石動のブログ

アニメやら特撮やら映画やらの感想を書きます。

2021年に見た特撮・アニメの新作の感想をランキング形式でまとめる 後編

sasa3655.hatenablog.com

(この記事は、上の記事の続きです。2021年に見た特撮、アニメの新作について好き勝手語る内容なのでこれから読んでも何の支障もないとは思いますが、前編から読んでもらえたら嬉しいです)

 

 

 

第5位 すばらしきこのせかい The Animation

【BD】すばらしきこのせかい The Animation 上巻 [Blu-ray]

 『すばらしきこのせかい』のアニメ化として完璧な出来だった。その一言に尽きる。

 まず、話数は足りるか足らないかギリギリのラインだったのを、シキ編を3話に詰め込んで「ここまではあくまでプロローグ、本当の戦いはこれからだ!」ってテイストにして、ヨシュア編やビィト編でもエリを登場させることでネクの目的であるシキの存在感はしっかり確保する、という構成でその難点を突破するのに度肝を抜かれた。

 戦闘シーンのクオリティも目を見張るものがあって、CGと作画の親和性が非常に高いのが特徴。CGそのものはディズニーとかみたく超クオリティってわけじゃなく、それなりに粗さも残ってはいるのが、線の太いキャラクターデザインのお陰で全然気にならない。恐らく制作側はそれをわかったうえで、粗さはキャラデザのおかげで中和されるとわかったうえで、CGの美しさではなく動きの良さを追求した戦闘シーンを作ってる。上の話数の足りなさへの対処も含め、作品の様々な面が非常に計算高くて、今作の面白さは制作陣のそのバランス感覚が功を奏したのが大きかったように感じる。

 その計算高さはラストまで及び、原作ではあえて深く描写しなかったネクの心情をアニメという媒体に合わせてしっかりと描写し(クライマックスで「お前を信じる」とヨシュアへの信頼を明確にセリフするのが最高)、原作の通常エンドでは明かされないシークレットレポート関連の情報もしっかりと説明し、モヤモヤを全く持たせない形で終わる。そのうえでエンディング後に、続編の『新すばらしきこのせかい』のCMを流す。……販促まで含めて完璧になる構成には、「参りました」と言うほかない。

 

第4位 ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA

ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA Blu-ray BOX VOL.2(特装限定版)

 完成度が高いかと聞かれたら、首を横に振らざるをえない。1・2話という作品とキャラクターの基礎を提示するエピソードが、「意味がわからないというほどじゃないけど心情描写とお話の進行が絶妙に不自然」というクオリティだったこと(「なんでアキトがケンゴを認めたのか」が何度見てもしっくり来ない……)。主人公の正体や過去に隠された真実が明らかになる回で、同年の所謂「セイバー坂」と別ベクトルの、しかし同レベルの無茶苦茶さを持ち、特撮の歴史に残るレベルに意味不明な何かを作り上げたこと。ちょいちょい本筋をぶっ壊してまで前面に押し出てくる「見てないからわかんないけど多分『ティガ』要素なんだろうな」的な展開。完成度が高いと言い切るには、あまりに綻びが多すぎる。しかし、それらとは別に、『トリガー』そのものの面白さがあることも事実なわけで。

 まず、防衛隊が存在し、その技術をもって戦う点。ウルトラマンだったら当たり前のことかもしれないが、今まで自分の見てきたのは『ネクサス』『オーブ』『R/B』『タイガ』とウルトラマンだけがメインで戦うものばかりで、高い技術力を持ち見ていてワクワクするほどの大規模作戦を展開する(6話の全員協力での作戦は『トリガー』を語るうえで欠かせないし、17話で気合の入った映像で見られる旧式兵器の導入や戦闘機の活躍も好き)ほどの防衛組織、というのは非常に新鮮に映った。

 キャラクター達も役者さんの演技のおかげで人間味と魅力をしっかり持ち合わせており、それが存分に発揮された18話なんかは僕の見た全ウルトラマン(数は少ない)でも屈指の愉快さを誇っていたように思うし、良いこと言う面白渋おじさんとしての陽性の魅力と、復讐に燃えそのためなら闇の巨人さえも取り込む陰性の魅力を併せ持ったイグニスは屈指の名キャラクターになったんじゃないかと感じる。

