石動のブログ

アニメやら特撮やら映画やらの感想を書きます。

2019年 映画ランキング

 今日は大晦日、2019年も終わるということで、僕が今年観た映画を少しずつ感想を書いてランキングにしていこうかなと思います。

 今年劇場で観れた映画は11本。去年と違って一時期に観た作品が自分に合わなくて出鼻をくじかれたりすることがなく、そのほとんどを楽しんで観ることが出来ました。数もまあそこそこ行けたかな。

 去年のランキングを見てくださった方は知っていると思いますが、大体がアニメor特撮の作品です。非常に偏っております。よろしくお願いします。

 

去年のランキングはこちら

sasa3655.hatenablog.com

 

 

 

 

 

第11位

Vシネマ 仮面ライダーグリス

ビルド NEW WORLD 仮面ライダーグリス

 以前ブログでも書いたんだけど、完璧なる駄作だった、としか言いようがない。『ビルド』の総決算としても、仮面ライダーグリスの物語としても中途半端などころか、単純に作品としての整合性や細かい描写が非常に粗く、いいところを挙げろと言われても少し考え込むレベル。さらにそこへ「あの最終回の続きを描いた」という作品のコンセプトそのものの功罪とその代償に値しない既視感溢れる展開の退屈さが乗っかってくるというのだから、いかに大変な作品だったかということが今思い返しても実感される。自分の好きな仮面ライダーというコンテンツに対してこういうことは言いたくなかったのだが、「これなら作らなかった方が良かった」と、言わざるを得ない。

 

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第10位

映画ドラえもん のび太の月面探査記

映画ドラえもん のび太の月面探査記 DVD通常版(特典なし)

 あの辻村深月さんが脚本を担当したドラ映画で、期待値をめちゃくちゃに上げて観に行ったのだが、案外普通だったというか、とても王道な内容だったな、と。それは別に悪い意味でなくて、きっと辻村深月さんはドラ映画が大好きで、だからこそ、ゲストとのび太達の友情、ひっそりと秘密基地をつくるようなワクワクとした感覚の展開など、「いかにもドラ映画」なシーンを多く描き、作品を形にしたのだろう。物語のテンポやキャラクターの魅力、全体の構成といった基本的な要素はよくできていたので、退屈したり眠くなることもなく(ちょっと詰め込み過ぎかな?というのは思ったが)、安心して楽しむことが出来た。

 他の面では全体的に「画」がすごくこだわってると感じるシーンが多くて、ラスボスへののび太の攻撃のシーンは迫力があって良かったし、エンドロールでゲストキャラクター達が(自分達の力を捨て)大人になった後の描写が流れた時はなかなかに感動した。

 

 

 

第9位

アナと雪の女王2

アナと雪の女王2 (吹替版)

 前作があまり合わなかったのもあって、そこまで観たいとも思わなかったのだが、知り合いに誘われたため劇場で観ることになった。まあ予想通りというかなんというか、メインのストーリーラインは「それなりに面白い」という印象で特に書くことはない(強いて言うならまた別離エンドかよ!と思った)。オラフ消滅シーンや、エルサが答えを求め一人海の中を突っ切っていくシーンなどの細かい演出の中に自分のオタク的な琴線に引っかかるものがあったり、オラフの前作を一人で再上演するギャグシーンがぶっとんでたり、一人だけ妄想の中での歌だったためかやけに映像がキマってるクリストフ(その割に終盤の展開ではフィーチャーされないので物足りなく感じた)とかは印象に残ったかな。あと、ディズニーだから当たり前の話ではあるが、CGでの映像表現と楽曲のクオリティは素晴らしかった。

 

 

 

