石動のブログ

アニメやら特撮やら映画やらの感想を書きます。

2022年に見た新作アニメ・特撮をランキング形式で振り返る テレビ編

 どうも、石動です。

 今年も残すところあと一日。大分滑り込みのタイミングになってしまいましたが、今年も1年で見た新作アニメと特撮作品の感想をまとめていこうと思います。今年は去年ほどは見てないから……多分前後編にならないはず……残り時間少ないけど、テレビ編と映画編を書き切れるはず……多分……。

 というわけで、よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

第13位 魔法少女まどか☆マギカ外伝 マギアレコード FINAL SEASON ─浅き夢の暁─

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 あまりに性急に過ぎる。

 なんというか、こう、うん。1期の丁寧に積み重ねていくような人間ドラマに魅了され、2期にはテンポを優先した結果の歪さを感じながらもクライマックスの展開には胸を熱くした。つまりは大好きな作品だった『マギアレコード』が、これほどまでに酷い終わりを迎えるなんて、想像もつかなかった。その末路を実際に見届けて、なかなかの衝撃を受けてしまった。「インパクトがあった」という視点から見れば、2022年でも屈指の作品だと思う。勿論、悪い意味で。

 最初に述べた一言が全てで、とにかくあらゆる展開が駆け足過ぎて説得力がなかったです……。全ての真実が明らかになる最初の話だけはまあまあ楽しめましたが、それ以降の物語の本筋は、キャラクターの心情描写も物語のテーマも何もかも投げ捨てていて、見ていて何の感情も湧き上がってこなかった。一番酷いのがラスト2話の「ういの言葉を受けて悲しみを乗り越え復活」→「ういの願いを引き継ぎ黒江を救おうとする」→「しかし失敗して急に現れた自らのペルソナに色々言われて絶望」→「急に来たみかづき荘のみんなに励まされて復活」といういろは周りの展開(これを15~20分くらいで駆け抜ける)で、「唐突」「雑」と言う他ない。

 また、尺以外でも(というか駆け足な展開の結果?)シンプルにお話としての作りの甘さが露呈していて、先述の豪速展開の中で雑に絶望して死んだ黒江にはオリキャラとしての存在意義がまるで感じられなかったし、見滝原組が一切出てこないことで彼女達のこの物語における存在意義がファンサでしかなくなってしまい、そこから彼女達に描写に割かれていた2期と1期の尺がまるまる無駄になる、という現象が起きてしまっていた。

 ひたすらに駆け足で、そのくせまるで物語の明確な骨子も感じられず(「願いの物語」的なことをやろうと……していたのか……?)、加えて劇伴の区切り方がおかしいなどアニメーションとしての問題も山盛り。2期ですこーし気になった「尺が何故か1クール用意されていない」「テンポとファンサを重視しすぎて心理描写が粗雑になっている」という欠点がパワーアップしてリターンズし、一方で作品の良いところはほとんど消し飛んだ、そんな作品。僕が1期で好きだった部分はなくなり、それとは正反対の物語の作り方から生じたストレスだけが視界に入ってきました、はい。

 ……これ以上書いても愚痴しか出てきそうにないのでここで終わり!

 

 

第12位 ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA

ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA Blu-ray BOX VOL.2(特装限定版)

 自分が今まで見たウルトラマンの中で、屈指で好きになっていた『トリガー』。去年の感想ではその「好き」を語ると同時に、主に『トリガー』独自の良さを押しのけてまで唐突にねじ込まれる『ティガ』要素(と考えられるもの)といった不満と、「ここから始まるであろう『トリガー』の最終決戦が残念なものであっても」という仮定を書いた。そして、2022年に放送されたラスト数話で展開されたのはまさに、それら二つの悪魔合体だった。

 特に最終回に関しては、「キャラは立っているけど絆は深く描写されないので正体バレに感慨がない」「スマイルのゴリ押しが酷い」「光と闇の話をしているけど作中でその二つを対立軸として描けていないのでそもそもの構造が成り立っていない」という大きく分けて三つの問題点が、『トリガー』という番組の歪さを体現しているような構図になってしまっていました。一番最後の、前提すら掘り下げられない形で前面に出てくる「光と闇」はそれこそ『ティガ』要素以上の意味はないだろうし、そんなオマージュの域を出ていない要素に尺を割いたことで「スマイル」「個性豊かなGUTS-SELECTの面々」という『トリガー』の良さを発揮できなかった結果が、前者二つの不満点。綺麗に、イコールで繋がっている。

