石動のブログ

アニメやら特撮やら映画やらの感想を書きます。

『仮面ライダークウガ』の戦闘シーン、最早芸術じゃん

 どうも、石動です。

 はい、またもやタイトル通りの記事シリーズなんですけど。

 最近、レンタル屋で借りては二週間かけて見て、返して次のを借りては二週間かけて見て……くらいのペースで『仮面ライダークウガ』を見ているんですね。

 流石は平成ライダーの始まり、あまりに個性が強すぎて語り口が本当に多い作品なんですけど、その中でも自分にぶっ刺さりまくってるのが戦闘シーンなんですね。特定の法則に則りながら、様々な能力で人々を虐殺していく怪人・グロンギ。それに対し、クウガは四つのフォーム+αで立ち向かっていく。

 

 

仮面ライダークウガ Blu‐ray BOX 1 [Blu-ray]

 まず、その「四つのフォーム」の役割・個性が非常にはっきりしており、どの形態も空気になっていない、というのが素晴らしい。

 全体的にバランスが良く扱いやすい、かつ必殺キックは基本形態の攻撃で最強威力を誇る一方、武器を使用できないため攻撃にある程度危険を冒す必要がある「赤の力」、マイティフォーム。マイティに比べキック力やパンチ力は落ち、武器も強力なものではないため決め手には欠けるが、ジャンプ力・走力などの基礎的な身体能力に優れ敵の追跡や襲撃に役立つ「青の力」、ドラゴンフォーム。超感覚で敵の居場所を突き止め遠距離から狙撃で打ち抜ける、しかしその能力故に変身時間は限られ接近戦は当然できない、という尖った性能の持つ「緑の力」、ペガサスフォーム。機動力では劣るも、その圧倒的な攻防一体の進撃である程度までなら無理を押し通せる「紫の力」、タイタンフォーム。

 さらに、そこに各々の攻撃力を劇的に高める強化形態(デメリット付き)たる「金の力」ことライジングや、素の状態では空中移動・バイクとの合体状態では強力な馬力で敵を押しての移動ができるゴウラム、そして警察の協力が加わる。その中で適切な力を取捨選択しグロンギに立ち向かっていく戦闘シーンが、どこまでもロジックを緻密に積み重ね「特撮という逃げ」に走らない『クウガ』の制作態度も相まって、本当に面白いんですよね。新たな力に覚醒し使いこなしていく過程も『クウガ』は真摯に描いていくため、一通りフォームが出揃い必殺キックを習得しゴウラムも手に入れ……とやっている頃は若干退屈さがあったんですけど、五代くんがフォームの特性を理解して使用し始めてからの面白さはその印象を吹き飛ばすほど。

 

 で、その象徴というか、今現在個人的『クウガ』戦闘シーンランキングトップに立っていて、僕にこの記事を書かせるほどの意欲を与えてくれたのが、つい昨日辿り着いた『クウガ』EPISODE39、「強魔」なんですね。

 

 

 

EPISODE 39 強魔

 「動く鉄の箱に乗っている人」という法則に従い、人々を虐殺していく「未確認生命体第43号」、ゴ・ザザル・バ(仮面ライダー図鑑で初めて名前知った)。彼女は強酸性の液体を生成することができ、それをかぎ爪にしたたらせての攻撃は一撃必殺級。それに対し、クウガはどう立ち向かうのか。戦闘の流れや要素だけまとめると、こんな感じ。

 

  • ゴ・ザザル・バを見つけた五代くん、まずはマイティフォームに変身。

 

  • 敵が強酸性の液体を用いて攻撃してきた(徒手空拳では危険)のを確認すると、身体能力の高いドラゴンフォームに変身して相手を翻弄。武器のリーチが長いことも有効活用し、威力は高い代わりに攻撃範囲は狭い酸性液体+かぎ爪の攻撃を全て避け、ついにはかぎ爪を敵の手から弾くことに成功。

 

