジできまた超重竜からも直接出力できる。代わりに、パワーも、相手の攻撃を止める効果も小規模になっている。

 銀河竜と違って、「相手のクリーチャーは、出たターン、攻撃できない」という常在の書き方です。なので、こいつが除去されると、こいつがいる時に出たクリーチャーも攻撃できるようになってしまいます。

 単に攻撃を止めたいだけなら銀河竜の方がいい場合が多いので、こいつを強く使いたいのであれば、3コストのマッハファイターを多くとって気軽に革命チェンジできる(ついでに2ドローもできる)構築が良いです。サイクリルらに枚数をそれなりにとったうえで入れてあげると、いぶし銀の活躍をしてくれます。

 

芳醇フォージュン

 初動の候補の一つ。

 ジャイアントでもクリーチャーでもないのになんで、となるかもしれませんが、前者はともかく後者はかなり重要なんですね。先ほどのジャパニカンのように、現代デュエマでは、クリーチャーを出すことが相手の有利にはたらくことがある。相手クリーチャーの攻撃時効果を誘発する的になってしまうかもしれないんですね。というか、他でもない水自然ジャイアントがマッハファイターを起点にした展開を行うデッキだし。

 そんな相手に勝とうという思想で初動を考えると、盤面にクリーチャーを出さず1マナ加速1ドローをできるフォージュンは、最高級の初動ということになるわけです。本当に後半は使わない、初動以外の意味を一切持たないカードではありますが、環境や自分の周りの対戦相手によっては入れる意義があります。

 

一応の改造案と自分が使ってるリストの紹介

 最後に、紹介したカードを使った改造案と、自分の現在使ってるリストを紹介したいと思います。最初に述べたように『25の援軍』で強化が確定してるし、ここまで長くなりすぎてしまったので、簡潔に構築の方向性ややりたいことを語ろうかなと。

 

改造案

 早い相手以外にはすごく出番が多いというわけではない爆翠月アカネを1枚、追加のトリガーケアを採用したため2枚は過剰になったマリニャンXを1枚、決して弱くはないけどどうしても活躍する場面が限られる超球の超人/父なるタッチダウン1枚、メタクリーチャーの中では他2枚と比較して役割が限られるとこしえ1枚をアウト。

 その枠に、一音の妖精とシックスフォールとサイクリルとフェアリー・ギフトを1枚積んだ形。見ての通り、1枚積みがやたらに多い構築になってます。

 それは意図しないものではなくて、僕としては、水自然ジャイアントの楽しさって色んなカードがあって、それにアクセスする手段が豊富で、使いこなせるとなんでもできるところが一番大きいと思ってるんです。だから、その楽しさを存分に味わってもらうために、紹介したカード、特に元のリストではできないことをできるようになるカードを全部入れちゃいました。

 

自分が使ってるリスト

 上の改造案から、ナイター・ファイアフライ2枚、爆翠月1枚、サイクリル1枚を抜いて、レイクポーチャー・シックスフォール・一音を1枚増量、ジャパニカンを1枚追加した構築。

 この枚数配分は完全に自分の趣味と周りの環境に合わせたものです。自分の友達は動き出すまで全然クリーチャーを出さないデッキを使う人が多いため、相手にクリーチャーがいなくても強いレイクポーチャーが増え。受けが強いデッキが多いから、雑にトリガー封殺できる一音が増え。下に入り込む挙動やなんでも出来具合が好きすぎるので、シックスフォールが増えてます。

 1枚だけ入ってるジャパニカンは、なんとなくで10パックだけ買った最新弾で当てられたからですね。それだけの理由のピン投です。

 

 というわけで、水自然ジャイアントデッキの個人的解釈の解説と紹介でした。

 ドキつよで水自然ジャイアントを始めた方は是非、元のリストでその楽しさの根源に触れ、改造案のような色んなカードを入れたリストでできることの幅広さを知り、自分の好みや環境に合わせてチューニングしていってみてください。そうしてくれると、僕が喜びます。

 長い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。今回は、ここらで筆を置かせていただきます。

 水自然ジャイアントに来る『援軍』、楽しみだ…!

ドキドキつよいデッキ 25の王道 回してみた所感と改造案 ツインパクトの極み!光水自然清永デッキ編

sasa3655.hatenablog.com

 どうも、石動です。

    昨日のライオネルデッキ編に引き続き、『ドキドキつよいデッキ 25の王道』で当てたデッキを回してみた感想と、それを受けての改造案をつらつらと書いていきます。よろしければ最後までお付き合いください。

  今日は、ツインパクトの極み!光水自然清永デッキ編です。


(改造案に「一応」と設けているのは、どのリストもすごい完成度で、そのままで十二分に楽しいから……ってのと、今の段階で改造するのは勿体ないかなと思うからです。

 初心者の方はご存知でない方もいらっしゃると思うんですが、5月にドキドキつよいデッキのコンセプトを強化するカードを収録した『25の援軍』というパックが出ます。

 改造するのはそれまで待ったほうがいいという前提のうえで、今すぐもっと強いリストを使いたい!という方は改造してもいいんじゃないかなあと。

 あと、この記事で使う画像は、デュエル・マスターズサポートアプリ(https://dm.takaratomy.co.jp/event/supportapp/)のものと、公式カード検索(https://dm.takaratomy.co.jp/card/)のものから引用しています)

 

 


回し方・所感

 味。

 急に何だと思われるかもしれないですが、本当に"味"なんです。自分、五輪の求道者 清永というカードは使ったことも興味もなくて。面白いカードだねとは思いつつも特に惹かれはせずにここまで来てドキつよで当てて初めて触れたんですが、信じられないほど味しました。

 "味"って何かって話なんですけど、とにかく多彩な動きができるんですよ、このデッキ。一見、清永の山上3枚を見て条件を満たしていれば踏み倒せる清永の効果に全振りした豪快なデッキに見えて、それ以上の側面・戦略を持っている。