 勿論、去年言ったのと同様に、いくら終盤が残念だったからといって、僕の中の『トリガー』への「好き」は消えていない。正直、『トリガー』という番組全体の印象は「『ティガ』要素と『トリガー』独自のカラーがバッティングし、結果両方とも形にならず空中分解した作品」になってしまうけれど、それでも主要三人のキャラクターや関係性の良さ、客演回の打点の高さやGUTS-SELECTの兵器や作戦のワクワク感を忘れることはない。後述するが、『デッカー』の『トリガー』の客演の際には、「やっぱ僕『トリガー』好きだ」と完敗してしまった。

 ただ、『トリガー』が好きだからこそ、もっと上手くやれなかったかなあ……と思ってしまうのもまた事実。複雑な気持ちです……。

 

 

第11位 まちカドまぞく 2丁目

まちカドまぞく 2丁目 (4) Blu-ray(特典なし)

 1年ほど前に友人の「実質『仮面ライダージオウ』なので読みましょう」という誘い文句にまんまと乗っかり(『ジオウ』好き……)、原作コミックとアニメ1期を駆け抜け、そしてその緩さとシリアスのせめぎ合いの上に立つ「日常」に心を奪われた、『まちカドまぞく』のアニメ2期。1期と異なりリアタイで作品視聴できるというだけでもう嬉しかったのだけど、その高い完成度にアニメとしても満足して毎週追いかけることができた。

 ギャグのテンポ感やテンションに関しては若干可愛さとアホさを過剰に盛った感があって実は苦手なところもなくはなかったり、流石に1期最終話の美しすぎる締め(3巻冒頭だけを持ってきて「彼女達の日常は続いていく」的なニュアンスを強めるのが天才の発想過ぎる)と比べるとオチの弱さを感じてしまう部分はあったりで不満もなくはなかったが、やはり安定した高クオリティのアニメ化だったなと。個人的に3巻の、一気にシャミ子の過去の真実と彼女の目指すべきものに迫っていく内容が大好きなので、それがベストマッチな声優さんの演技で見られただけでも満足。このアニメで那由他も見たいので、どうにか3期頼みます!

 

 

第10位 なんかちいさくてかわいいやつ

第1話~第5話

 めざましテレビ内の1コーナーで尺も3分そこらなのでここに入れるかは迷ったけど、まあアニメではあるし面白かったし入れとくか……の枠。

 原作漫画はとにかく面白く、不条理×ホラー×可愛いマスコット×日常×成長ドラマという無二のバランスが存分に発揮されていて、毎回Twitterに最新話が上がる度に気持ちが揺さぶられてしまう。ただ、それ故に朝の番組のコーナーという枠でちゃんとその面白さを再現してくれるか(「かわいい」部分だけを抜き出されないか)心配だったのだけれど、「なっちゃったからには……もう……ネ……」や「なんとかバニア」編など、その辺を緩いテイストながらもしっかり「怖く」映像化してくれたことで信頼度が限界突破しました。

 「ひとりごつ」をしっかり新曲で作ってエンディングに採用する、しかもそのエピソードまでは歌をカラオケバージョンにして隠しておくなど、原作を前提としたアニメ化としてもあまりに全体の展開が上手すぎるので、これからも視聴が楽しみです。しばらくは金曜の昼休みはちいかわアニメに心を癒される日々が続くかもしれない。

 

 

第9位 機動戦士ガンダム 水星の魔女

PROLOGUE

 リアルタイムで視聴できる新作ガンダムということで、とにかく期待しかなかった作品。プロローグの時点ではただならぬ重厚SFの気配が漂っていましたが、蓋を開けてみたらとんでもない癖強アニメでした。

 正直、登場人物がほぼ全員死んだプロローグからの「決闘が日常的に行われており、それを用いた賭けで全てが決定する」というIQ3(に初見は見えてしまう)設定を根幹に据えた学園ドラマ、という展開の方向転換に悪い意味で「なんか違うな」となってしまったり、5・6話のエラン関連のエピソードはエランのスレッタへの感情やそもそもの背景の描写が足りてなくていまいちだったり、割と見ていて疑問符が浮かぶ展開も多い。ただそれすらも個性のひとつと思わせるような雑多な魅力がこの番組にはある、と感じていて。