第8位

ミュウツーの逆襲EVOLUTION

ミュウツーの逆襲 EVOLUTION

 予告編を見た時からなんとなく勘づいてはいたが、「『ミュウツーの逆襲』のリメイク」としては物足りないところが多い作品だった。ディレクターズカット版の要素も『我ハココニ在リ』の要素も入ってないし、物語の流れも大きくは変化していないし、勿論キャラクターもリメイク元とはほぼ同じなので、「変わったなあ」と思えるようなところは映像面くらいである。その映像も、頑張ってるのは分かるんだが、見慣れてるせいか海外のスタジオとのクオリティの差が頭にちらついてしまって、メインとして売り出す変化が映像だけ、というのはやはりインパクト不足に感じてしまう。

 ただ、21年もの時を超え劇場であの素晴らしい物語を再び観られる、というのはそれだけで嬉しいし、映画館で観られたからこそ、もう一度僕は『ミュウツーの逆襲』と向き合って新たな発見をすることができた。これは僕だけじゃなくて、あの作品をリアルタイムで目撃した世代とか、逆に全く知らない今の子どもたちにとっては、上映したことそのものに、意味があったんじゃないか、そんなことを思うのだ。

 

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第7位

名探偵ピカチュウ

名探偵ピカチュウ(吹替版)

 「ハリウッドによるポケモンの実写化」という作品に対する期待を全て捌ききっていて、観ていて非常に気持ちが良かった。まずもって素晴らしいのが「ポケットモンスター」の表現で、リアル志向に落とし込まれたデザインと質感を中心に、ストーリー、映像の魅せ方、どれをとっても「ポケモンと人間が共存している」関係性が緻密に積み重ねられていて、特にティムが初めてライムシティを訪れた時に街の風景がグワッと映し出されるカットは久しぶりに「(感情的に)泣ける」シーンでもないところで感涙しそうになった。脚本も観客を飽きさせないようにストーリーを二転三転させたり、ティムとピカチュウの絆が育まれていく過程がしっかりと分かりやすいように描かれていたり、ひたすらに完成度が高い、という印象。

  ただ、ひとつ気になってしまったことがあって、ラストのオチはどうにかならなかったかなあ、と。「ティムの相棒だったピカチュウの中身が、実は疎遠になっていたお父さんだった」っていうのが、どうにも受け入れられない。普通の父と子の関係を描いた映画なら「別にいっか」となると思うんだけど、これはポケモンの映画であって、人間とポケモンの関係性を「親子」と表現されてしまうとモヤってしまうところがあった。二種族の関係って、そんな一言で表せてしまうようなものではないと思うんだけどな…(ティムに分かる言葉を話す時点でこの映画のピカチュウは普通のポケモンの範疇にない、と考えればそこまで気にすることでもないんだけど…)

 

 

第6位

トイ・ストーリー4

トイ・ストーリー4 (吹替版)

 まあ、そりゃ、ラストには文句がある。ラストどころか、そもそも作品のコンセプト自体に文句がある。あれほど完璧な終わり方をした『トイ・ストーリー3』の続編を、なぜ今更つくるのか。公開前から不穏な空気はムンムンだったし、最近のディズニーの傾向からしてオチはなんとなく予想できて…という、あまり体験したことがない状態での視聴(強いて言うなら『仮面ライダークローズ』を観る時の感覚に近い)だったのだが、思ったよりは素直に、物語の結末を受け入れることができた。

 アンディの時とは違って、ボニーのお気に入りのおもちゃになれなかったウッディ。彼女がつくったおもちゃ、フォーキーを探す中で、かつて共に日々を過ごしていたボーと再開する。「不特定多数の子どもの遊び相手になる」という新たな生き方をしていた彼女達と協力してフォーキーを助け、さらにその途中で出会ったギャビー・ギャビーに自らのボイス・ボックスを渡して新たな持ち主と出会わせた。全てが解決した後、ウッディはみんなの元に帰ろうとするが、彼の気持ちを汲んだバズの「ボニーのことは任せろ」という約束を信じ、ボーと共に生きていくことを決めた。

