石動のブログ

アニメやら特撮やら映画やらの感想を書きます。

2022年に見た新作アニメ・特撮をランキング形式で振り返る 映画編

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 どうも、石動です。

 前回のテレビ編に続いて、2022年に見た新作アニメ・特撮をランキング形式で振り返っていこうと思います。今回は映画です。今年は沢山見たのですが、まさかのオールアニメor特撮でした。

 では、よろしくお願いします。

 

 

 

 

第12位 仮面ライダーセイバー 深罪の三重奏

仮面ライダーセイバー 深罪の三重奏

 『セイバー』のVシネマ。ヒーローものとしての「戦いに巻き込まれて犠牲になる人がいる」というジレンマから逃げることなく向き合ったストーリーを、上堀内監督の邦画のような質感の普段の仮面ライダーにはないような映像で展開していく作品で、近年稀に見る意欲作になっていたかなと。

 ただ、個人的には、合わない点や作品としての歪みが目立っている印象が大半になってしまいました。そもそも「戦いに巻き込まれて犠牲になる人がいる」が『セイバー』と相性が悪くて、まず仮面ライダーの戦いは毎回大規模でやるわけじゃないから、「戦争」を取り扱った『ビルド』や「怪人撃破時の爆発がもたらす被害」を描いた『クウガ』でもない限りこの命題とお話が結びつかない。

 さらにその中でも、コロナ禍が撮影に影響し市民の描写や街中での戦闘が少なくなった、かつ最終回で何がなんでも全員を救済する弩級のハッピーエンドで締めた『セイバー』は特に、「ヒーローの戦いに巻き込まれた犠牲」問題に適合しなかった。単純にこの問い自体が「でもヒーローが戦わなかったらもっと多くの人が死ぬが?? 自分の命と覚悟をもって戦いに挑んだヒーローを外野がどうこう言えるのか??」という欺瞞を含んでるのもありますが、『セイバー』的にもあまり旨味のあるコンセプトではないように感じてしまいました。

 他にも、いざという時に変身音を流してくれなかったり、作中のギミックが無駄に複雑だったり(説明がつかないところが多いので「実は間宮の父は飛羽真です!」というエモどんでん返しの実現のみに寄せていったのかな…)、他の点もまあまあ気になるところが多い。記憶が消える設定を活かしてドラマを描いた倫太郎サイドの話は面白かったし、新しいことに挑戦した姿勢も素晴らしいと思う(同じVシネでも逆に安易な方向に全振りした『仮面ライダーグリス』は本当に酷いものだったので)けど、いまいち中身が伴っていなかったかなあと。嫌いではないしむしろ好き寄りではあるんですが……。

 

 

第11位 ドラゴンボール超 スーパーヒーロー

ドラゴンボール超 スーパーヒーロー

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 これはブログでも感想を書いたんですけど、悟飯ちゃんとピッコロさんが主役というコンセプトへのワクワクと、既視感に満ち満ちていた本編の落差でどうにもな……となってしまう映画でした。CGのクオリティが高すぎてアニメ的な表現をやっても全く違和感がなかったのは凄かったし、魔貫光殺法でとどめを刺す決着は大好きなんだけど、やはり……もうちょい新しいものを見せて欲しかったな……アニメ版『ドラゴンボール超』がその辺大分頑張ってただけに……次の映画はテンプレを乗り越えたものを見せてくれドラゴンボール……。

 

 

第10位 すずめの戸締まり

小説 すずめの戸締まり (角川文庫)

 新海誠監督の最新作。前作『天気の子』は、クライマックスの場面で「陽菜さんを犠牲にしなくちゃいけないなら、世界なんて滅びてしまえばいいんだ!」的なことを言ってしまうほど振り切った作品だった(僕は狂おしいほど好き)けど、今作に関しては「生きること」の普遍的な尊さが物語の主題になっていました。

 正直なところを言えば、主人公であるすずめの背景と、ダイジンを中心とした物語の設定が微妙にぼんやりしていて、それの影響でお話全体がわかりにくくなっているように感じてしまい、あまり盛り上がれなかった気持ちがまあまあ大きかったです。草太とすずめの関係からテーマに繋げるのではなく、よりすずめの過去と心情、「死ぬのは怖くない」「生きるか死ぬかなんて運次第」と思っていた彼女が「死にたくない」と言うまでの変化に描写を絞った方が、「たとえ危ういものでも、それでも生きていく」というテーマが伝わったのではないかと思ってしまう。