 上手く言語化はできないんですけど、難解なSFと若干後ろ向きな学園ドラマ、そしてそれらを実際に形にするテンポ遅めの番組進行と、個々で見るとマイナスになりかねない要素が、奇跡的に噛み合ってるように感じるんですよね。どの話を見ても、『水星の魔女』の味~!濃~!と癖になってくるというか。あまりにベタな造詣過ぎてみんな好きになるグエル先輩を中心とした、インパクトと人間味の強いキャラクター達がそれらを織りなしていくことで、不思議と全部の要素がある程度接着して見えるというか。

 なんだかめんどくさい理屈を捏ねてしまったが、普通に面白いです、『水星の魔女』。めっちゃかっこいい戦闘シーン(5話の電磁ビームVS接近攻撃は終始画が良かった)や8・9話のシャディク編のどうしようもなさと切なさの伴った、青春……な内容はめっちゃ好きだし、積み重なっていってるプロスぺラとスレッタの関係の欺瞞も爆発する時を今か今かと楽しみにしています。1クール目で一旦話が切れてしまうのが歯がゆい……。

 


第8位 ポプテピピック

#12「Endless Love」

 例のクソアニメが帰ってきた。

 毎話のように挿入されるスクエニ公式とのコラボコーナーは普通に面白くなかったし(そもそも「公式じゃないのにアウト気味なパロをやる」というのが「クソアニメ」たる所以だったので公式とガッツリ手を組んじゃいけないだろとなる)、僕はよく分からないがアマプラ独占配信になったのも文句を言われていた。正直、「クソアニメ」という肩書きを真っ当(?)していた1期に比べると、商業的な要素が強くなっていた感は否めない。

 ただ、それはそれとして引き続きアホみたいな一発ネタをとんでもないクオリティのアニメーションや紙芝居でやり切っていくこと自体が映像作品として普通に楽しかった(アニメとしてはアレかもしれないけど、1話全部を紙芝居でやった回はAC部の凄さに圧倒されてしまうので好き。山ちゃんもえぐい)し、元々原作がちゃんとクレイジーギャグとして面白いしで、満足いく部分は非常に多かったです。

 また、初回と最終話で展開された特撮…というか平成ライダーパロもオタクとして楽しくて、特に最終回の全話丸々使っての悪ふざけには謎の感慨を覚えてしまいました。ちゃんとロケ地や監督が平成ライダーなのが笑うし、「様々なキャラデザのポプ子とピピ美を出し、それぞれの声優をこれまでのオールスターにする」という展開がシンプルに良くて膝を叩いた。そいつらが出てくる時に明らかにディケイド的なオーロラを介するのも好き。なんだかんだ、ちゃんとクレイジーパロギャグアニメとして面白かったなと。

 ただ、星色ガールドロップがなくなったのは悲しい! 「Endless Love」が今期のその枠なんだろうけど! ポプテピピックを見るモチベの3割が星色ガールドロップの予告だったので!! (局所的な)需要あるので復活してくれ!!!!

 

 

第7位 ウルトラマンデッカー

ウルトラマンデッカーBlu-ray BOX Ⅰ (特装限定版)

 『トリガー』の終盤があまりにそのダメさを体現していて悲しくなってしまったこと。最初の2話が全く同じ「王道風だけど基本が抑えられていないので中身スッカスカのテンプレなぞっただけのお話にしか見えない」(1話は一般人でしかないカナタがスフィアに立ち向かうまでの心情描写が……町が破壊されるのを大回しで映してカナタが叫ぶ、とかそういう明確な「きっかけ」「奮起の瞬間」を演出しないと成り立たないシチュエーションなのに……全く気持ちが乗らない……2話もその展開やるなら主要3人の関係性をもうちょい掘り下げてくれ……)という形でつまらなくなっていたこと。

 主に上記の二つの理由で2話以降を1クール近く放置してしまったのですが、重い腰を上げて視聴を再開してみたら、ちゃんと面白くてドハマりしました。個人的に好きだったのが1クール目の単発回で、4話の「宇宙怪獣通信販売」や5話の「スフィア襲来に居合わせたせいで地球に閉じ込められた異星人」など、各々の話の中核に独自のSF要素があるのがとても良い。そのSF要素はコミカルな部分もあるんだけど、そのコミカルさが順当にほっこりなオチに落ち着いたり、逆にコミカル故の空恐ろしさに繋がったり、非常にバリエーション豊かな面白さを提供してくれる。