 ただ、そういった『トリガー』の良さも先述の「綻び」で掻き消されてたり出力の仕方がおかしかったりが多い(ダーゴンの変化のきっかけを描く最初の回なのにユナにビンタさせたせいで絵面・理屈両方での説得力に欠けてしまった5話、「大規模作戦で激つよ新規怪獣のメツオロチに立ち向かう」という盛り上がりをメツオロチをカルミラのかませにすることで一瞬で無にした17話辺りが印象深い)のも事実。だから、現状の『トリガー』の評判がいまいち芳しくないのはわかる。

 つまりは、やっぱり「好き=完成度が高い」ではないんだよなあ、と。恐らく、ここから始まるであろう『トリガー』の最終決戦が残念なものであっても、僕は「でも、ユナに眠るユザレの力関連の話は、力の目覚め・それに対する戸惑い・受け入れる決意・それを受けての周囲との関係と、すごく地道に積み上げていて、そういうところは『トリガー』しっかりしてるから……」「先輩の個性を際立てつつ『トリガー』そのもののドラマをガッツリやる客演回はティガ以外は上手くいってたから……」みたいなことをぼそぼそ言い続けるのだ。どうしようもなく『トリガー』が好きだから、なんなら今まで見たニュージェウルトラマンの中で一番ハマってるまであるから……念。

 

第3位 マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝 2nd SEASON-覚醒前夜- 

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 ガッツリ2期に続いた最終回から1年ちょっと、ついに続きが放送されたアニメ『マギアレコード』。

 全8話にキリがいいところまで詰め込んだことと、本格的にオリジナル展開に突入したことが悪い意味で噛み合ってしまった結果、1期では少女故の心の弱さによって完全に心酔してしまった激ヤバ集団って感じだったマギウスの翼側のキャラの離反が唐突に見えたり(特にみふゆ関連は性急過ぎた感がある)、ドッペルの危険性がいまいち説得力がなかったり(そもそもマギウスのやばいのはドッペルじゃなくて目的のためにウワサで吸った人を犠牲にしたり魔法少女を使い潰したりする、つまり本質的にはキュウべえと同じことをしている点)、色々気になるところも出てきてしまってはいたんだけど、それ以上にちゃんと面白かったなあ、と。

 見ている層のほとんど『まどか☆マギカ』履修済みであることを生かして心情描写や説明を最低限に減らすことでたった1話で見滝原組を本筋に合流させる展開とか、悲しい現実に目を背けて楽しかった過去だけを見ようとするいろはを「目を覚ましなさい」とやちよさんが𠮟りつけるいろは復活回とか、仲間がバラバラになったことに責任を感じ意図的に自分を作っていた鶴乃の「本当の姿」を見つめ、それによりマギウスの洗脳から解き放つ最終回とか、本当に見どころが多い。

 『まどか☆マギカ』から受け継いだ思春期の少女達の脆さを真正面から描く作風と、それでもあきらめず希望に向かっていく『マギアレコード』の熱さが、存分に味わえた。今度こそ完結編であろう3期も、超楽しみに待ってます……!

 

第2位 仮面ライダーセイバー

仮面ライダーセイバー Blu-ray COLLECTION 3

 1年を通して賛否両論が激しかった作品だったが、僕としては1年間通してとても楽しんで見ることが出来た。各々の剣士の覚悟と、それに全力でぶつかる飛羽真の姿を描いた2クール目の展開、「悲劇で終わった物語の続きを描く」という、作家である飛羽真だからこその結末に持っていったプリミティブドラゴンまわりの展開(取り返しのつかないところまで闇堕ちしてしまったレジエルに「死」という優しい結末を与える、という展開も合わせて「物語の結末は、俺が決める!」に文脈が乗りまくってて最高)、ずっと組織の中だけで生きてきた彼の反抗と挫折と成長を描いた倫太郎編(成長回では既存フォームのまま敵を乗り越え、完成しきった次の回で相応しい強化フォームを得る、って流れも好き)、ついにほとんどの剣士が欠けることなく集結し、心をひとつにして戦いに挑む最終盤(多人数ライダーなのにほぼ全員が団結するのがほんと最高、その集結で最終フォームアイテムが生まれるのも好き)…今思い返しても、心が熱くなる。