 それはいつもは最初に述べる、このデッキの基本の動かし方からしてそうなんですね。一応、最も主要な流れとしては、2ターン目3ターン目とマナ加速を撃ち、4ターン目に6マナ支払って清永を召喚するムーブがあります。このデッキの顔である清永は、マッハファイター(出たターンにクリーチャーに攻撃できる)とジャストダイバー(次の自分のターンの初めまで選ばれず、攻撃されない)を持っており、相手の場にクリーチャーがいれば出してすぐに攻撃、いなければ返しのターンまで選ばれないことで生き残って攻撃し、攻撃時効果を発動させます。

 その攻撃時効果は、「自分の山札の上から3枚を表向きに」し、「すべて異なるコストなら、その中から、コスト9以下のエレメントを好きな数、コストを支払わずに使」うこと。豪快な踏み倒しを行うことができるんです。

 攻撃とコストの不一致さえ成功すれば、3体も踏み倒せるんでまず勝てます。一般的な清永デッキだと相手のクリーチャーを封殺するロックカードを踏み倒して勝つことが多いのですが、このデッキはコストの不一致の成功率アップをするために、ツインパクトという、2枚のカードが1枚になったギミックを採用しています。アカシック・ゼノンという、4枚入っているクリーチャーが、ツインパクトクリーチャーにスピードアタッカーを与え、清永から踏み倒した打点で殴り切れるようになってるんですね。

 単に殴るだけじゃないかと思われるかもしれませんが、一緒にめくれたカードによっては、それ以上の殴り方をすることができるんです。メヂカラ・コバルト・カイザーは相手の攻撃を徹底的に止める強力なクリーチャーなのでこいつを添えながら殴るだけで結構勝てるし、天雷龍姫エリザベスとアカシック・ゼノンのツインパクトクリーチャーが殴る効果を組み合わせると、エリザベスの攻撃時に下面のインビンシブル・フォートレスを撃って相手の盾を焼き払うことができる。

 また、ゼノンは4枚しか入ってないから捲れない、という心配も少ないんですよね。清永から清永が捲れればもう一度チャレンジができるし、ナ・チュラゴ・デンジャーを捲ればコスト6以下のクリーチャーをマナか手札から踏み倒せるし、全虹帝 ミノガミを捲ってもマナゾーンのツインパクトの枚数以下のクリーチャーを踏み倒せる。ミノガミはマナが溜まってないとゼノンを出せませんが、実は清永は敢えて捲ったカードを使わないでマナに置くこともできるので、ゼノンがマナにいてミノガミが捲れた場合はマナを増やして踏み倒しを成立させたりできる。

 と、ここまで清永の強さを長々語ったんですが、その清永を出すための2→4→6の動き。そのために必要な2コストのマナ加速が、このリストには6枚しか入っていないんですね。6枚しか入ってない初動を初手5枚で引く確率は57.7%、先行だったとして2ターン目のドローを含めても65%、後攻で2ターン目までに2枚ドローできたとしても、71.1%。

 じゃあこのデッキは欠陥品じゃないか!と言われると当然そんなことはなく。同じ2コスト帯に、同期の妖精/ド浮きの動悸というカードが入ってるんです。

 

書いてあること全部強い。

 2コストの生き物と、4コストの呪文が一つになったカード。場にいると相手はカードを選ぶとき可能ならこいつを選ばなければならず、そして上面が何かしらの形で除去されると、メガ・ラスト・バーストが発動し下の呪文を唱えられ、相手クリーチャー1体を手札に戻しながら1ドローできる。

 同期の妖精を場に出してさえいれば、そのカード指定を吸って除去されると相手の盤面を荒らしてワンテンポ遅らせる性能によって、結構な時間をもらうことができるんですね。2コストのマナ加速は自分の速度を上げることで清永を早く出して優位をとることを目指してるけど、同期の妖精始動の場合は、相手を遅らせることで清永を間に合わせることができます。

 そして、2ターン目に同期を出した次のターンは何をするかなと視野を広げると、このデッキには3コストのマナ加速も多数入っていることに気が付きます。3コストのマナ加速は、当然2コストのものよりも質が高いテキストになっていて、例えば怪盗妖精カサブランカは多色のマナ置きをアンタップインさせて多色事故を防ぎ、例えばハザード・パクトはデッキの大半となってるツインパクトがマナにいけば1ドローもつけてくれる。

 そして極め付けに、そうして2ターン目同期→3ターン目質のいいマナ加速をした先の5マナ帯にも、豊富かつ強い選択肢が用意されてるんです。一番強いのが先ほど出たハザード・パクトの上面の全虹帝 ミノガミ。これもまた先ほど少し説明したように、自身の効果でマナを増やしながら、相手のクリーチャーをマッハファイターで除去し、かつ攻撃時効果で横にクリーチャーを増やせる。

 他にも、これまた先述したアカシック・ゼノンも5の動きになります。他のツインパクトクリーチャーと組み合わせることで本当に多彩な動きをできるんですね。

 また5コスト以外でも、同期の2体目が引けていればそれを置くだけでもまた時間がもらえます。そしてこのゼノンと同期は、先ほど言ったミノガミから出すこともできるんです。ミノガミ経由で今あげた5の強いカードが揃った場合、盤面に放置できないクリーチャーが複数体立つことになる。

 

このデッキのもう1枚の切り札。ツインパクトは互いに補完し合うような2枚がセットになってることが多いので、それらを同時に使えるのは見た目以上に強いです。

 つまり、基盤となる2→4→6の流れ以外に、2ターン目同期→3マナ加速→5コストの強い動き、の流れもデッキ内に存在しているんです。そしてそのルートは2→4→6と共存、どころか場合によっては親和している。

 3コストの質のいいマナ加速は4→6を繋ぐ時に多色を埋めながら撃てます。5コスト帯で強いゼノンとミノガミも、最初の清永から勝つルートのときに語ったように、清永から捲れた場合の当たりになっているんですね。

 さらにさらにと畳み掛けると、3→5の動きがサブのルートとは思えないくらい強く、2→4→6とも共存しているおかげで、2→4→6のルートの途中でゼノンやミノガミのルートに切り替えたり、その切り替えた先で清永を引かず使わずにそのまま勝てたりもしちゃうんです。