 ただ、描かんとしたことの普遍性、3作連続で、この日本においての「災害」を取り扱い続けた新海誠監督の結論が垣間見えるようなテーマは、とても良かったです。「災害を止める」という行為そのものを見ると割と人間本意的なフィクション性の強いお話に見えるんだけど、あくまで「いつ終わるか分からない儚いものでも、必死に生きていく」という決意そのものが重要というか。「扉」「行ってきます」といった日常的な「生」「人生」のモチーフの分かりやすさもあってテーマは最低限提示できてたし、総合的には良い作品だったなあと。気が早いけど、新海誠監督の次回作が楽しみ。

 

 

第9位 仮面ライダーギーツ×リバイス MOVIEバトルロワイヤル


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 恒例の冬映画枠。龍騎参戦や「ジェネレーション」シリーズとは異なる疑似的なパート分けの導入(『戦国MOVIE大合戦』みたいな方式で驚いた)と、色々イレギュラーな要素もなくはなかったけど、なんだかんだいつも通りの安定した面白さ(クロスオーバーと気合いの入ったアクション)が楽しめました。

 特に良かったのがアクションで、空間を縦横無尽に活用しながらも地に足着けた、手数が多く戦略性の高い攻防を繰り広げていたリバイVSギーツはここ数年のライダー映画でも屈指のベストバウトだったし、劇場版限定ライダーであるシーカーはレイズバックルのギミックを活かした戦法で楽しませてくれたし、現代技術でリメイクされた龍騎ライダーはアドベントのチート性能を気付かせてくれた。

 ただ、ストーリーは若干不満があるというか、ゲームマスターの権利が戻ることで「世界を救う」ための真のデザイアグランプリが開幕する展開や、龍騎勢の「多分この真司達は本編とは別の道を歩んでるんだろうな」ということだけを示しながらしっかり一定の活躍を見せる塩梅は良かったけど、それでも中身が薄すぎるような……。「悪い奴らが現れてそれにヒーローが立ち向かう」という構図にほとんど何も付け足さたれていないというか、あと『リバイス』はほとんど見れていないからあれだけど、バイスの復活はいくらなんでもロジックがなさすぎるのでは……?

 恐らくバトルバトルバトル!的なアクションメインの映画で、先述の通り実際アクションは良かったけど、それにしてももうちょいフックになるようなドラマが欲しかったです。お話が薄いせいで、龍騎の客演の意義も微妙になくなっている部分があったので……いやまあ平ジェネ無印といい、映画の時の高橋悠也脚本は毎度こんなもんだけど……これも総合的には「好き」の方が多い作品ではあったけど……。

 

第8位 シン・ウルトラマン

シン・ウルトラマン

 僕は初代『ウルトラマン』を見たことがないのでネットでの又聞きと想像でしかないのだけど、原点の「ウルトラマンへの依存から独立し、人間の手で勝利を掴む」最終回を新しい形に昇華する……という意味では、物凄く精度の高いものが提供されていたように思う。

 ウルトラマンの登場やメフィラスの策略で人類が絶望と無力感と上位存在への信仰を植え付けられ、結果ウルトラマンに頼り切りになり、しかしゼットンとの戦いはウルトラマンだけではどうにもならず、彼が友情と信頼でもって託したベータシステムの技術を依存から抜け出した人間達が自らの手で研究し応用し、ゼットンを撃破する。まずこの筋を出したことに拍手をしたいし、その結末に辿り着くまでの道中をウルトラマン特有のバリエーション豊かなSF的な設定とキャラクターで彩るのも、エンタメ作品としてあまりに満足度が高かった。

 しかし、そのように全体の流れは完璧な一方、実際の展開にはぼちぼちと飲み込めない欠点が存在していました。最も致命的なのが「ウルトラマンが人間を好きになった理由がわからない」こと、禍特対のキャラクターとウルトラマンとの関係がいまいち描かれていないことで、話の核にある要素が上手く描写できていないせいで、終盤の展開には気持ちがあまり乗らなかった。正直、終盤付近になってもウルトラマンが禍特対の面々を「仲間」と呼ぶことに違和感を感じてしまった。