 この結末の是非について問い始めるとどうしようもなくなってしまうが、そこまでの持ってき方については、非常に考えられていたと思う。自分をゴミだと言い張るフォーキーに「おもちゃ」という存在の素晴らしさを教え、自分の望んだ相手に遊ばれなかったギャビー・ギャビーに新たな出会いを提供する。この過程で『カーズクロスロード』のような「新たな世代への交代」を描き、そこにダメ押しでウッディとバズの友情を被せてくる。ここまでやられては、(作劇に関しては)文句は言えない。少なくとも今のウッディは幸せだろうし、彼の担ってきた役割も他のキャラがちゃんと受け継いでくれているのだろう…それが少し、寂しくもあるのだが。

 

 

 

第5位

仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション

仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション

 『平ジェネFOREVER』、『Over Quartzer』とメタメタな話が続いてからのこれだったので、予告で「なんか真っ当に面白そう…」と思ったのを覚えている。安定感のある高橋脚本(個人的には『平ジェネ(無印)』が絶望的に合わなかったから心配していたが、全くの杞憂だった)と、生身と変身後の両方のアクションが非常に凝っていた杉原監督の映像、その二つがベストマッチし、「ゼロワンのif」、「ゼロワンの第0話」としてとても納得のいく完成度になっていたかな、と。本編第一話でキーワードになっていた「夢」をフィーチャーし、或人の理想を、彼と繋がりの深いイズと其雄を通して深く描いていく。その流れにはやっぱりグッとくる。

 少しだけ気になったのは、『ジオウ』の扱い。先輩として(そして魔王として)100パーセントの成長を遂げたソウゴを筆頭に、メインキャラクター達の言動に関しては文句はないのだが、割と本気で誰なのかわからないフィーニスの存在、彼女が語る仮面ライダー論、ソウゴが叫ぶ「ライダーに、原点も頂点もない!」という答え、そして其雄が或人に送った「お前が、この時代の1号だ」というメッセージ。この辺のちょっとメタい感じが残ってるのが、メインである『ゼロワン』とズレてるなあ、と。あのラストを含め、その「ズレ」こそがこの映画においての新たな時代を描くアプローチというのは分かってるのだが、それでも普通に居心地が悪い感じがしたし、最後のは「其雄に言わせたいのは分かるけど、『ゼロワン』側のキャラが言っちゃダメだろー」と思ってしまった。

 

 

 

第4位

劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] Ⅱ.lost butterfly. 

劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel] II.lost butterfly」(完全生産限定版) [Blu-ray]

 三部作の第二章ということで、バトルは大人しめに、第三章への布石を丁寧に積み上げていて好感触。その布石というのは伏線とか前フリとか物語のギミックのような面ではなくて、キャラクターの心情をとことんまで突き詰めて描いていたこと、それが後の物語へと深い説得力を与えてくれるのだ。

  自分のこれまで生きてきた理由とも言える「正義の味方になる」誓いを捨て、桜を守ることを誓う士郎、彼との日々に幸せを感じながらも、その裏で少しずつヒビ割れて、心体共に壊れていく桜。主人公とヒロイン、この二人の愛を、「裏切るのか」の流れを「地獄を見た」と対となっているように描写することで悲劇的に、原作の移植版『Realta Nua』では削られ続けてきたセリフ、シーンを入れることで官能的に描かれていて、その決意に、涙に、胸を打たれる。原作をそのままなぞるのでなく、適切な形に再解釈する。その行為が完璧にこなせていた作品だった。

 

 

第3位

ジョーカー

ジョーカー(字幕版)

 アメコミ原作の映画(というか洋画全般)にあまり興味がなく、見ている作品数も少ないのだが、公開時期に再放送していた『ダークナイト』が物凄い傑作だったので「流行ってるし手出してみるか!」のノリで観に行ったのだが、ある意味で少し後悔している。