 例えば、2コストのマナ加速を撃ちはしたものの、その次のターンに上手く追加のマナ加速が引けなかった場合。そういう事故が起こってしまっても、多色を埋めて使用可能マナが3枚ある状態で同期を召喚して時間をもらう体勢を整え、次のターンにゼノンを召喚し自分の動きを準備する、ということができます。同期がゼノンを出すターンに生き残っていれば、攻撃をして下面のド浮きの動悸を撃って除去までできてしまう。

 加えて、ゼノンが除去されずターンが返ってきたら、清永が引けていれば当然捲り先が全員即時打点になってそのまま殴り切れますし、引けなくとも、先述したエリザベスとのコンボによるフォートレス詠唱で勝てるんです。

 よしんばエリザベスすら引けてないとか、ブロッカーがいて殴り切れない場合は、ゼノンの登場時マナ加速で7マナまで伸びているはずなので、ナ・チュラルゴ・デンジャーを召喚して、登場時効果と攻撃時にゼノンの効果で下面のナチュラル・トラップを唱え、「トラップ」と名のつく呪文を唱えた時の効果で、計2回もコスト6以下を踏み倒せます。相手の盤面を崩壊させるか同期を添えて殴りきっちゃいましょう。

 というか、このデッキの勝つまでのルートの多さ、各々の親和性は、ここまでに出てきた「先述した」「先ほど述べた」旨の文章の多さや、清永のルートとゼノンのルートで出てくるカードが共通している場合が多いことで理解していただけるかもしれません。

 清永で勝つルートで出てきたコンボは、別に清永があることで無から1発で揃えられるというだけで、堅実に準備をすれば清永なしでも揃えられる。逆に、清永がコンボを揃える力を持っているということは、相手がコンボを警戒して的確にこちらの準備した盤面を切り崩してきたとしても、清永さえ引けば一気にひっくり返せるという意味でもある。

 

このデッキだと普通に撃てておもろい。

 ツインパクトという、2枚が1枚になったカードの多機能性を存分に発揮し、カード間のシナジーと戦略の連結を極限まで高めたデッキ。それが、ツインパクトの極み!光水自然清永デッキなんです。ツインパクトは本当に複数の役割を持たせられる"味"のするデザインだと理解させてくれる。ツインパクトの多機能性を隅々までしゃぶり尽くしてるので、しっかりトリガーも15枚、しかもその大半が2面以上を数ターンにわたって止めたり除去したりできる強めの受け札になってます。まあその全てが呪文なので、呪文ロックをしながら殴られると横転するしかできないですが……。

 リストを見てその魅力が一発で派手に伝わるタイプではないので、是非触ってみて欲しいデッキです。自分は、最初は懐疑的だったゼノン×エリザベスでフォートレスを撃つコンボが現実的に可能であることに最初の試合で気付いてからは、このデッキのなんでもでき具合に一気に虜になってしまいました。

 ここまで特に触れてなかったんですが、2枚入っている轟破天九十九語も“味"です。コスト10で互いのマナゾーンにあるクリーチャーを全て出す豪快な呪文なのですが、呪文はエレメントではないので清永では踏み倒せない。清永と相性が悪い……わけでは当然なく。

 ゼノンと一緒に捲れれば上面を出して轟破天九十九語を攻撃時に詠唱できるのは勿論、素直に手撃ちすることもできるんですよね。先ほど言った、ゼノン経由で勝とうとするも相手が除去で邪魔をしてきた場合などに起こりがちで。そういうやりとりをしていると自然とターンが伸びてマナも伸びていくので、いつの間にか10マナ溜まってターンが返ってきたらするんですよね。

 とにかく"味"。一つの完成された芸術作品だとすら思います。ドキつよで当たった中で一番好きなデッキです。

 

改造案

 このデッキに改造なんて必要なのか……?(信仰)

 いや本当に、冗談抜きでそう思っています。元のリストが完成された芸術品すぎて、下手に自分が手を加えるとその旨みが失われるとも。一応参考にデッキリストは載せてるのですが、信仰がすぎて元のリストそのままでずっと遊んでいます。なので、あくまで参考までに、という感じで。

 参考のリストなりに、抜いたり減らしたりしたカードには理由はあるので語ると、カサブランカは自分が展開した後にトリガーするとこっちの盤面も飛んでしまうし、先ほどああは言ったものの流石に2コストマナ加速は8枚欲しいのでその枠を確保するために抜きました。エリザベスも楽しいけど4は過剰、ゴ・デンジャーもこのコスト帯なら4はいらない、ミノガミは強いけど2コストマナ加速を増やしたのと、後述する5コストで強い追加カードを入れるために減らしました。

 元から入ってるカードで増えたのは、配給の超人 / 記録的剛球だけですね。これはシンプルに、2コストマナ加速を増やしたいから。2→4→6の動き以外でも、多色を埋めて3ターン目に撃ったりするのは全然あるので、やはり枚数欲しかった。

 それでは、追加カードの採用理由を述べていこうと思います。

 

地封龍 ギャイア

 汎用かつ強力なロッククリーチャー。

 常在効果の範囲とテキストが、とにかく強いです。相手の「このクリーチャーがバトルゾーンに出た時」で始まる能力を持つクリーチャーがバトルゾーンに出る時、相手はかわりにそのクリーチャーをマナゾーンに置く。

 「かわりに」のテキストは、デュエマにおいては出ることすら許さない、という意味を持ちます。こいつが盤面にいると、相手の出た時能力を持っているクリーチャーは、その出た時能力すら使用できずにマナに置かれてしまうんですね。対策をしていないデッキだと、出されただけで詰むレベル。あと、何故か自分にマナからのクリーチャー召喚権を付与するので、ロッククリーチャーのくせに後続も続きます。

 このデッキでは、清永から捲ったり、伸びたマナで素直に召喚したりして場に出せます。とにかくカードパワーはぶっちぎってるのですが、ツインパクト戦略を中核に組み込んだこのリストだと多く入れたくないなということで、1枚採用。

 