  • しかし、(作中では何かしらの要因で劇的にパワーアップしたとされている)後半の敵だけあって、通常フォームの攻撃では倒すことができない。つまりライジングでないととどめは刺せないが、ライジングの強大なパワー故の撃破時の周囲への爆発の被害に加え、ゴ・ザザル・バの体内の強酸性の液体が飛び散る可能性を考慮すると、今いる市街地では倒せない。

 

  • それを知っていた五代くんは、かぎ爪を落とした(つまり素手の攻撃でも酸性液体で反撃できなくなった)ゴ・ザザル・バが警察の援護射撃で怯んだ隙を突き、(恐らく)「この程度では死なないことを考慮して」、「通常形態では最も威力の高い攻撃である」マイティキックを放つ(この際、ドラゴンフォームの跳躍からノータイムでマイティフォームに超変身している)。これにより、敵の体力はぐっと減る。

 

  • そこで、抵抗するための体力が低下したゴ・ザザル・バを、ゴウラムで強引に警察の用意した地点、シャッターを閉めることで閉鎖空間を作り、爆発と酸性液体の飛び散りの被害を抑えられる通路まで運ぶ(弱らせないままやろうとしても移動距離が長いため多分途中で逃げられる、そのためにマイティキックを放った)。

 

  • 無事たどり着いたところでブレーキをかけ、反動でゴ・ザザル・バを通路の奥へ吹き飛ばす。瞬間ペガサスフォーム(ライジングペガサス)に超変身し、警察にもうシャッターを閉め始めるよう指示する。

 

  • 立ち上がったゴ・ザザル・バに射撃を浴びせる。そしてすぐさま時間制限で変身解除しないようマイティフォームに超変身&ゴウラムを反転させ、爆発に巻き込まれないようシャッターの外部に向けて超スピードで走り出す(ライジングペガサスでとどめを刺したのは、他のフォームだとゴウラムから降りて攻撃する=ゴウラムに乗り直してから走り出す&敵のすぐ近くまで行く必要があり、それで反転が遅れてクウガも爆発に巻き込まれ酸性液体を被る危険性があるため。ペガサスなら乗ったまま、かつあまり通路の奥まで行かずとも攻撃できる)。

 

  • 最後のシャッターが閉まるギリギリで外に出たクウガ。その直後、ゴ・ザザル・バの身体が大爆発した。しかし、複数枚あるシャッターがなんとかその衝撃に耐え、爆発も酸性液体も外部に漏らすことなく敵を倒すことに成功した。

 

 

 

 

 

……。

 

 

 

 

…………。

 

 

 

 

……………………。

 

 

 

 

 

 

 

うっひょおおおおおおお~~!!!!! さいこお~~~~!!!!!

 

 

 

 いや、はい。すみません。奇声を発してしまいました。でも、それくらい、興奮のあまり奇声を発してしまうくらい、一連の流れが良すぎる。良すぎるんだ……。

 「一撃必殺級の攻撃をしてくる」「強酸性の液体を持つため街中で倒すと39号の時の比じゃない被害が出る可能性がある」という性質を持ったゴ・ザザル・バを、なるべく被害を出さずに倒す。そのために打たれる五代くんの一手一手の全てに、無駄がない。クウガのとる全ての行動が、「被害を出さずに倒すこと」に繋がっている。誇張した演出のないリアル志向の映像が、その中で編まれていく隙のないロジックを逆に際立たせる。

 もう、あれですよ。最早芸術ですよ。凄すぎますよ。少なくとも、見てる僕は絶頂しましたよ。最高。好き……ありがとう、『クウガ』。

 

 

 

 

 

 

 

 

(ただ、本当に五代くんの一手一手に無駄がなさすぎるんだよなあ………それは「いかに被害を出さないようにできるか」を、「いかにしてみんなの笑顔を守るか」を考えた結果であると同時に、「いかにして敵を殺すか」「いかにして敵を排除するか」を真剣に考え続けていたということだよなあ………本当は五代くんも辛いだろうし、彼にはこんなことより冒険が似合うよなあ…………『クウガ』、今回は戦闘シーンの凄さのみを強引に切り取って語ったけど、見終えたら全体の感想も書けたらいいな……)