 あとその立ち位置で言うと、『トリガー』の続編としても現状完璧だよなあと。そもそもの舞台設定でトリガーの格を保持しつつ『デッカー』の物語にちゃんと絡めていく手腕もさることながら、やはり『トリガー』好きとしては7・8話で無茶苦茶やってたのが印象深いです。

 直前の話までちゃんとしてたのに急にリアリティラインやお話の緩さが『トリガー』のそれまで急降下するのはまあ普通にダメなんだけど、クライマックスのカルミラ復活&共闘の無法ぶりや、「Trigger」が完璧なタイミングかかる演出(ウルトラマンは『ゼット』のジード客演時など主題歌を雑にバンバン流してしまうイメージがあったんですけど、今回ばかりは初登場時に安易に流すことを避け、さらに「Wake up Decker!」を挟んで満を持してから、というのが最高)でマイナスは完全に帳消しになる。なんなら印象としては『トリガー』終盤の残念さも吹き飛んでプラスに傾いた。それほどまでに濃く、良い『トリガー』客演回だった。

 2クール目のアガムス周りの展開には未来要素の唐突さやアガムスの行動原理の気持ちの乗らなさに若干不安を覚える部分もありますが、僕としては『トリガー』を成仏させてくれただけで『デッカー』には感謝しかないです。それらの不安もほんの些細なものなので、このまま真っ当に面白い、かつ『トリガー』の続編として終盤を駆け抜けてくれるだろうと思います。ありがとう、面白いぞ、『デッカー』。

 

 

第6位 仮面ライダーBLACK SUN

第五話

 仮面ライダー生誕50周年の企画の一つとして打ち上げられた、あの白石和彌の撮る「仮面ライダー」。情報発表の段階ではその気合いの入り方にひたすら脱帽するばかりでしたが、実際の作品はこう、なんというか……といった趣でした。

 いや、その、好きなんですよ!! 上の方にいますから!! ただ、「差別」というデリケートな問題を取り扱う割に描写が粗雑に過ぎるとか、「差別」はあくまで舞台設定であり核にあるのは光太郎と信彦の因縁だと考えてもそれならそれでもっと二人の関係を掘り下げるべきだろとか、シンプルにキングストーンの描写がぼんやりし過ぎてわかりにくいとか、物語の根幹に関わる部分への文句が山ほどあるのは事実で、だから感想を書こうとするとどうしても最初に不満が出てくるというか……。

 ただやはり、それでも僕はこの作品が好きで。あまりに歪であまりに粗削りだけど、豪華キャストによる渾身の演技合戦や、外部のスタッフが関わっているからこそロケーションや方向性がオンリーワンの個性を発揮しているアクション面、制作陣が『BLACK』にハマってしまった結果生まれたと考えられるストーリーや「変身」周りの描写の手触りなど、光る面は本当に眩しいまでに輝いてたと思うんですよね。最終回の光太郎と信彦の決戦は変身シーンからライダーキック・パンチに至るまで終始見惚れてしまうほど良いし、『BLACK』へのオマージュに関しては自分が原作を視聴すればもっと味が出てくるような気がしている。

 「完成度が高い」と「好き」は必ずしも一致するものではないけれど、ここまで乖離している例も珍しいな……と。不満は山ほど思い浮かぶのに、それでも好きなシーンは鮮烈に頭の中に残っている……光太郎と信彦の鏡合わせの同時変身を何度も見返してしまう……。好きです。

 

 

第5位 チェンソーマン

第12話 日本刀VSチェンソー

 ここまで上の順位なのにまだ文句を言うのかと怒られそうなんですけど、この作品に関しても複雑な心境なんですよね。あの大傑作漫画『ファイアパンチ』の作者である藤本タツキ先生が、その作家性をエンタメに100%昇華したネクスト傑作漫画。そのアニメ化なら、もうちょい面白くできたんじゃないか……特にチェンソー状態での戦闘の盛り上がらなさ(単純にチェンソーCGの造形も動きも面白くないのが辛い、デカブツ相手だと本当に見応えがない)は……あとエンディング毎週変更に関しては「話題性」以外の理由が1ミリも感じられない……せめて毎週その話の余韻に合うような、それこそ中盤で一瞬見せた方向性をずっとやってくれれば……。