閃光の神官 ヴェルベット / フェアリー・パワー

閃光の神官 ヴェルベット / フェアリー・パワー

 ロッククリーチャーの上面に、初動のマナ加速の下面がくっついています。上面はギャイアと同じく清永からの踏み倒しや正規召喚を狙い、場に出すことが成功すれば相手のクリーチャーは全てタップして場に出る常在効果で、盤面を支配できます。下面はこのデッキでは1ドローできることは稀ですが、それでも最低限の初動にはなる。

 ツインパクトで、ロック能力を持っていて、初動である。このデッキに噛み合う要素しかない相性抜群のカードです。ただそのどちらの役割を加味しても同じポジションのカードが他にもあるので、4枚は要らないかなーと。でも全然4枚入れても強いと思います。

 

トワイライトMk.1 Type ホーガン / 「イチバンになってみせる!」

トワイライトMk.1 Type ホーガン / 「イチバンになってみせる!」

 先ほど少し触れた、5コストの強い追加カード。主に下面を手打ちし、山札をシャッフルして捲ったカードを踏み倒すガチャガチャを行います。

 当たりとしては、清永や追加したヴェルベットとギャイアなどのロッククリーチャーの他にも、メヂカラ・コバルト・カイザーも出るだけでかなり強く詰むデッキさえあるレベルのカードです。最悪当たりを引かなくても、マナ加速さえできれば7コストでそれこそメヂカラや、次のターンに多色を埋めて清永を出せるので十分なんですね。

 でありながら、清永やゼノンといったこのデッキの切り札とも噛み合うのが良いところ。ツインパクトなので、清永でゼノンと共に踏み倒したり、元からゼノンがいる状態で上面のホーガンが出れば、スピードアタッカーになって自身のスマッシュ・バーストとゼノンの効果で2回も下面を撃てちゃいます。5コストの強い動きでありながら、清永の大きな当たりでもあるんですよね。

 そして、めちゃくちゃ沁みるG・ストライク持ちの水単色。清永はそもそも山上からの踏み倒しというガチャをするカードであるため同じガチャのこのカードも強く使える、ツインパクトなので元リストのツインパクトシナジーに加われる、とこのデッキに相手は可食部しかないので、思い切ってもっと枠を割いてもいいかもしれません。

 

 

 というわけで、清永デッキの感想と改造案でした。本当に味がするデッキで、ドキつよで当たった中の一番のお気に入りです。ノーマークだったのに一気にトップに躍り出てきました。

 また、これで持ってないデッキで当たった7デッキの記事を全て書ききったということで、このドキつよ感想シリーズもラストになります。もし、複数のデッキの記事を読んでいただけた方がいらっしゃいましたら、本当にありがとうございました。もしこの清永の記事で初めての方は、よければ他のデッキの所感も読んでいただけると嬉しいです。

 以上、ドキドキつよいデッキ、当たったデッキの回してみた所感と改造案でした。

 

 

(完結の雰囲気を出していますが、元から持っているデッキで一つ、水自然ジャイアントという自分がずっっっと擦ってきたデッキがあるので、それだけおまけで記事を書くかもしれません…!

→書きました!)

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ドキドキつよいデッキ 25の王道 回してみた所感と改造案 タマシード戦略の火光水ライオネルデッキ編

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 どうも、石動です。

    昨日のハチ公デッキ編に引き続き、『ドキドキつよいデッキ 25の王道』で当てたデッキを回してみた感想と、それを受けての改造案をつらつらと書いていきます。よろしければ最後までお付き合いください。

  今日は、タマシード戦略の火光水ライオネルデッキ編です。


(改造案に「一応」と設けているのは、どのリストもすごい完成度で、そのままで十二分に楽しいから……ってのと、今の段階で改造するのは勿体ないかなと思うからです。

 初心者の方はご存知でない方もいらっしゃると思うんですが、5月にドキドキつよいデッキのコンセプトを強化するカードを収録した『25の援軍』というパックが出ます。

 改造するのはそれまで待ったほうがいいという前提のうえで、今すぐもっと強いリストを使いたい!という方は改造してもいいんじゃないかなあと。

 あと、この記事で使う画像は、デュエル・マスターズサポートアプリ(https://dm.takaratomy.co.jp/event/supportapp/)のものと、公式カード検索(https://dm.takaratomy.co.jp/card/)のものから引用しています)

 


回し方・所感

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 塩。

 いや、お前それ手札破壊デッキのときにも言ってただろと言われそうですが、本当に塩なんです。というか、塩加減で言うなら手札破壊デッキすらも凌駕しています。手札破壊はまだ、相手の戦略を邪魔するという形で相手と対話している。相手視点では何も嬉しくない干渉ですが、やりとりにはまあ一応なっているんです。

 でもこのデッキは、相手の戦略の構築にすら干渉しない。でありながら、自分からさっさと勝ちに行くでもない。見てください入っているカードのコスト帯を。4コストまではタマシードしか入っていない。タマシードはクリーチャーではないので、当然殴ることすらしない。

 じゃあ何をするデッキなのかと言われると、ひたすらな除去&耐久をするんです。先述したタマシードばかりの4コストまでのカード達は基本的に手札補充か除去かシールド追加の効果を持っている。加えて、その多くが元から、もしくは特定の条件下でS・トリガーを持つ。

 相手が戦略を立てること自体には何も干渉しない。淡々と、手札と盾を増やしていく。ただ相手が勝とうとクリーチャーを並べた瞬間に、殴った瞬間に、手札や盾から除去が飛んできたり、盾を増やす効果が発動し、殴りきることによる勝ちが遠のく。

 そうして、現代デュエマでは遅いはずの5コストまでたどり着いてから、やっとスロットンの心得をプレイして(ちなみに、スロットンもS・トリガーを持っているので下手に攻撃すると強力な進化クリーチャーが早出しされます)、その効果でデッキリスト上部にある進化クリーチャー達を踏み倒すのですが、その能力も4コストまでのカード達と戦略を共にしているんです。

 