 なんでかというと、内容がここまでこちらを揺さぶってくるものだとは思わなかったからである。家や身体に事情こそ抱えているものの、その思想、生き方については平凡だった一人の男が、社会の理不尽に苛まれ、「父親」を感じていた二人の男に裏切られ、明確に悪へ堕ちてゆく。さらっと説明するとありがちな感じがするが、この映画ではそれを色んな意味で曖昧に、「儚く」描いていて(本当に彼は悪の英雄になれたのか、そもそもこの物語のどこまでが本当なのか)、それがこちらの頭をぐわんぐわん揺らしてくる。感情がどれだけ不安定になったか、で言えば間違いなく今年のトップだと言える、おぞましい作品だった。

 

 

 

第2位

天気の子

天気の子

 以前ブログでは主に『君の名は。』との関連性について語ったが、そういうのを抜きにして、単純にめちゃくちゃ自分の好みの作品だった。何より、あれですよ。「完璧じゃない男の子が、間違えて間違えて、大切なものを失って、それを取り戻すために、好きな娘を助けるために、大きな犠牲を払ってでも前に進む」んですよ。最高すぎないですか。『君の名は。』のストーリーラインもそんな感じだけど、あれは瀧くんがかっこよすぎたので、個人的には今回の未熟な穂高くんの方が好みなんですね。他にも、それと対比するように「大人になってしまった穂高」のようなキャラクターが出てきたり、「犠牲を払ってでも何かを得る力」の象徴として拳銃が扱われていたり、物語の本質を彩っていく要素がとても丁寧でシビれるんですよ。そういうわけでこの順位なんです。

 

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そして、第1位は…、

 

 

 

 

 

 

 

 

第1位

劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer

劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer

 初めて観た時の衝撃はすごかった。なんだこれ、一体どんな映画なんだ、というかこんなのがあっていいのか、と思った。映画というか、映像作品としてあまりにも豪快過ぎる。ジオウ周りの話は分かるようで分からないし、歴代平成ライダーの登場の仕方は数あるお祭り映画の中でも屈指で唐突だ。本編との繋がりもすごい曖昧だし、これ単体の作品としては、何とも言えない感じになるだろう。しかし、その欠点があっても、いや欠点があるからこそ、この映画は平成ライダーの総括として完成されていると思うのだ。

 平成ライダーのこれまで歩んできた道。常磐SOUGOの言うように、決して安定したものではなかった。平成ライダーは、これまでの「仮面ライダー」の価値観を破壊し、新たに創造し、作品ごとに多くの個性を提示し、肥大化していった。シリーズが長く続いていくほど、制約は大きくなり、できることは少なくなり、作劇の形は固定化されていった。「春映画」、「夏映画」、「冬映画」、といった概念が生まれていった。その変革と収束の中で、失われたものもあっただろう。世間に痛烈に批判されたこともあっただろう。それらを否定せず、ある意味で究極に受け入れて、「バラバラで何が悪い!」と肯定する。「瞬間瞬間を必死に生きてきたんだ!」と開き直る。信長、「『ジオウ』真の最終回」という称号、明かされた常磐ソウゴの謎、といった要素が全て活用されて答えが導き出される様は美しくもあるし、現れる様々な媒体から生まれた平成ライダー達(ビデオパス配信限定のゴライダー、バラエティ企画のG、舞台の斬月カチドキ、漫画版クウガ)、タイトルロゴキック、平成爆散など映像の「圧」もストーリーに負けず劣らずのインパクトで、まさに「平成」だった。

 あとこれは超私的な話であるが、エンドロールで『ジオウ』本編の映像が流されていくのを見て涙が溢れてきて、その瞬間に初めて「僕って、こんなに『ジオウ』が好きだったんだ」と気づいた。そういう意味でも、思い出深い作品である。

 

 

 

 

 というわけで、2019年好きな映画ランキングでした。冒頭で当たり年だった、みたいなことを書きましたが、振り返ってみて改めてその想いが強まりました。特に1位の劇場版ジオウについては、きっとこれから生涯何度も見返して「いいなあ」と涙を流すような作品になったかな、と。

 なかなかの長文でしたが、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。もし来年もネットの海でお会いすることがあれば、よろしくお願いします。

 良いお年を!