 が、終わり良ければ総て良しじゃないけれど、その不満の半分くらいは最終回で浄化されてしまっているんですよね。人間大サイズでの斬り合いだからか、チェンソーVSサムライソードはチェンソー状態の戦闘なのに物凄い迫力とカタルシスがあったし、最後に流れた「ファイトソング」はタイミングもお話の余韻へのマッチ具合も完璧だった。

 また、牛尾憲輔さんによる最強の劇伴や、それぞれのキャラクターで100%魅せてくれた声優さんの演技、それらと実写映画指向の演出の組み合わせによる戦闘なし回の異常な面白さと、先述の不満以外は満足度の高い部分が多く、総合的には良いアニメ化だったんじゃないかなと思います。今回の良いところを伸ばして欠点を排したくらいの、それこそ最終回のようなバランスでレゼ編が見たいぜ……!

 

 

第4位 仮面ライダーギーツ

仮面ライダーギーツ VOL.1 [DVD]

 諸事情あって『リバイス』は年明けから見れていなかったので、自分としては大分お久しぶりな仮面ライダー作品。『エグゼイド』『ゼロワン』の高橋脚本と、『キバ』『オーズ』『鎧武』の武部Pということで、作品や内容の傾向を見ると期待できる(『ゼロワン』だけが不安要素)布陣だったので、ライダーへのブランクもあって放送を楽しみにしていた作品。そして、実際に視聴してみても、ちゃんと面白くて自分の中の日曜日への期待を高めてくれました。

 まず1話で即「ライダーの死」「ゲームの終了と世界の創造」を描く思い切りの良さに痺れたし、その後のゲストを一切呼ばずにゲーム内容とライダー達の戦いだけで番組を回していく方針には新鮮な作劇の面白さを感じられました。「邂逅」編の終盤に関しては流石に呆気なさすぎるだろとは思ってしまったけど、続く「陰謀」編では「邂逅」編で積み上げたものを下敷きにしながらも、前のめりなゲーム展開と英寿とデザグラというお話の中心にある要素への踏み込んだ描写で、ちゃんと気持ちを元に振り戻してくれる。

 ギミックやキャラクターをゴリ押すのではなく、「世界を救い願いを叶える」デザグラで戦いを通して、12話と16話の英寿・景和に台詞に表れているような、ライダー達の「願い」の強さと尊さをテーマとして描いているのもめっちゃ好きです。最新話の種明かしで、その「願い」を巡る戦いが第三者達のエンタメとなっていた、という構図が判明するのも含め、テーマと連続ドラマとしてのヒキ、仮面ライダー的なバトルの要素が見事に噛み合っているなあと。この安心感ある番組があと9か月も続くの、精神衛生に良すぎますね……。

 

 

第3位 風都探偵

第9話『閉ざされたk/究極は二人で一人』

 今思い返しても、面白かったな……。

 『風都探偵』の大本にある『ダブル』は、平均の打点がえげつなく高くてなおかつ節目節目の盛り上がりも凄く当然のようにキャラクターも魅力的という、エンタメのお手本のような作品だったけど、その完成度の高さを引き継いだ正当続編が、120点のクオリティで映像化していました。

 まず仮面ライダードーパントを作画で描くというのに度肝を抜かれたし、それによる戦闘の迫力をこれでもかと見せつけてきた1話冒頭のビギンズナイトを見て変な声が出そうになったし、2話で戦闘だけでなく「変身」もとんでもない気合いを入れて描いたのを見て勝利を確信した。他にも、「W-G-X」を戦闘用の挿入歌にとっておきなおかつOPの「Private Eye」を最終回で流す音響の「わかってる」感に、ダブルプリズムエクストリームによる決着&ときめの過去への一時的な決着&裏風都サイドの絆の描写&圧倒的なヒキの強さ、を併せ持った5巻をラストエピソードにするために4巻をカットできる制作陣の判断力と、とにかくあらゆる面で素晴らしいアニメ化だったと確信している。

 2期の続報は今のところ一切出されていないけど、一度こんなの出されたら続きも見たくなるに決まってるので、なんとかして制作にこぎつけて欲しいですね。頑張ってU-NEXTも入るしさ……何故かYoutubeでビギンズナイトをカットした1話を配信するという性格が捻じくれた宣伝のことも忘れるからさ……頼んます……。