MAX・ザ・ジョニー

一番恐ろしい進化クリーチャー。

 単体で最も恐ろしいのが、MAX・ザ・ジョニー。S-MAX進化という、進化元を必要としない(プレイヤー自身が進化元になる)進化クリーチャー。進化クリーチャーは召喚酔いをしないので即攻撃、ついに張り切って勝負を、デュエル・マスターズをしてくれる!と思ったら、各ブレイクの前に盾を1枚増やしてきます。他のジョーカーズまたはレクスターズの数(タマシードも可)だけパワーが上がり、パワーに応じてブレイク数も増えるので、概ね2・3枚盾を追加してきます。

 殴るデッキ視点ではそれだけで目の前が真っ暗になりますが、このクリーチャーの真価はその先にあって。ジョニーの攻撃の終わりに自分のシールドが10枚以上あれば、なんと勝つことができます。所謂エクストラウィンというやつで、ひたすら増やしていた盾が、耐久のためのものから急に勝利へのカウントダウンに変化する。

 そう聞くと積極的に勝ちに来てくれるだけマシなようにも見えるんですが、別の視点で見ると、ほっとくと勝ってくるから、あまり殴らないデッキもしぶしぶ盾を割らざるをえなくなるという意味も持っていて。で、そうして殴ると大量のトリガータマシードが発動し、盤面が荒らされたり、レクスターズが増えることでジョニーのパワーが上がって殴る時に追加される盾の数が増えたりする。

 殴るとトリガーが飛び出してくるからあんまり殴りたくはないけど、でも放っておくとそのまま勝たれてしまうというジレンマ、2択の押し付けが恐ろしいんですよね。使う側はそこまでプレイで悩むことはない(耐久と除去とでかいクリーチャーによる攻撃を繰り返すだけなので……当然100%の力を引き出そうとすると使い手の技量は不可欠ですが……)のに、対戦相手はずっと苦しむことになる。しかも、耐久とライオネルデッキ側の勝ち方が悠長なことが原因で、結構な試合時間をかけることになる。

 そして極めつけが、デッキ名にもある「正義星帝」 <ライオネル.Star>。の、出た時の効果でコストを支払わずにプレイできる光のタマシード、ジョーカーズの心絵。

 

ジョーカーズの心絵

イラストはめっちゃエモい。アニメ版ジョー編の最終決戦でも使われ、勝負を決める活躍をしました。

 「このタマシードが出た時、各プレイヤーは自身のクリーチャーとタマシードを最大1つずつ選び、残りをすべて山札に加えてシャッフルする。その後、各プレイヤーは、こうして山札に加えたカード1枚につき、自身の山札の上から1枚をシールド化する。」。つまり、相手とこちらの盤面をリセットし、盾を一気に回復する。

 相手視点、なんとかトリガーや手札からプレイされるタマシードの応酬を潜り抜けて盾を少なくしたくらいのタイミングで使われ、心をへし折るられることになります。盤面に上手くクリーチャーを複数並べられていたとしても1体を除いて全て山札に帰ってしまうので、本当に絶望です。

 しかもライオネルさえあれば、なんなら耐久でゲームを引き延ばしてマナをためればコストを支払ってプレイすることも可能、しかも自身の効果で勝手に山札に帰って使いまわせるので、1ゲーム中に何度も使われることになります。友達相手に3回目を発動したら、「早く俺を殺してくれ」と懇願されました。

 このジョーカーズの心絵もそうなのですが、タマシードは特殊なカードタイプなので、相手視点止められる手段がほとんどないんですね。クリーチャーの召喚を封殺したり、呪文を撃てなくするカードはそれなりにあるし、通りがいいからデッキにもよく入れられる。けど、そういった汎用性の高いカードはタマシードには刺さらないんです。だからと言って、タマシードをメタるカードなんてほぼ存在しない。現実的なのは盾追加をさせなくするカードを使うことですが、それも除去を撃たれたら終わりですからね。

 いつもとは逆の順番になってしまいましたが、デッキの基本の動きは以下のようになります。序盤は、ひたすら手札や盾を増やす。相手が動くゲームレンジに入ったら、封殺されることがほとんどないタマシードの性質を活かして除去と盾追加を繰り返し、耐久する。5・6マナまで溜まったら進化クリーチャー達を繰り出して、さらなる耐久と、耐久を勝利に変える攻撃を繰り出す。

 いや、言語化すると改めて、とんでもないデッキです。果たしてこれはデュエル・マスターズなのか? デュエル・マスターズかも……という自問自答が生まれます。友達とやっていると、あまりにゲームを続ける力がありすぎて、盾が減らな過ぎて変な笑いが出て楽しくなれました。

 良いリストかそうでないかと聞かれたら、良いリストだと思います。上記のデッキコンセプトを中心に、理路整然と必要なカードで40枚を構成している。無限銀河ジ・エンド・オブ・ユニバースを入れたりなんかしちゃう、変に早く勝とうとする色気を出すことはしない。ユニバースは進化元10枚の上に進化することでエクストラウィンできるカードですが、このデッキはジョーカーズの心絵で盤面をリセットするので相性はよくないんですね。そんな相性良くないカードよりも、ジョニーやライオネルによるタマシード・耐久戦略による勝ち筋を優先している。

 ただ、コンセプトがコンセプトなので、初心者におすすめ、とは言えません! 使ってみて楽しい人もいはすると思うので、一度触って確かめてみよう!!!

 

改造案

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 このデッキに改造という概念があるのか……?

 冗談でなく、コンセプトに対して真っすぐかつ完成されたリストなので、かなり悩みました。真気楼と誠偽感の決断という、このデッキのように耐久や「待ち」をするデッキと相性がいいカードもあるのですが、1枚4000円とかするので初心者向けではないよなーと。そもそもこのデッキ自体が初心者向けではないけども……。

 と悩んだ末、2つだけ思いつきました。ドンドン吹雪くナウという相性のいいカードも入ってないために必要性をあまり感じなかった邪脳の魔法陣4枚を抜いて、2枚ずつ入れてみました。両者とも役割は概ね同じです。

 

DG-パルテノン ~龍の創り出される地~

DG-パルテノン ~龍の創り出される地~

 タマシードと同じ、特殊なカードタイプであるDGフィールド。

 場に設置しておくことで、相手の呪文とクリーチャーでそれぞれ3回までの使用制限をつけて遅延を狙うことができます。使用制限は自分にもかかるのでが、タマシードは無制限に使えるし、このデッキだとクリーチャーは3体も出したらすごく多い方なので、実質相手にだけ枷がつきます。

 また、デュエマには特定のカードの組み合わせを連鎖・循環させて、エクストラウィンやこちらの山札切れをさせるカードを活用し勝利するループというデッキタイプも存在します。そうしたデッキは殴らずに勝つためライオネルの耐久が効かないのですが、そういったデッキタイプを使用制限で大きくメタることができます。こちらの土俵に引き込んで耐久しよう!