 また、映像に関してはやはりパワー不足を感じざるをえず、印象に残るカットや映像的な快楽が少なかった(スマートフォンを使った撮影も面白い映像にはなってなくて、単に画質が変なことへの違和感だけを感じた)だけではなく、戦闘があっさりめなことを筆頭とした、ドキュメンタリー風のあまり間をとらない作品全体の演出が、全く物語にマッチしていなかった。その演出方針は『シン・ゴジラ』的なそれなのだけど、今作は禍特隊とウルトラマンのパーソナルな関係にドラマの重きが置かれていたので、よりエモーショナルに強調していく方向性の方が良かったのではないかと思う。

 ただ、最終決戦のぐんぐんカットの使い方には泣きそうになってしまったし、それ以外でもウルトラマンと怪獣・異星人のプロレスはもれなく素晴らしかったので、エンディングの心地よさも含めて「面白かった~!」と前向きに終われる良作だったかなと。完全無欠ではないけど、どこか変さに愛嬌を持った作品でした。

 

第7位 四畳半タイムマシンブルース

四畳半タイムマシンブルース【電子特典付き】 四畳半シリーズ (角川文庫)

 スタッフが発表された時には「湯浅監督じゃないのかよ!」と叫びそうになったし、見終えた後でもその気持ちは一切変わっていない。けど、湯浅監督演出&作画はかなり頑張って再現されていたし、所々「おおっ」となるカットや映像もあったので、一つのアニメ映画としてはちゃんと面白かったです。

 まず前提として原作の『サマータイムマシンブルース』×『四畳半神話大系』、それによる青春タイムトラベルものとしてのお話の完成度の高さと個性の強烈なキャラクターの組み合わせが本当に素晴らしくて、それを丁寧に映像化してくれるだけでもう十二分に面白い。特に良かったのがラストの流れで、「私」さんと明石さんの笑顔を横から切り取り、二人が向かい合っているような画面を映し出してからの「成就した恋ほど語るに値しないものはない」、そして流れる「出町柳パラレルユニバース」というのが、本当に爽やかな後味で映画を締めてくれる。

 あまりにも阿呆なギャグと、胸にじんわり染み渡るような物語の良さを味わえるという意味で、やはり「四畳半」のアニメの一編としては満点だったと思います。森見登美彦小説の映像化にハズレなし。

 

 

第6位 劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM 前後編

劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』Blu-ray BOX<期間限定版> [Blu-ray]

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 こちらもブログにまとめた通りなんですけど、総集編プラスアルファに留まらない映画としての創意工夫と完璧な挿入歌演出で興奮をもたらしてくれた前編『君の列車は生存戦略』、構成や演出に一部歪みを抱えつつもテーマ自体のアップデートという最強の一手を物語内の様々なギミックと要素を総動員して本気で行ってくれた後編『僕は君を愛している』と、やっぱり『ピングドラム』は最高だな……と思わせてくれた劇場版。

 書きたいことは本当に全部感想ブログで語ったので、ここではもうこのくらいでいいかな……とにかく最高に面白いので、テレビ版と合わせて全人類に見て欲しいです。上映時間が長かったので映画館では終盤腰が痛くなってしまったので、僕もブルーレイを購入して家でじっくり楽しみたい。円盤の発売がはやいのがありがたい。

 

 

第5位 劇場版 Gのレコンギスタ Ⅴ 死線を越えて

劇場版『Gのレコンギスタ Ⅴ』「死線を越えて」【Blu-ray特装限定版】

 前々から気になっていた劇場版Gレコ。去年公開したⅢも観に行きたかったのだけれど、計画力不足で公開期間中にⅠとⅡを視聴することができなかったので、今年のⅣとⅤが初の劇場でのGレコ体験になりました。初になったのですが……劇場で観るGレコ、本当に面白い……!

