石動のブログ

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『SSSS.DYNAZENON』第10回「思い出した記憶って、なに?」 感想

10 思い出した記憶って、なに?

 どうも、石動です。

 今週も、ダイナゼノン10話の感想、いってみたいと思います。よろしくお願いします。

 

前回の感想はこちら 

sasa3655.hatenablog.com

 

 

 

 


 これはこの前ふと思いついて呟いたことなんですけど。内容は書いてある通りで、要するにダイナゼノンは安定感ある分勢いはちょっと削がれてるよねーって話なんですけど、まさかこの直後に『SSSS.GRIDMAN』の持つ勢いの例として挙げた9話のセルフオマージュ回が来るとは予想できなんだ…しかも勢いに紛れて目立っていなかった前作の細かい欠点までもがしっかりとカバーされ、かつ『SSSS.DYNAZENON』用にアップデートされている…素晴らしい…。

 

 その前作からの変更点として大きなものとしては、夢の世界の情景や、それから目覚めることを決めるきっかけが、各々明確に描かれていること。前作の裕太や内海、六花に関しては人格を形成する根底となった特定の過去は設定されておらず、故に裕太は主人公たるに相応しい根本的なヒーロー性、内海は非リア陰キャオタクとしての「こんな都合のいいことあるはずがないんだ」という悲しくも強かな現実感(勿論ちゃんとアカネの誘惑に「俺達がこういう形で出会えていたなら友達だったかもしれない」と打ち勝つ強さもあった)、六花は友達だからこその決意、それぞれの普遍的な性質でもって、夢の世界から抜け出したわけですね。

 ただ、ダイナゼノン操縦者は違う。みんな過去に何かを抱えていて、それと正面から向き合うことが出来ずに今まで生きてきてしまった。その重さも、方向性も全くバラバラな後悔を未だに捨てられていない。だからこそ前作よりも具体的な場面を彼らは夢見ることになったわけです。そして、いちはやく目を覚ました蓬の声を聞き、自分の過去との決着をつけていく。

 どこまでも小さくて普通な後悔を過去の選択に抱いてきた暦は、「もしも」の世界の自分とバイトリーダーの顛末を見たことで自分の気持ちに折り合いをつける。仲間との関係の破綻を思い出したガウマは、第1話の時のように蓬の助けを受けて目を覚ます。一瞬だけ、自分を作ってくれた人とのあたたかい時間を思い出したアンチ君は、逡巡することなく前を向く。これまで話の合間合間でボカしつつ描いていたキャラクターの背景や前作の展開を拾って見事に心情を補完したこの三人(ガウマに至っては後の展開の前フリらしきものも行ってる)も凄かったんですけど、特に大きく尺を割かれた夢芽がほんとに良かったです。

 周囲に合わせられる妹と、それに憧れている姉。変わろうとした結果の空回り。誰にも迷惑をかけたくなくて抱え込んだ先に待っていたもの。頼ることの大切さを知った香乃からのアドバイス。距離があったせいで知ることが出来なかった姉の本音を聞いて、夢芽が知恵の輪を解けるようになった、という演出が素晴らしい…夢芽が本質的に求めていたのは姉の死の真相でなく、深く関わり合うことなく死んでしまった姉を知ることだった、というのはこれまでの話でも示されてきたことなので、直接的に死因を明らかにしない(夢芽が知恵の輪を追って落ちるカットが差し込まれたということは…くらいで済ませるのが良い)描き方も含め、満足しかない落とし所でした。

 しかも今回の凄いところは、ここがピークじゃないこと。夢の世界から目覚めた夢芽が蓬達に合流した後、『HumanLove』のアレンジ(?)を流しながらの「ダイナゼノン、バトルゴー!」が熱すぎるんですよ…!前作は裕太達がアカネの誘惑を跳ね除けた後は夢の世界に取り込まれていなかった新世紀中学生が怪獣を倒しましたが(これもそれぞれの立場を活かした連携プレー感あって僕は好きですが)、蓬達は「バラバラだからこそ、ひとつになれば強くなれる」という関係性なので、ちゃんと全員合体で倒すのも納得感がありましたね。

 

 ただちょっと不穏だなーと思うのが蓬とガウマ。今回、蓬だけ明確に自分の過去と向き合っていないんですよ。彼の抱えてるものは視聴者に伝わるような形で描かれてるので、もうとっくに折り合いをつけてる+尺の都合ということもありうるのですが、現実から目を逸らしたいという願望があまりに強すぎた結果だったら不味いかもな…と。さらに不穏なのがガウマで、最後のカットがめちゃくちゃ意味深だし、過去回想でシズムがほとんど言葉を発さなかったり一度死んだ描写がなかったり(過去回想の最初を見ると画面の端っこにちゃんと映ってはいる、ボイスドラマでも過去ガウマと話してる)、まだ隠されている事実がありそうなんですよね。

 そもそも、彼の見た怪獣優生思想全滅の光景は、果たして夢芽の見た夢のように実際に起こった過去なのか、暦の見た夢のように「もしあの時ああしていれば…」という可能性だったのかも微妙に分からない。夢芽は香乃と話せたじゃんってなるかもしれませんが、蓬が介入するまでは過去の流れをなぞっていたんですよね。ガウマさんの場合は一体どっちなのか…それによって大きく話が変わってくるような気が…。

 

 

 

 というわけで、ダイナゼノン10話の感想でした。ほとんどのキャラクターの背景を描ききり、あとはいよいよクライマックスを残すのみ、といった感じですね。あと2話なのか3話なのかは分かりませんが、この熱量のまま最後まで突っ切って欲しいですね。読んでくださりありがとうございました。

 

 

 

 

 

続きというか最終回を通しての全体感想

sasa3655.hatenablog.com