 

ヴァルハラの天宝

ヴァルハラの天宝

 パルテノンと同じく、相手の勝利への動きを阻害するカード。パルテノンよりも妨害する範囲が狭い(ただ、同じドキつよのゴスペル相手なんかにはこちらの方が刺さります)代わりに、タマシードなのでライオネルとシナジーする部分がちょっとあります。

 また、元から♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今で山札回復はできるし、ジョーカーズの心絵が山札にカードを戻すから不要な場合もありますが、山札切れ対策の追加にもなっています。耐久の末に山札がなくなってしまっても、これがある限りは戦いを続けられる。命ある限り無限に戦い続けよう!

 

 

 というわけで、光水ライオネルデッキの感想でした。触って一番驚いたというか、「初心者にこんなデッキを触らせるなんて思想強すぎるだろ!」と叫びました。使ってて楽しくはあるんですが、それと同じくらいに、相手・自分共に凄まじく疲れるんですよね。

 まあ、25種もデッキがあるんだから、1枠くらいはこういうのがいてもいいのかもしれません。デュエマの歴史に残っている環境デッキという視点では、間違いなくドキつよのコンセプトにはマッチしていますからね。

 本日はお付き合いいただきありがとうございました。明日は最終回、当たったデッキの中で一番お気に入りだった、ツインパクトの極み!光水自然清永デッキ編です。

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ドキドキつよいデッキ 25の王道 回してみた所感と改造案 エンドレスガチンコバトル!ハチ公デッキ編

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 どうも、石動です。

    昨日の水闇手札破壊デッキ編に引き続き、『ドキドキつよいデッキ 25の王道』で当てたデッキを回してみた感想と、それを受けての改造案をつらつらと書いていきます。よろしければ最後までお付き合いください。

  今日は、相手の隙に一撃必殺!エンドレスガチンコバトル!ハチ公デッキ編です。

 

(改造案に「一応」と設けているのは、どのリストもすごい完成度で、そのままで十二分に楽しいから……ってのと、今の段階で改造するのは勿体ないかなと思うからです。

 初心者の方はご存知でない方もいらっしゃると思うんですが、5月にドキドキつよいデッキのコンセプトを強化するカードを収録した『25の援軍』というパックが出ます。

 改造するのはそれまで待ったほうがいいという前提のうえで、今すぐもっと強いリストを使いたい!という方は改造してもいいんじゃないかなあと。

 あと、この記事で使う画像は、デュエル・マスターズサポートアプリ(https://dm.takaratomy.co.jp/event/supportapp/)のものと、公式カード検索(https://dm.takaratomy.co.jp/card/)のものから引用しています)

 

回し方・所感

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 12枚入っている2コストのマナ加速を2ターン目に撃って、3ターン目に4マナ支払って切り札である特攻の忠剣 ハチ公を召喚、そのまま攻撃を仕掛けてゲームを終わらせるのが基本の動き方。

 ハチ公は攻撃終わりにガチンコ・ジャッジ(互いの山札上を表向きにしてコストが高い方を勝ちとする、コストが同じなら仕掛けた側が勝つ)をして勝利すれば、山札から別のハチ公を呼び出すことができます。そうしたら新しく出てきたハチ公でまた攻撃、攻撃後にガチンコ・ジャッジしてさらに横に増殖、また攻撃……を繰り返せば、なんと4コストのクリーチャー1体からダイレクトアタックまで通すことができます。

 「でもそんな都合よくこいつを引いて出して、さらにガチンコ・ジャッジに勝ち続けるなんてできるのか」、「攻撃したとて相手のS・トリガーを引いて除去されて攻撃後まで盤面に残らず、横に増える能力も使えないんじゃないか」「そもそも攻撃自体をハチ公よりパワーの大きいブロッカーで止められたらどうするのか」……と思うかもしれませんが、その心配も実はかなり薄めてくれるカードで。

 ハチ公は自身の能力でデッキに4枚より多く入れることができるから、枚数を沢山入れることで引けないという危険は限りなく薄められる。そして、ハチ公のガチンコ・ジャッジは運任せのように見えて、デッキ構築段階でデッキ内の平均コストを高くする(初動にも、コストの高いもう一面とセットになっているツインパクトを採用する。ガチンコ・ジャッジでツインパクトがめくれたときは、好きな方のコストを参照できます)ことで勝率を安定させられる。

 2つ目の攻撃中に除去されたら増殖能力が使えないという懸念は、まあまあの場面でその通りではあります。あるんですが、それってあくまで踏んだトリガーが"除去"だった場合の話なんですよね。例えば、盾から手札に加わる時に見せれば相手のクリーチャー1体を攻撃できなくさせるG・ストライク。例えば、清永のデッキに入っているアイド・ワイズ・シャッターのような、相手のクリーチャーをタップさせることで攻撃させなくするトリガー。

 逆に、そういった除去以外の受け札は、全てハチ公には意味をなさないんです。だって、攻撃の"後"に、山札から別個体のハチ公を生やしてくるんだから。G・ストライクやタップトリガーで選んだりタップさせようにも、それらが誘発した攻撃途中の段階では次のハチ公はその場にはいないんだから。

 で、当然、残る一つの懸念でもあるブロッカーにも対策が用意されている。

 

轟く革命 レッドギラゾーン

イラストが信じられないほどかっこいい。

 轟く革命 レッドギラゾーン。ハチ公は火文明のコマンドだから、こいつに革命チェンジ(攻撃時に手札にあるこいつと入れ替わる)ができるんですよね。入れ替わって出てきたレッドギラゾーンは、ファイナル革命で自分の他のクリーチャーをアンタップし、自分の種族にコマンドを持つクリーチャーにスピードアタッカーとマッハファイター、何より「ブロックされない」を付与する。