 後で語るⅣとは違い、Ⅴはほとんどテレビ版に再編集や画面処理で手を加えた感じの所謂総集編だったと思う(「映画版の方がわかりやすいよ」とのアドバイスを受けたのでテレビ版は未視聴で臨みました)のですが、劇場の大画面で見ても全く粗が目立たず、むしろ並みの映画を遥かに凌駕する迫力の戦闘シーンが見れて眼福。ユグドラシルの「こいつやべえ」感は半端なかったし、最終決戦のG-セルフカバカーリーの対決も地味ながらも一手一手の攻防がとても見応えがありましたね。作画とコンテが良すぎる。

 加えて、わかりにくいながらもストーリー展開もちゃんと面白くて。若干投げっぱなしだったり掘り下げが足りていない部分もあるのですが、宇宙を巡ってきた皆が今度は自分達の住む地球を一周しに行く、主人公のベルリに関してはもっと踏み込み自分で「大地に立」って世界を知りに行く、という結末でもって、これからが本番で、ここから全てが始まるのだと、正にキャッチコピー通り「ここから始まる『Gのレコンギスタ』」なのだと示している。そのような形で全てをメインテーマに収束させていくことで、未回収の要素はむしろ物語の構成要素になっている。

 そして、そのように全てを包括し地に足つけた「生」を肯定するシナリオの中で、現実の人間と遜色ない実在感を伴ったキャラクターの心理描写や、はちゃめちゃに清々しいオチを見せてくれるのが最高。ラスト、ベルリが富士山の頂点から「後ろが太平洋で、前にも海が広がっている!」「僕はこれで、世界を回るぞ!」と駆け下りていくシーンには、何故だかわからないけどうるっと来てしまいました。ドリカムの主題歌も凄い効いてたし、映画としての満足度も高かったです。

 

 

第4位 劇場版 Gのレコンギスタ Ⅳ 激闘に叫ぶ愛

劇場版『Gのレコンギスタ Ⅳ』「激闘に叫ぶ愛」【Blu-ray特装限定版】

 Ⅴと別枠なのは、『ピングドラム』と違ってある程度独立した別の話だからです。

 Ⅴは映像とストーリーが両方とも最高にエンタメしてたのだけれど、その最終章としての盛り上がりに負けず劣らず、Ⅳもありえないほど面白い映画に仕上がっていた。というか、1つ上の位置にいることからも分かる通り、個人的には前後編の前編に近い立ち位置にもかかわらず、Ⅳの方が記憶と心にぶっ刺さりました。

 ジット団のどこかぶっ飛んでておかしなところもあるけれど見ていて何故か感情移入してしまうキャラクター性とか、ビーナス・グロゥブでの出来事から導かれるSF的なテーマとか、その魅力には本当に様々なものがあるのだけれど、やはり最も大きいのは終盤の完全新規作画(らしい)パート。フォトン・トルピード発射からG-セルフVSマックナイフの流れがあまりにも怒涛で、辛くて、熱い……!

 四つ巴の争いを止めるために、G-セルフのフルパワーを発揮するベルリ。しかしその力であまりにも多くの人間が無差別にその命を散らし(MSごと光になって「消える」のが本当に……)、動揺したベルリはさらにその攻撃の発動を見たマスクによる怒りの襲撃を受けてしまう。

 フォトン・トルピードの恐ろしさも、数多の人間を殺してしまったベルリの苦悩も、「悪魔になって帰ってきたやつ!」と叫ぶマスクの怒りも、ベルリの反撃を受けたマスクを庇うマニィの愛も、全ての要素がとんでもなく劇的に描かれるんですよね。最も作画パワーが発揮されるG-セルフVSマックナイフは、事前に公式から宣伝として動画が公開されていたのだけれど、劇場で観るとその迫力がダンチ。最高の絵コンテに従って、最強の作画で宇宙を駆け刃を交える2機の映像に、劇場にも関わらず「うおおおおおおおすげえええええ!!!」と叫びそうになってしまいました。いや誇張じゃなくて。今まで見てきたアニメの中でも1、2を争うレベルの戦闘シーンだったので。

 この映画を、特に終盤の新規作画パートを劇場で観られたことを、僕は定期的に思い出してはニヤつくだろう。それほどまでに、自慢に感じてしまうほどに、面白かったです。Gレコ最高。

 

 

第3位 仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル

仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル CSMタジャニティスピナー&ゴーダメダルセット版(初回生産限定) [Blu-ray]

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 過去のブログで書い(以下略)。

 非常に激しく賛否両論が分かれている作品ですが、僕としては感謝しかないです。自分の人生観に影響を与えたほどに鮮烈な、『仮面ライダーオーズ』。その結末の意味が、映司とアンクの関係の本質が少しずつズレていってしまったこの10年を、この作品は完璧に清算してくれた。公式自らの手で、非常に『オーズ』に真摯な形で、『オーズ』に決着をつけてくれた。映像はしょぼかったしやり方も綺麗なものではなかったけど、でも、それでも終わらせるという覚悟は本物だった。