 特に感動したのが最終決戦の、作る人と見る人、両方の間にある「物語」の本質に重きを置いた展開。この世界にある「物語」(人の人生含む)は全て誰かによって全知全能の書に記された、決められたものでしかない。そのことに絶望したストリウスに対して、「物語は、確かに特定の誰かの手によってのみ作られるものだけれど、それ単体で完結するものでもない。物語は、それを読んだり見たりした人の中で形を変え、その人によって語られることで、新たな『物語』として生まれ変わる」と、「物語」が持つ本質を用いて反抗していく。これは、「文豪にして剣豪」、戦うヒーローものという型でありながら、「作家」という強い個性が中心にある『仮面ライダーセイバー』にしか出来ないアプローチだよな、と。

 勿論、設定の説明があまりにも不親切かつ下手くそとか(最終回後半は相互の方に解説してもらうまで何が起きたかいまいち把握できなかった)、第35章は脚本・映像共に悪い意味で仮面ライダーの歴史に残ったなとか、終盤のデザスト関連の展開が全く納得できなかった(なんかセンチに終わったけど、デザストって普通に一般人も剣士も殺しまくった「怪人」じゃん…あくまで「ヒーローと怪人」として蓮と決着をつけ、最後に蓮との絆を少し示すとかでいいじゃん…でも最終決戦の「剣技の祖なのでソードオブロゴスの剣技は効かないロード・オブ・ワイズに、ソードオブロゴスから外れた力たるカラミティストライクで一矢報いる、ってのは好き…)とか、言いたいことは山ほどある。別にそれらを「これも『セイバー』の味だよね」という気もない。

 ただ、それらを差し置いても、好きなところは好きになってしまったので、『仮面ライダーセイバー』にはお礼を言いたい。一年間ありがとうございました。

 

第1位 SSSS.DYNAZENON

SSSS.DYNAZENON Blu-ray4巻(特典なし)

 僕が見た全てのアニメの中で一番好きな作品のひとつ、『SSSS.GRIDMAN』。その、続編。途中で連載を挫折したダイナゼノン感想ブログの初回でも言ったように、自分の中で上りに上がっていたハードルを、あまりに軽々と超えてきてくれた。

 各々色んなことを抱え、ぶつかり合ったりすれ違ったりしながらも必死に戦っていく姿が本当に魅力的だったキャラクター達。前作に引き続いて作品の個性として成立していた会話の生っぽい間と、その背景で雰囲気を作り出す環境音やBGM。もはやひとつの到達点に達したんじゃないか、という迫力の戦闘シーン。作品を構成する全ての要素があまりに魅力的だったけど、やはり、最終回で描かれた「かけがいのない不自由」という言葉が、この作品の答えであり、最も大きな魅力だと思う。

 どこまでも怪獣という「自由」を求めたシズムと、現実の中で居場所を見つけた蓬。蓬だって、怪獣優生思想のように、怪獣を操ることができた。怪獣を操って、窮屈な現実を壊して、あらゆる秩序やルールから自由になることができた。いやむしろ、そういったことを本質的に望んでいることこそが、人々の抑圧された情動から生まれた怪獣を操る(自分の情動で塗り潰す)能力の理由だったのかもしれない。

 それでも彼は、現実を生きていくと決めた。彼には夢芽がいたから。ガウマさんから託されたものもあったから。この現実の不自由さが、かけがえのないものだと認識できたから。大切なものを手に入れるということは、即ちそれに縛られるということで、完全な自由なんてものは「虚無」でしかないとわかっているから。

 今振り返るだけで涙が出てしまうような、そんな力強いメッセージ。2位に続いて言うことになるけど、『SSSS.DYNAZENON』、本当に、ありがとう……大好きだ……。

 

 

 

 

 

 

 というわけで、2021年の特撮・アニメ感想まとめでした。こうまとめてみると、今年は結構刺さった作品と刺さらなかった作品が綺麗に分かれていたんだなと。しかも結構上位でもぶつくさ文句を言いつつ「でも好き!」とめんどくさいムーブをかましている……これじゃまるっきりやばいオタクじゃないか……まあ実際そうなんだけど……。

 「新作」という縛りをなくすと、東映特撮Youtube Officialで配信されていた『仮面ライダーアギト』がとんでもなく面白くてどハマりしたり、レンタルで借りた『仮面ライダークウガ』のあまりの「リアルな変身ヒーローもの」への作りこみにビビったり、再放送していた『機動戦士ガンダムSEED』でガンダムデビュー(ビルド系以外)を果たしたりして実に充実した一年だったのですが、そこまで書き始めると止まらないのでここで筆をおかせていただきます。

 良いお年を!