 トリガーから出てきたブロッカーなら、2体目以降のハチ公をこいつにチェンジさせることでなんとかできてしまうんですよね。こいつ自身と、こいつを出すことで再度攻撃可能になった1体目のハチ公はブロックされないから、ブロッカーなんて無視して攻撃し、また横に増殖していく。

 よしんばトリガーではなく最初から、ハチ公で走りたいターンにパワーの大きいブロッカーが相手の盤面に立っていたとしても、1体目のハチ公からいきなりこいつにチェンジしてWブレイクを通し、次の相手ターンにこいつが除去されず自分の手番が帰ってこれば、先ほどレッドギラゾーンと入れ替わって手札に戻ったハチ公が、最初からブロックされない状態で走り出せる。ハチ公で走るのは大体3ターン目なので、結構な確率でレッドギラゾーンは生き残ります。

 というか、レッドギラゾーンに拘らずとも(レッドギラゾーンは単純に攻撃力が高すぎるので引けたら100使った方がいいですが)、ブロッカーをなんとかするだけならいくらでも手段があるんですね。

 

D2V3 終断のレッドトロン / フォビドゥン・ハンド

割となんでもできる。

 その代表例が、D2V3 禁断のレッドトロン。手札を捨てることで3マナまで軽減して召喚できるクリーチャーで、登場時に相手のクリーチャー1体とバトルができます。シンプルに、パワー5000円以下のブロッカーならこれでなんとでもできる。

 しかもレッドトロン、ブロッカー以外のあれこれにも対応できるんですよね。ハチ公の他の天敵として、「出たターンにクリーチャーは攻撃できない」などのスピードアタッカーをメタるテキストや、「召喚以外の方法で/手札以外からクリーチャーを出せない」などの踏み倒しメタのテキストを持つクリーチャーがいるのですが、基本軽量でパワーの小さいそいつらもレッドトロンのバトルで除去できる。

 それでいて、本人は火のコマンドであり、下面には高コストのトリガーもついている。コマンドだからレッドギラゾーンが出てくると殴れるようになるし、こいつ自身もレッドギラゾーンにチェンジできるし、ガチンコ・ジャッジで捲れても9コストを参照できるし、盾にいても2体除去する強力な受けとして機能する。このデッキにおいては可食部しかないクリーチャーです。

 

Q.Q.QX. / 終葬 5.S.D.

デュエマ屈指の「何言ってんだ」なテキスト。

 他で言うと、平均コストが高くガチンコ・ジャッジで勝ちにくい相手は、Q.Q.QX.と組み合わせることで突破できます。Q.Q.QX.の効果で相手はガチンコ・ジャッジのときに自身の山札を見ることができなくなる(山上を表向きにできなくなる)わけですが、そうした場合、ガチンコ・ジャッジ的には相手のめくりはないものの扱いになり、自分が一方的に勝利できます。これで運に頼らずハチ公を増殖できますね!(畜生)

 ちなみにQ.Q.QX.の山札を見れなくする能力、相手の妨害としてもかなり強いです。山札を見て手札やマナを補給するカードや、清永やガチロボのような山上から踏み倒しを行うカードを否定できます。ハチ公を引けてないときはこいつを出すと結構時間がもらえたり。

 そんな風に、ハチ公自身の性質や、レッドギラゾーンやレッドトロンやQ.Q.QX.といった相性のいいカードの活用によって、見た目以上の貫通力と対応力を持つのがこのデッキになります。いや本当に、坊主めくりをして山札から追加打点を持ってくるデッキコンセプトからは想像もつかないほど、真面目に強い。初心者の方にも自信をもっておすすめできます。このリストの場合、ガチンコ・ジャッジに勝つための高コスト帯を結構な枚数トリガーに割いているので、謎に防御力が高いのも安心感あります。

 強いて言うなら、デュエマにおいては実はコントロールする遅めのデッキよりも、早めにガンガン殴る速攻デッキの方が難しいと言われている、ってのは初心者向けじゃない要素かもしれないです。手札にレッドギラゾーンがある場合、何体目のハチ公からチェンジするべきなのかとか。ハチ公で殴っているときに果たして止まるべきべきタイミングがあるのかとか。

 自分の場合、前者は3体目にすることが多いです。ある程度ハチ公が多くファイナル革命の恩恵がでかい、かつレッドギラゾーンの2点+1・2体目のハチ公の1点×2で、仮にガチンコ・ジャッジに全て負けたとしても、3体目が殴る時点であるはずの相手の盾3枚(最初の5枚から1・2体目のブレイクが通った後)を全て割り切ってとどめを刺せる打点数になるので。後者は自分にはまだわからないし正解もあるんでしょうが、そこまで見極めずとも雑に殴っても勝てるくらいのデッキパワーはあると思います。

 あと、相手に出されるだけで冗談抜きで試合終了するカードがあります。例えば、異端流し オニカマス。選ばれない、召喚以外の方法で出したクリーチャーを手札に戻すメタクリーチャーなので、出されると除去できず終了します。例えば、カレイコの黒像。タマシードというクリーチャーではないカードタイプが、山札から手札以外にカードが移動するかわりに墓地に置かせてくるので、ハチ公が終わります。どっちも前回の水闇手札破壊デッキに入ってるカードじゃねえか!