 この前購入したブルーレイで久々に通しで見たのですが、やはり非常に計算されつくされた、かつ『オーズ』本編を穢さないように尊重し続けた、制作陣の覚悟の結晶のような作品だったなと。改めて『オーズ』には、ありがとうとさよならを言いたい。

 

 

第2位 犬王

劇場アニメーション『犬王』(通常版) [DVD]

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 過去のブログで書い(以下略)。

 傑作です。最高のアニメーションです。音響と作画と演出と脚本が完璧です。

 中盤のライブシーンの長さはやっぱりな……と思ってしまうけど、その不満を全て帳消しするほどの傑作なので、全人類見てください。上位の作品は基本的に全人類に見て欲しいやつですが、この作品は事前知識も準備も一切要らないので、是非気軽に手を出して最高のアニメーションを浴びて欲しい。

 これほどまでに楽しくて、ハードで、切なくて美しい「物語」は、他にはない。犬王と友有の「物語」は、未だに僕の中に残っている。

 

 

 

 

 

そして、栄えある(?)第一位は……

 

 

 

 

 

 

第1位 THE FIRST SLAM DUNK

THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE (愛蔵版コミックス)

 事前情報では不安を感じる方が多かった作品で、特にCG主体の映像は、予告編のカットだけだとあまり期待できるようには見えなかった(CGが嫌いなわけじゃなくて、スラムダンクにはあまり合ってない気がしていた)。しかも何故か公式が全く他の情報を出してくれないばかりに、映画館に向かう段階ですら不安が興中の半分を占めていた。

 が、いざ観てみると、そんな不安は消し飛んでしまうほど面白くて。まずほぼ唯一の公開情報であり最大の不安要素だったCGに関しては、驚くほどの高クオリティで、劇場の大画面で映えに映えまくっていました。試合のスピード感や選手の動きの精密さという、バスケ漫画のアニメ化として押さえておいて欲しい部分を完璧に満たし、原作の躍動感ある作画を完璧に映像に落とし込むことに成功していたように思います。そして、そんな原作とイコールで繋がるほどの映像は、単品で見てもそもそもの満足度がえげつない。ひたすらに目と脳みそが幸せになりました。

 さらに、最高の映像で展開されるストーリーの中身も、素晴らしかった……。そのままアニメにするだけでもえげつない盛り上がりが保証されている山王戦を、宮城を中心に据えることで「宮城リョータの物語」としてアレンジし、一つ映画としての芯を通す。その方針のために原作の見せ場を削る決断もできてしまうのが本当に痺れるし、でありながらしっかり原作の膨大な熱量を反映した展開の数々にはしっかり泣かされる。

 素晴らしいのが宮城を主人公に据えたことで、原作では湘北スタメン五人の中で最も内面に踏み込んだ描写が少なかった彼の過去が描かれることで全く新しいドラマが生まれ、映画としての新規性・まとまりが強くなっている。加えて、上記の原作の熱量を反映した云々という話も、宮城の作中でのゲームメイクをしていく役割と他の選手達との関わりから物語を展開する形式によりもたらされているもので、映画としての・原作のアニメ化としての二つの面白さが、彼が中心に立つことで実現しているんですね。そんな形式だからこそ、彼と彼らの物語はあそこまで劇的に、ドラマチックに、熱く展開されていく。

 執念を感じる熱量の映像と、どこまでもクレバーで巧みなストーリー。いやあ、本当に面白かった……原作を再履修してからもう一度映画館で観たい……。

 

 

 

 

 というわけで、今年の振り返り映画編でした。間に合った……年内には間に合ったけど、本当に滑り込みになってしまった……。

 今回のギリギリっぷりもそうですが、今年は色んな作品を見られた一方でブログの更新が少なくなってしまったので、来年はもっと精進していきたいと思います。どうしても時間はかかってしまいますが、やはり感想をまとめることで作品の理解度は格段に上がるし、あと単純に書くのが楽しいので……他の趣味とのバランスを上手くとりながら、せめて月一では書いていきたいなと。

 というわけで、呼んでくださりありがとうございました。

 よいお年を!