 

 

第2位 平家物語

平家物語 アニメーションガイド

 アニメは好きだけど年に気になったのを6タイトル見るくらいだし、そんな自分がこんな表現を使ってはいけないかもしれないけど、今年、いやここ数年でも屈指の傑作アニメーションだった…。

 原作は歴史的名作なので内容は当然保証されてるとして、主人公のびわ(=琵琶法師?)に関連するオリジナル要素、人の未来と過去を見ることが出来る「傍観者」たるびわが平家の姿を近くで見届け、その物語を祈りをもって語ったのが「平家物語」かもしれない…という構造が本当に素晴らしかったです。

 特に、その構成を活かして所々場面で未来のびわ平家物語の原文を「語り」として入れる演出の迫力や、最終回の登場人物達が「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ」と誰もが知っている一文を語って締めくくるラストには、思わず涙を零しそうになってしまいました。

 また、単純にアニメーションとして作画と演出のクオリティが高く、見ていてこんなに心地良くなれる映像はそうそうないよな、と。平家物語だからと日本伝統の楽器のみを使うのでなく、普通にロックなどポップな音楽をとり入れながら、しかし物語にしっかり沿って、張り詰めるような感覚も同時に孕んだような劇伴も好きだし、具体的な台詞では全てを語らない、暗喩や視覚的な表現に満ちた映像は本当に最高だし。とにかく、あらゆる面において完成度が高い作品だった……。

 

 

 

 

 

そして、栄えある(?)第一位は……

 

 

 

 

 

 

第1位 暴太郎戦隊ドンブラザーズ

スーパー戦隊シリーズ 暴太郎戦隊ドンブラザーズ Blu-ray COLLECTION 1

 井上敏樹脚本という点に興味を引かれながらも、前作の『ゼンカイジャー』と自分の相性が引くほど悪かったトラウマもあって、スルーする予定だった『ドンブラザーズ』。しかし、戦隊好きな友人に激推しされ、仕方なく騙されたと思って3話まで見たら……ハマってしまった……今年一面白かった番組だと断言できるほどに、好きになってしまった……。

 ネジが飛んでるとしか思えない発想やアイデアから生まれたキャラクター達が、各々の人格でぶち抜いた行動をとって突き進み、その結果何故か縦軸の話が意外性と納得を伴って進行したり、びっくりするほど綺麗なオチに着地したりする。暴れ野郎としか言いようがない進行と、正反対の方向性を持った着地点、それらを織り成す個性的過ぎるキャラクター達……どの味も色も濃いのに、どういうわけか奇妙に共存している。

 この唯一無二のバランスが、とにかく見ていて癖になるんですよね。僕が特に好きなのが先代サルブラザーや怪盗志望の女の子が出てくる回のようなゲストエピソードで、狂った過程の果てに提示されるオチの清涼感と余韻が本当に良い……。

 普通じゃ成り立たないような構造のエンタメが、巧な脚本とそれを理解したスタッフとキャスト陣の怪演で成立してしまっている。ので、オールスター要素が入っている意味がほとんどない(『ゼンカイジャー』もそうだけど、わざわざオールスター要素を入れるならちゃんと話の本筋に絡めてレジェンドも出して欲しい、それ以外だったら一切触れるべきではないと思う)とか、ロボ戦の消化試合感が尋常じゃないとか、そんな細かい欠点も帳消しになるんですよね。印象としては、見終えた後には激しすぎる展開の楽しさとオチの衝撃or余韻だけが残る。

 もう、最高に面白いとしか言いようがないです。多分自分は戦隊と相性が悪いんだけど、それを越えてくる面白さ。苦手意識を塗り替えてくれるほどの面白さ。もうすぐ『ドンブラザーズ』は終わってしまうけど、その怒涛(になるであろう)クライマックスが、楽しみで仕方がないです。

 

 

 

 

 

 というわけで、とりあえず、テレビ編でした。文句を言いつつも大半の作品は楽しめたし、特に1位に関しては生涯にわたって見返すような作品に出合えたという感覚があるので、なんだかんだ今年も良い年でした。

 大分駆け足で書いたので内容は薄いですが、一旦、ここで筆を置かせていただきます。あとは映画編……いけるのか……?

 

 

 

間に合いました。

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