 

改造案

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 コストが大きいのは素晴らしいけど手札から召喚することはなく受け札としてもこのデッキでは強いとは言えない逆転の剣 スカイソードとストーム・ハイパーXXを4枚ずつ、かなり強いカードだが枠がないQ.Q.QX.を3枚、マナ加速がガチンコ・ジャッジ頼りで運が悪いとつまづくバンビシカットを2枚アウト。

 そこに、レッドギラゾーンの3・4枚目、ハチ公の10枚目を増やし、閃光の守護者ホーリー4枚、轟く侵略 レッドゾーン2枚、運命の親衛隊シウバ/「その運命、我らもそれに従おう」を3枚、フェアリー・ギフト1枚を追加した形。

 レッドギラゾーンの増量は、素直に強すぎるからです。こいつを引いているときとそうでないときで打点の増え方が全然違います。ハチ公もあと1枚欲しいかなーと感じたため。

 以下、その他の追加カードの採用理由を書いていきます。

 

閃光の守護者ホーリー

閃光の守護者ホーリー

 スカイソードとストーム・ハイパーXXを抜いた代わりの受け札枠。抜いた2枚は火と自然という文明が、マナに置くと初動のマナ加速やハチ公をプレイするときの色になってくれるのが良かったんですが、その利点がない光文明でもこっちの方が強いかなあと。このデッキ、元々色は潤沢で火も自然も19枚以上入れられているし。

 書いてある通りのカードで、書いてある通りに強いです。相手のクリーチャーを全てタップするので、盾からトリガーすればほとんどの攻撃を受けきることができます。こいつ自身もクリーチャーかつブロッカーなので、例えばハチ公のように、攻撃の後に打点を増やすカードに対しても1打点追加で止めることができる(ハチ公の場合はそこからジャッジにも勝たないと意味ないですが)し、返しのターンにはこいつ自身も攻撃に参加できます。

 それに加えて、コストは9と高水準。ジャッジに勝ちやすくなるだけではなく、前回の水闇手札破壊の追加カードで紹介した時の法皇 ミラダンテXⅡの、コスト7以下の召喚封じをすり抜けることができたりもします。盾さえ割り切っていればホーリーのダイレクトアタックでとどめだ!

 

轟く侵略 レッドゾーン

轟く侵略 レッドゾーン

 レッドギラゾーンの平行世界の姿。

 ハチ公という火のコマンドの攻撃時に侵略し、除去とTブレイクを飛ばします。勿論ハチ公の攻撃後効果は使えませんが、相手の速度や盤面(突破できないブロッカーがいるなど)によっては、除去しながら3点を入れて、パワー12000のクリーチャーが居座る方が嫌な場合もある。相手のデッキや状況を見極めて強く使えると気持ちいいです。

 また、先ほど言った、水闇手札破壊デッキに入っている詰みカード2種に対して抗えるのも大きな採用理由です。カレイコの黒像に対しては、それを無視したTブレイカー・パワー12000のクリーチャーとして圧力をかけにいけます。カレイコを入れているデッキは早期の脳筋パンチが一番辛かったりします。カレイコをプレイしているなら盤面にクリーチャーはいて1体でしょうし。

 オニカマスに対しても、レッドゾーン自身は踏み倒しで出てくるので進化元のハチ公と一緒に手札に戻されてしまいますが、登場時の「一番パワーが大きい相手のクリーチャーをすべて破壊する」によってオニカマスを選ばずに破壊できます。というか、手札に戻ってしまうことに関しては、むしろ次のターンもハチ公を投げて増殖するorレッドゾーンを乗せてまた3点行く選択肢を保証されるということなので、そこまで痛くないです。

 かなり強いですが、使う状況を選ぶといえば選ぶし、コストもそこまで高くはないので2枚採用です。

 

運命の親衛隊シウバ / 「その運命、我らもそれに従おう」

運命の親衛隊シウバ / 「その運命、我らもそれに従おう」

 オニカマスに抗うぞ!の枠。

 レッドゾーンでもわざわざメタカード対策の側面を語ったように、自分、デッキにおいて「特定の軽量メタカードを1枚出されるだけで詰む」ってのはよくないと思ってしまう性質でして。それがデッキのコンセプト上仕方ない、対策カードを入れようとすると不自然にしかならない場合なら諦められるんですが、今回はぴったりなカードが見つかっちゃったんですよねえ……!

 それがこのシウバ。上面のクリーチャーはマッハファイターを持っているため出たターンに、選ばれないだけでアタックはされるオニカマスを攻撃して除去ができます。当然他のメタクリーチャー対策にもなるし、しかもマナ加速と1ドローがついているから自分の動きも進められる。

 そして重要なのが下面で、7コストというガチンコ・ジャッジ視点での及第点を獲得しつつ、なんと受け札。加えて、手札から捨てたカードのコスト以下になるようにクリーチャーを好きな数選んで手札に戻せるという、高コストが多いハチ公デッキにかみ合った効果をしている。

 あくまで本筋の動きには関わらないカードなので3枚採用に留めましたが、かなりお気に入りの1枚です。「簡単に詰まない」って、ゲーム体験においては重要だと思ってます。

 

 

フェアリー・ギフト(7/27追記:プレミアム殿堂入りが発表されました)

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 殿堂カード。強力すぎて、デッキに1枚しか入れられない。

 闇自然アビスデッキのときに語ったような、後半に引いてもそこそこ強い初動としての側面は、ハチ公一筋なこのデッキではないです。ただその代わりに、上振れカードとしてのパワーがとんでもなく上がっている。

 このカードが絡めば、ハチ公のコストを軽減して2ターン目に召喚し、そのまま殴りきって2ターンキルを実現することが可能なんですね。ハチ公に全力投球しているデッキだからこそ、その切り札を早出しできるこのカードはめっちゃ強く使えるんです。

 コストは1なのでガチンコ・ジャッジ的には最弱なんですが、それを無視してでも突っ込む価値があります。入れましょう。

 

 

 というわけで、ハチ公デッキについて語ってきました。出力も対応力も高く、坊主めくりをしながら犬っころが増殖して殴りきる絵面が"デュエマ"すぎて面白いし、改造も色んなものが考えられて楽しいし、25種の中でも屈指の当たりデッキかもしれませんね。

 余談なんですが、改造パーツだとガチンコ・ジャッジで捲れたらハチ公をアンタップできる逆転王女プリンを入れてる人をよく見てるんですが、個人的には上で入れていない通りしっくり来ていません。ハチ公は横に増殖する事象が強いと思っているからなのですが……有識者の方的にはどうなんでしょうか。

 閑話休題、明日は、デッキタイトル詐欺な、タマシード戦略の火光水ライオネルデッキ編です! 実際にはほとんど光水ライオネルデッキです。

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